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朝 登校中
「てかさ、この前の国語の小テストどうだった?ナオト?」
「簡単だったな」
「もも、自信あるよ!でも1問だけ分からなかったやつあるんだけど……」
「何」
「仏の顔も、あれって、」
「あぁ、仏の顔も三度までか」
「えぇ!!三度までなの?」
「は?」
「もも、仏の顔も大したことねぇって書いてしまった…… 」
「バカか、」
てか、どんな回答してんだよ……
「馬鹿じゃないもん!」
学校につき、教室に入るなり……
2年A組はざわついていた。
朝、教室に入ると黒板に、でかでかとこう書かれていたのだ。
「この中に犯人がいる。」
「な、なんじゃこりゃあああああああ!」
もちろん叫んだのは月島もも。朝から元気120%
「ちょ、何これホラー?ドラマ?ドッキリ?ナオト、これってアレでしょ、ついに私、映画のヒロインに選ばれたってことだよね!」
「いや、事件が起きたってことだと思うけど……」
黒板の横には、貼り紙も。
【事件報告】
生徒会室の大事な鍵が、昨日の放課後、消えました。
見つかるまで2年A組の全員は、放課後掃除
番です!
いや、なんで掃除当番???
「掃除番って……なんでウチらだけー!?」「ちょ、これ超迷惑ー!」
教室中がどよめく中、ひとり静かに手を挙げた人物がいた。
「・・・・私が、犯人を探します。」
「おおおお!?」注目が集まる。
「その名も…..名探偵!月島もも!!」「いや、絶対無理だろ」
「ナオト、私は本気だよ。こういう時こそ!頭脳明晰、クールビューティーな私が一
ー」
「”頭脳”の時点でもう怪しい」
ももは廊下の掲示板、ゴミ箱、そして靴箱まで調査を始めた。
「ナオト助手、ここに落ちてる紙くず、なんか
匂う!」
「それただの牛乳パックの残りだと思うけど」
次に彼女が向かったのは一一生徒会室。
エレナにも付いてくれた
「犯人は、現場に戻る。これは名探偵の基本!」
「お前が最初に来たら、お前が犯人にされるぞ」
「つまり、私が容疑者であり、探偵であり、ヒロインという……最高のポジションに!」
直人はそっとため息をついた。
そしてーー、放課後の掃除中。
「わたし、見つけました!!」ももが体育館裏から、ガムテでぐるぐる巻きになった”鍵”を掲げていた。
「それ、なんでそんなとこに!?」
「えっ、怖っ……」
「つまりこういうことです!」
【名探偵ももによる、華麗なる推理ショー】
・鍵は昨日、風紀委員のエレナが、間違ってポケットに入れたまま帰宅
・ポケットの中でお菓子とまざってベタベタに
・そして、ガムテープでぐるぐる巻にした
・登校途中でベタベタが気になり、捨てた
・そのゴミ袋が風で飛び、体育館裏へー!
「……えっ、ちょ、私!?」
「ということで、犯人は……エレナ!有罪! 」
「ち、ちがいマース!!ナオトくん、助けてー!」
「もも、お前の推理、ほぼ妄想じゃねえか……」
こうして事件(?)は、なんとなく解決。
「名探偵もも、大勝利ってことで!」
「…..二度と探偵やるなよな」
「じゃあ次は、正義のヒーローで!」
「もっとやめろ」
放課後。2年A組の生徒たちは、重たい空気の中、ぞろぞろと掃除当番に繰り出していた。
モップを手にしても、誰もがイライラ。突然の連帯責任に納得できないのだ。
「はぁ~、なんでウチらだけ掃除なの~?」「誰だよ、鍵なくしたやっ……」「ホント、最低…..」
そんな陰鬱な空気を打ち破るように、どこかで叫び声が響いた。
「じゃじゃーん!名探偵もも、ただいま出動
ちゅー!!」
そう、月島ももは懲りずにまだ名探偵プレイを続けていた。
手にはレモン牛乳とチョコ棒、そしてなぜか虫眼鏡。
「….それ、何に使うの?」
「ナオト、虫眼鏡はね、探偵とパンダにしか許されてないアイテムなんだよ」
「パンダは関係ないと思うけど」
廊下を歩きながら、ももは床に這いつくばって靴の跡を追い始めた。
「この足跡、幅と間隔からして一身長157センチ、足のサイズは22.5!つまり!」
「つまり誰なんだよ」
「えっ……わかんない★」
「 ・・・・」
その頃、生徒会室ではーー
副会長の杉本が頭を抱えていた。
「まさか鍵がなくなるなんて……これは内密に処理するつもりだったのに……」
……すいませんっス」
風紀委員のエレナが、ぺこりと頭を下げる。
「昨日、帰り道でお菓子を食べてて、その、ポケットに入れたまま忘れちゃって……それで、べとべとになって、帰り道で…….ゴミ箱に……」
「つまり、お前か」
「はい、でも、ゴミはちゃんとゴミ箱に!でも鍵の存在、忘れてたデース!」
「はあ…….」
杉本は疲れた顔でため息をついた。
「でも、ゴミ箱ってどこだ?」「体育館裏の、もう回収されてマース…….」
その瞬間一ー
教室のドアが、勢いよく開いた。
「事件は解決したぁあああああ!!!」レモン牛乳片手に現れたももが、凱旋するように叫んだ。
「えっ、な、なんでここに!?」
「エレナにGPSを仕込んでました★」
「なんで?!」
「犯人は…..あなたデース!風紀委員のエレナ!」
「ち、ちがう、私そんな…….!!あっ、でもそうかも…….」
「鍵はゴミと一緒に捨てられたが、その後!誰かがそれを拾っていた!」
「だ、誰が!?」
「それは……!」
ぴょこん、と顔を出したのは一図書委員の根岸くん。
「あ…..これ、ゴミ箱に入ってたから、拾って返そうと思って……ポケットに……」
「なぜ黙ってた!!」
「いや、タイミング逃したっていうか……」
……もうめちゃくちゃでわかんないよ……
結局、事件の真犯人(?)は、ただのドジの連鎖。
鍵は無事回収され、掃除番も解除に。
「名探偵もも、大勝利~!」
「でも、解決したの根岸くんなんだけどな…….」
「違う!根岸くんはアシスタント!主役はこの私、名探偵・月島もも!」
「絶対、次も事件起きるな…….」