ホテルの一室でつかの間の休息をとっていた真一と紗栄子であったが
後輩の大輝と彼方と思われる2人の乗った車輛が岬から落ち発見されるニュースが流れていた。
発見された遺体は二人なのか?事件・事故なのかも不明。
そんな中、紗栄子の母より電話があり、真一を警察が探していると連絡が入る。
そして最後に空のはずのセルシオのトランクに真希が積まれていたのである。
「おい、勘弁してれよ、なんで真希さんがこんなところに。。。」
「真ちゃん、生きてるよね?」
真子は両手、両足をガムテープで縛られてる、真一はテレビドラマのワンシーンのように首の動脈に指を当ててみる。
「。。。ない」
「ん?」
「脈がない、死んでる」
紗栄子は身を乗り出し、真希の脈を探る冷たくマネキンのように冷えた真希。死を確認すると後退りして尻餅をつく。
誰が何のために俺のセルシオのトランクに死体を乗せるのか、精神が崩壊しそうだ。
この短時間で「凛」「大輝」「彼方」「真希」と4人も亡くなっている。
「〇〇岬に行くぞ」岬の事故現場にいけばこの状況の元凶かわかるかもしれない。真一はそう思った。
「真希さんどうするの?」
「このままセルシオを置いていく」
2人はとおりに出てバス停に向かう。岬までは約5km、時刻表ではあと10分でバスが来る。
バス停で2人は無言でベンチに座っていると一台の黒いセルシオが横付けする。
「真一こんなとこで何してんだ?」
「店長?」
「今日この車納車でさぁ、初走りしてたら岬の事件聞いて野次馬で見に行こうとおもってな」
「マジっすか?ちょっと俺らも乗せてもらえますか?」
偶然にも通りすがったコンビニの店長にあいのりし岬に行くことになった。
「店長どこで買ったんですか?」
「この町じゃ、こんなヤン車は上杉モータースしかないだろ」
上杉モータースはこの町唯一のヤン車専門店、真一がセルシオを契約した時もセルシオやクラウンなどヤンキー好みの車両がかなり並んでいた。社長の上杉も筋金入の元ヤンだ。上杉の仕上げる車は、内装も外装も真一のセルシオにそっくりであった。
上杉の好みのドレスアップだから仕方ないが、雑誌にも掲載され日本全国に流れて上杉スタイルで名が通ってるくらいヤンキーの間では流行っている。
「真一、昨晩、真希とシフト一緒だったよな?俺の事なんか言ってなかったか?」
「いや、特には。。。」
店長は真希にぞっこんだった。そんな店長の気持ちを真希はうまくあしらっていたのだ。まさか俺とやったとか、セルシオのトランクに遺体となってつまれてるなんて言えるはずはない。
「たまらないよなぁ、いつかモノしてやるから、協力頼むぞ」
店長も事実を知ったら、、、そんな話をしていると岬が見えて来た。
町の人口の2割くらいの人だかりができていた。警察車両に消防車、救急車までもが出動している。