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「ここら辺ですか?」
「多分…あの家」
そう言いながら私は2階建ての家を指さした。
「普通の家ですね…」
「そりゃあ一般人だから」
「じゃあ入りますか」
そう言って陸久は私の腕を引っ張った。
「あ、でもお姉ちゃんに私の姿見えてないかも」
「確かにそうですね」
「だったら僕が代わりに行ってきます」
「ありがとう」
「一応、一緒に行きますか?」
「うん」
陸久はガチャという音と共に鍵を開け、
扉を開く。
中からは
「今行きまーす」
という声と共にドタドタと階段を降りて来る
姉の姿があった。
だが私の知っている姉の姿とは全く違い、
ガリガリに痩せていて目の下にはくまがあった。
その時、陸久の顔を見た姉は
「ひっ」
という声と共に後ろに少し下がった。
「来ないで!なんで来たの!?」
そう大声を上げる。
知り合いなのだろうか?
だとしたらどういう関係なのだろうか。
そんなことを思いながら私は自分の首を触った。
するとピリッという音と共に
何かが剥がれるような感覚がした。
私は驚いて自分の手に持っているものを見ると、
それは私の肌と同じ色の何かだった。
「これって特殊メイク…」
びっくりしすぎて思わず声に出してしまったと
思ったが2人には聞こえていないようだった。
「じゃあそろそろ帰りますね」
そう言い、陸久は姉に微笑んだ。
「その顔!その顔だけ似てるのムカつく!!」
「お前だけは絶対に許さないから!」
「人のこと言えないくせに」
姉の言葉に低い声で返す陸久。
今、陸久はどんな顔をしているのだろうか。
そう思い顔を覗こうとしたが
また避けられてしまった。