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『貴方想い、散りゆく恋』〜身分違いの恋だとしても〜

第参話 苦しいままでは


『……。』

私は朝起きてベットから出る。

(酷い顔…。)

昨日は沢山泣いたせいか、目が赤い。

『……目を冷やさないと。』

コンコンっ。

『……誰?』

『主様。私です。』

『どうぞ。』

ガチャッ

『おはようございます。主様。』

『ルカス…。』

『……主様。これを。』

ルカスは冷たい水で冷やしたタオルを渡す。

『…ありがとう。』

(冷たくて、気持ちいい…。)

『…。』

本当は2人は両想いなのになぁ…。

伝えないのは私の我儘。簡単には譲れない。


『落ち着きましたか?』

『うん、ありがとう。そろそろ朝ごはんだよね。食べに行かないと。』

『……えぇ。』

私と主様は部屋から出る。


『モグモグ…。』

『……。』

(いつもの笑顔がねぇな…。俺に出来ることねぇのかな。)

厨房から主様を見つめる。


『ご馳走様でした…。』

『もう食べないんですか?』

『…ごめんね。ロノ。また夜に食べるから残しておいてくれる?』

『分かりました。』

主様はフラフラしながら部屋に戻る。

『っ…。』


ジャー…

『はぁ…。』

洗い物をしながらため息を着く。

『なぁ、バスティン。俺らに出来ることねぇのかな。』

『…そうだな。傷ついた心を癒すには…どうしたらいいのか俺にも分からない。』

『そうだよな…。』

『2人とも手伝いますよ。』

『『ベリアンさん。』』

厨房にベリアンさんが、現れる。

『そしたら俺が拭いたのをテーブルにまとめるから棚にしまって欲しい。』

『はい。』

カチャカチャ…。


俺は主様の笑顔が好きだ。

俺の料理で癒してあげたい。

私にすればいいのに…。


デビルズパレス――自室


『……。』

フィンレイ様はグロバナー家当主。

私とは別世界の人間…そんな人と付き合うなんて夢見すぎたんだ。だけど…。それでも、

私は――っ。

コンコンッ

『開いてるよ。』

『失礼致します。主様。』

部屋に3階の執事の3人が入ってくる。


『主様!今夜星を一緒に見ましょう!綺麗なものを見ればきっと元気出ますから!』

『私と一緒にオランジェットを食べませんか?』

『私と2人でワインを飲みながら話したらきっと楽になりますよ。』

『…気持ちは嬉しいけど、今は……。』

『主様。』

フワッ

『!』

ルカスは私に自分の燕尾服の羽織りをかけてくれる。

『フィンレイ様以上の癒しをあげられませんか?私達では。』

『っ、それ、は……。』

ギュッとルカスの羽織りを握る。

『私達なら傷ついた心を癒して差し上げられます。今私は執事としてではなく1人の男性として貴方を癒して差し上げたいんです。』

『っ…。』

『全部私にぶつけてください。その痛みも。涙も。』

さぁ、主様。私なら傷つけない。フィンレイ様より愛してあげられます。私を選んで――。

『……。』

もちろんルカスのことも、みんなのことも大好きだ。

だけど。失恋の痛みを失恋に押し付けるのはダメだ。何より――。フィンレイ様のことが大好きだから、みんなのことを利用したくない。行き場のない気持ちをぶつけるはけ口の為にみんなを使うなんて嫌だ。

『ルカス…。ありがとう。でも私…。みんなのこと大好きだから利用したくないの。私…諦めない。フィンレイ様の事好きだから。好きになって貰えるように!』

私は涙を拭い立ち上がる。

『…ふふっ。かしこまりました。それなら我々は応援するのみです。』

『うん。ありがとう。』

ルカス達はニコッと微笑み部屋を後にした。


パタンっ


やっぱり主様はフィンレイ様が好きなんだ…。僕じゃ、ダメなんだな、きっと。

執事として抱いてはいけない気持ちはわかっていました。でも抑えられないんです……。

主様が決めたことなら私は…尊重したいです。


『私は諦めない。少しずつ私のことを知ってもらいたい。それで、好きになってもらいたい。』

貴方のことをもっと知りたい。解りたい。

好きだから――。


次回予告


フィンレイ様を好きでいることを諦めないと決めた私。その日から私はコツコツとアタックをして――。


『主からの手紙か…?この私にデートのお誘い…?』

『少し大胆だったかな……。』


次回


第肆話 2人きりで

『貴方想い、散りゆく恋』 〜身分違いの恋だとしても〜

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