「逃げられた?監視は国連達がやっていたはずです。それを掻い潜るなど可能なのですか?」
「僕も何がなんだかわかんないよ!とにかく、これから会議するから来て!」
「みなさんにはもう伝えてありますか?」
「ううん、君が最初」
「じゃあアメリカとソ連には私の方から伝えておきます」
「お願い!」
そう言って2人は反対方向へ走った。
フランスだけでなくイギリスも焦りを覚えていたが、冷静さを失ってしまっては相手の思うつぼだ。そう感じ、イギリスは平静を装った。
実際賢明な判断だった。イギリスの行動によってフランスも冷静さを取り戻すことが出来たからだ。
ソ連は指示もなく自分から動くことは無い。まあ、アメリカやナチスが絡めば別の話だが、さっき会った場所から動いていないだろうと踏んで、イギリスはまず其方へ急いだ。
辺りはすっかり夜の闇につつまれていた。
思った通りで、ソ連を見つけることが出来た。イギリスは何も伝えないまま引っ張り出し、何も知る由もないソ連は目を白黒させた。
イギリスは構わず
「国連達の所に行ってください!」
とソ連を突き飛ばすように背を押した。
ソ連もようやくただ事じゃないことがわかり、何も言わずに進み出した。
イギリスはそのまま足を止めず、次はアメリカの所へと向かった。我が子のことだ。居場所くらいは分かっている。本気で走ったのはいつぶりだろうか。
「アメリカ!緊急事態です!」
「お、親父!?どういう事だ!?」
「犯人に逃げられました!」
「Why!?」
「いいから、行きますよ!」
イギリスは無理矢理手を引き、走った。後ろからアメリカがいくつもの言葉を投げかけるも、届いていない。最大限無駄を省いたお陰で、20分もたたない内に会議室に着いた。
枢軸は話し合いのため敷地内に居たから、イギリスとアメリカが最後だった。
全員が席についたことを確認して、国際連合が口を開いた。
「では、これから会議を始めます。四半時前に犯人が逃走しました。どうやって、何処に逃げたかは不明です。何か提案がある方はいらっしゃるでしょうか?」
「では私から。私のところにも封筒がきた。聞いているかもしれんが、日帝のところにもな。そこで改めて全員の封筒と写真を見せてもらえるか?」
ナチスが言った。どこか考えがあるような表情だった。
「了解です。国際連盟」
「あいよ」
国際連合が呼びかけると、国際連盟は部屋の奥へ向かった。
僅かな待ち時間の中で、ソ連が封筒を取り出した。宛名が滲んでいる。
「実は俺のところにもきたんだが、封筒は辛うじて無事だったものの写真が」
「なるほどな」
「一応封筒だけでも預かっておきますね。」
国際連合が封筒を回収したタイミングで、国際連盟が戻ってきた。決して明るい表情ではなかった。
「こりゃ、なんの冗談だ?」
「読み通りだったようだな」
国際連盟は封筒を机の上に置いた。そして封筒の1枚を手に取り、写真を取り出した。すると、中の写真の顔の部分が赤黒く塗りつぶされているのが見えた。
ナチスも自分の封筒を開け、赤黒く塗りつぶされている写真を見せた。
「気味が悪いけど、なんでそこまで動揺するの?」
フランスが聞いた。待ってましたと言わんばかりにナチスが即答した。
「血液だからだよ。それも、1人1人違った」
見比べるように国際連盟の手から写真を奪って、隣に並べた。これで違う者の血だと分かるナチスもナチスだが。
犯人が夜中に逃走して、今は黎明、最も暗い時間に差しかかろうとしていた。
緊張が走った。それぞれ自分の封筒の中身を見て、その全てが血液で塗りつぶされていた。
「どうやら、気味が悪いのはソレだけじゃねぇらしいぜ?」
国際連盟は1つの封筒を拾い上げた。それは、新しいものだった。
『枢軸・連合宛て』どうやら今までとは違って個人宛てでは無いようだ。
国際連盟は封筒を開けた。中身は写真では無く、手紙だった。2つ折りされた紙を開く。
短い文章だった。
『1つ目の記憶を思い出したら殺しに来い。2つ目の記憶はこちらが持っている。』
コメント
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テストが近いので続きはしばらく後になりそうです
はぁぁぁぁぁ✨️ 今回もまじ最高...✨️ 次回楽しみぃぃぃぃ!!(´。✪ω✪。 ` )