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16

まだ陽が出ておらず、夏でも肌寒く感じる時間帯に船長はベランダに出る。


「おはよ、白カラス」

《カァア》


手すりにいるぐるぐるに挨拶すると翼を広げてピシッと敬礼された。器用…と思いながら細い足に紙を巻きつける。解けないように結び目を確認し、白カラスの頭を撫でた。


「お願いね」

《カァア!》


飛び去った白いカラスを見送って中へ戻る。そのまま寝巻きから着替えてる船長に、物音で目を覚ましたクマリンが眠たげに鳴く。


《クゥ?》

「まだ寝てていいわ。走り込みしに行ってくる」

《……》


返答に安心したのかクマリンは二度寝を決め込む。





「昨日話したと思うが、ヒーロー科1年A組は仮免取得を当面の目標にする」

「「「はい!」」」

「ヒーロー免許ってのは、人命に直接関わる責任重大な資格だ。当然取得の為の試験はとても厳しい。仮免といえど、その合格率は例年5割を切る」

「仮免でそんなキツイのかよ」

「そこで今日から君らには一人最低でも二つ……」


教室の扉が開き、入ってきたのはミッドナイトとセメントス、エクトプラズムの3人。


「必殺技を作ってもらう!!」

「必殺技!!!」

「「「学校っぽくてそれでいて、ヒーローっぽいのキタァア!!!」」」

「必殺!コレスナワチ必勝ノ型・技ノコトナリ!」

「その身に染みつかせた技・型は他の追随を許さない。戦闘とはいかに自分の得意を押し付けるか!」

「技は己を象徴する!今日日必殺技を持たないプロヒーローなど絶滅危惧種よ!」

「詳しい話は実演を交え、合理的に行いたい。コスチュームに着替え、体育館γへ集合だ」


いや私に必殺技とか必要なくない?騒ぐルーキー達に対してやる気がマイナスになった。


「体育館γ、通称トレーニングの台所ランド。略してTDL!!!」


戦闘服に着替えてコンクリートでできた広い体育館γに集合。ここで必殺技を作る。仮免で色んな適性を見られると説明される。特に戦闘力を見るのね。


「つまり、これから後期始業まで…残り十日余りの夏休みは個性を伸ばしつつ必殺を編み出す圧縮訓練となる!」


セメントスがコンクートの山を作り、それぞれのステージにエクトプラズムの分身が配置される。


「尚、個性の伸びや技の性質に合わせてコスチュームの改良も並行して考えていくように。プルスウルトラの精神で乗り越えろ。準備はいいか?」

「「「はい!!」」」

「ワクワクしてきたぁ!!」


さて、私はやるべきことはフラストレーション溜まったものを吐き出す。

各々練習台に向かうA組に目もくれず、霊華はセメントスに声をかけた。


「ねぇ、この敷地の半分くらい使用したいけど区切れる?」

「できなくはないですが何を?」

「ストレス溜まってるから発散。ここにいる子達邪魔だから分厚い壁で区切って」

「分かりました」


端によればルーキー達との間に分厚い壁が迫り上がる。一応使うつもりだった武器を生成して一面に床に置いた。


「一体何スルツモリダ」

「ん?居たの?いや、分身ね。どうせ消えちゃうから邪魔しないでね?」


アラームをセットして武器の近くに置く。これで心置きなくストレス発散


「クマリンちゃん。出番」

《ク?》

「久々の鍛錬。この武器範囲に入らないでね?」

《クゥ!》


頭の上にいるクマリンに呼びかけて、お互い2mぐらい距離を置く。瞼を閉じて脳裏に浮かぶのは水面。息を吸って長く吐く。感情を殺せ。いらないものを削ぎ落とせ。今から相手するのは強い相手。瞼をゆっくり持ち上げてクマリンちゃんを見つめる。


「遊んであげる。殺す気で来なさい。」


開始合図と共に地面からバキバキと木が生えてきた。






ピピピッと10分置きに鳴るアラームを止めに、迫り来る枝をバックステップで躱して武器エリアまで戻る。アラームを止めて、刀から銃の武器に持ち替えてまた駆け出す。


《グオオオオオオ!!》


刃のように鋭い枝と太い幹を躱し、蹴りで破壊。銃で遠い邪魔な枝を弱点を見極めて撃つ。枝をつたって駆け抜けば迫る枝を体で回転しながら進む。鍛錬を怠ったせいかいつもより体が重い。体の使い方もぎこちなく、いらない力を入れてしまう。なのに何故か、前より視野が広くはっきり見える。枝の動きがゆっくり見えるのは思考がクリアになって集中してるせいね。

