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ここって天国?
気がつくと麻衣子は真っ白な空間に一人佇んでいた…
上も下も右も左も真っ白な寂しい世界。
なんてつまらないところなんだ…キョロキョロと何か無いものかと様子を伺っていると
「如月 麻衣子さん…」
突然名前を呼ばれてハッと振り返るが誰もいない…
「空耳…?」
眉をひそめていると
「すみません…下です」
すぐ下から声が!足元を見ると先程助けた綺麗な白い猫が申し訳なさそうにちょこんと座っていた。
「あっあの時の…お前もここに来たって事は、私助けてあげられなかったんだ…ごめんね。死に損だったね」
よしよしと喉元を撫でると、ゴロゴロと喉を鳴らして手に擦り寄る。
可愛いなと癒されていると猫はペロッと手を舐めて喋りだした。
「いえ、あなたのおかげで私は助かりました。本当にありがとうございます。でもそのせいであなたを死なせてしまいました」
私はピシッと固まって喋る猫を見つめる。
「麻衣子さん?」
猫は可愛らしく首を傾げる。
「しゃ、喋った!あっ死後の世界だから動物も喋るのか!」
妙に納得すると
「いえ、だから私は死んでませんよ。亡くなったのは麻衣子さんだけです」
「あっ…そう言ってたね。ごめんねちょっとパニックで…まぁあなたが助かったんならよかった」
ニコッと笑う。死んだ事に実感はわかない、でも無駄死にじゃなかった事は嬉しかった。
「それで…ここは天国?にしては寂しいところだね」
キョロキョロと白い空間を見つめる。
「ここは…私の仕事場…とでも言っときましょうか」
「仕事場!こんなところで仕事してるの?ブラックなんじゃ…」
可哀想な子を見つめるように猫を見ると
「そうなんですよ…あんまりにも酷いからつい遊びに行きたくなって、浮かれて歩いてたら車に引かれそうに…そこを助けていただきました」
「そっか、次は気をつけてね。それで…私はどうすればいいのかな?もしかして…君は神様…とかって言わないよね?」
「あっ話が早くて助かります!そうなんですよ私神様で…」
「まじ?」
「まじ!」
猫が頷く。
「ま、まさか!地獄に行けとか!?確かに毎日遅刻ばっかりで勉強も疎かで先生に怒られてばっかりだけどそんなに人に迷惑は…あんまりかけてないと思う…かな?まぁ友達にも宿題写させて貰って迷惑は少しかけたかな…で、でもその後お菓子でちゃんとお礼はしたよ!」
慌てて答えた。
「いえ、麻衣子さんは命の恩人です!しかも私がいなければ死ぬ事もなかったのです…」
しゅんとする姿がいじめているようで可哀想になる。
「まぁいいよ、いつか死ぬだろうし。天国に行けるのかな?」
「そ、それが…」
猫神様は言いにくそうに上目遣いで私を見つめた。
「えっ…何?私天国やっぱり無理なの?」
「ち、違います!ただ麻衣子さん死ぬ予定じゃなかったので空きがなくて…」
「空き…」
「ですので良かったら今流行りの転生とかしてみませんか?」
猫神様はコテンと首を傾げた。