10分おきに鳴るアラームに違う武器を変え、体を酷使して感覚を取り戻す。足を止めない。視野を広く見渡す。思考を回す。血が流れようが胃液を吐こうが骨が折れようが構わない。それぐらいしないとダメ。殺しにくる敵は容赦ない。なのに雄英の授業は生ぬるくて物足りない。そんなんだから敵に攫われるの。私が弱いからみんな死ぬの。腑抜け切った心を正すべく今日は感覚を取り戻す。色んな武器を扱うこと。身体と組み合わせ。それぞれうまく扱えるように体で強制的に覚えさせる。


《グオオオオオ!!!》


威圧感と命の危険、ヒリヒリさせる…あの懐かしい空気に口角が上がった。






激しい衝撃音がコンクリートの壁の向こうから絶え間なく聞こえる。激しいことでもしているのか何度もコンクリートに罅が入り、その度にセメントスの個性で修復される。


「霊華やべぇな。壁の向こうで何やってんだろ」

「フラストレーション溜まってたんだろなぁ」

「怖すぎる」

「味方でよかった。敵だったら容赦ない」

「それは身に染みてる」


先生のアドバイスを受けながら自分の必殺技を編み出すが、壁の向こう側の衝撃音が気になって仕方ない。手を抜いたものはすぐに分身であるエクトプラズムが説教する。


「結構分厚くしているのに罅が入るとは。子どもながら恐れ入りますね」

「セメントス。もう時間なんでコンクリート降ろしてください」

「解いていいのか悩みますが」

「そこは俺が個性で消すんで」

「分かりました」

「シカシイイノカ?監視シナクテ」

「1番窮屈な思いしてんのは本人なんで見逃してやって下さい。寮や外にも一人の時間作ってあげられないので」

「アァ。ソレナラバ仕方ナイナ」


教師陣でも天才肌で高すぎる戦闘能力。ヒーロー嫌いで本当の実力は皆無。敵連合に攫われたのもその性質のせいだとふんでいる。誰よりもNo. 1ヒーローに拘っているのに誰よりも敵に近い思考を持つ、二面性を抱えた生徒。そんな危険性を持っていても教師として導いてやらなければと教師一同共通の認識だった。

隔てたコンクリートの壁が沈んでいく。隙間から天井に着いていた木の枝がみるみると縮んでいくのが見えた。


「おい、あれって」

「霊華を囲んでた木か?」

「霊華少女って轟少年と同じ二つ持ちの個性だっけ?」

「相澤くん」

「……考えたくないですね」


教師陣が警戒する中コンクリートの壁が消える。罅が入った壁、穴が開くほど枝が突き刺さってる床。所々血痕が散らばっていた。


「もう終わり?!早!」


怪我なんてなんともないように歩いてくるがポタ、ポタ、と血が床に落ちる。


「ぎゃあああ!?めっちゃ大怪我!!」

「霊華少女STOP!まずは怪我!怪我の治療しよう!!安静にするべきだ!!」

「オールマイト?療養すんのはそっち」

「そうだけどそうじゃない!!え、これ歩かしていいの?きゅ、救急車ー!!リカバリーガールいたっけ!?」

「落ち着いて下さいオールマイトさん。霊華、自分が怪我してる自覚あるか?」

「見た目大げさなだけよ。」

「じゃあ詳しく言ってみろ」

「額と頬に皮膚切れて出血。あとは擦り傷。受け身結構したせいで背中痛いけど慣れてる。武器扱ってたから、途中から痣とか出来たけどセーフ!」

「うし、今から保健室だ。行くぞ」

「これぐらい自分でやるもん!保健室に行くまでもないし!」

「クマリンちゃんもう少しで腕折れそうだったけど時間なくて残念だったねぇ〜今度は脚を折った方が相手も動きずらくて簡単に逃げないなようにできるからオススメ!」

《ガゥ〜✨》

「やろうとするな。」


そう言って荷物からガーゼやら包帯を取り出して治療しながら色々話す船長に相澤はため息吐いた。





4日目。いつものように壁で区切られた少し広い場所で鍛錬する。違うのは人がいること。


「もっとコンクリ分厚く!!」

「私にそんなこと言えるの君ぐらいですよ」


厚みが増したコンクリートを素手で木っ端微塵に破壊する。個性はもちろんのこと、身体能力の強化もしなければダメなってしまう。女で拳一つ地面砂になるくらいを割った奴がこの世にいなくても、絵本みたいになりたい!身体能力が強いと個性使わなくてもこの世界の人間は畏怖する。力を込めて一点集中。1発しかできない怪力技を何回も出せれるように。


ドゴン!!!


「灰になるくらいまで破壊できないと意味ないわ!」

「個性を使わず素手で破壊するなら十分では?」

「全然ダメ!相手が超能力だったり自然だったり隠密だったら生きてる生物の気配でも分からない限り私のは使い物にならない!地球を破壊できるほどの力が欲しい!」

「お前は何になるつもりだ」

失敗作に二重人格で転生したけど文句あるの?

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