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nanana
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あの日の帰り道
お母さんが俺の手を少し強く握った後
「…隣の子と仲良くなれた?」
「うん!またあいたい!」
「そっか。じゃあまたお父さんのお見舞いついでに会いに行こうか」
「うん!!はやとくんね!」
そう嬉しそうに俺は、彼の話をしていたらしい
ここら辺は記憶がないが
少し切なそうだけど嬉しそうな
お母さんの笑った横顔だけは今も鮮明に覚えている
その日から俺は保育園帰りや休みの日にあの病室にお見舞いに行くようになった
前まで怖いと思ってたけど今じゃへっちゃら
毎日のようにお父さんに会えて
彼に会えて俺は嬉しかった。
彼とはいつもたわいもない話をしていた
たまに絵を描いたりして
それをお父さんとお母さんに見せたり
それでまた笑ってくれたり
少しずつ元の日常に戻りつつあった
別れ際はいつも彼とまた会えるって約束を毎日忘れずにしていた
でも、ある日いつものように病室に行きドアを開けてもらうと
お父さんはいつも通り俺を迎え入れてくれた
でもその隣のはやとくんの姿が見えなかった
ふとんもやけに綺麗に直されている
昨日までいたのに急にどうしたのかな?
トイレでも行ってるのかな?と俺はあまり気にしていなかった
でも何分経っても帰ってこないので
痺れを切らしてお父さんに聞いてみた
「ねぇ、はやとくんは?」
「あぁ、彼は…もういなくなっちゃったんだ」
「え?」
明日も会うって約束したのに
なんで?昨日も変わらず笑ってた、話してくれてた、俺の話を聞いてくれた
彼も彼自身の話をしてくれたのに。
それがもうできなくなるの?
俺は気付けば走り出していた
ボロボロと頬を伝う涙
涙でぼやけ滲む視界なんて気にならなかった
それよりも
はやとくんがいなくなった理由が気になった
なんで言ってくれなかったのか
どうして急にいなくなったのか
知りたいことも聞きたいこともまだあった
話したいこともあった
今日は、はやとくんにお守りをあげようと
この小さな手でハート型の折り紙を折った
彼の好きなピンク色で
せめてそれを渡したかった
もっと早く作ってれば渡せていれば
後悔しても遅いのは分かってるけど
今考えれば彼は何か体の不具合があって
病院で入院していた、
いつか会えなくなってしまうなんて
安易に想像できたはずなのに
楽しくて当たり前に会えてたから
そんなの
考えられなかったし考えたくなかった
今走ってる理由もわかんない
けど走れば会える気がした
あの最後の約束を果たせる気がした
思いのままに足を走らせる
小さくて短い足に加え走りづらい靴を履いてるせいで
何回も転けてしまう
いつもならここで泣いてしまう俺なのに
今日はその痛みさえも
気にしている暇はなかった
何度でも立ち上がって俺はまた走る
すると遠くの廊下に何かの台で運ばれる彼を見つけた
ほのかに香るこの桃の香りは彼の匂い
俺は最後の力を振り絞って
ポケットに入れていたお守りを
小さな手で握り締めながら彼の元へ駆け寄る
彼はいつもと違って具合が悪そうだった
そんな彼を見て俺は
俺には何ができるかと考えた
また会えた、それはいいけどこのお守りも渡したい
けど今渡せるような雰囲気じゃない
けど渡さなかったら後悔する
俺は少し迷ったがその時間さえも惜しくて
すぐに行動にした
「はやとくん!!!おれがついてるから!!」
くしゃくしゃになったはーとの折り紙を渡そうとする
でもそれと同時に手術室の前まで来てしまい
彼の姿は重い鉄のドアで見えなくなる
遮断された
渡せなかったお守りを俺は手に握りしめたまま
ドアの前に立ち尽くすしかできなかった。
泣きそうになるが
ここで泣いてもはやとくんは帰ってこない
俺は直感的に感じた
もう会えないと。
だったらせめてなにかこのドア越しにでもいいからいいたい、
そうすがる気持ちはあるのに
走ったり叫んだりで疲れたのか
どんどん歪んで霞んでいく気味の悪い色味の廊下の床で1人
涙を流しながら
俺は深い眠りと悲しみに埋もれた
まだいいたいことたくさんあったのにな。
私事ですが体調が良くないので
少しお休みします
それではまた。
コメント
17件
ガチで遅くなったけどめっちゃいい話! 遅くなった理由は...図書館行ってたからです(がち)
第2話、読み終わりました……。幼い主人公が「明日も会う」と信じていた相手との突然の別れを、走る・転ぶ・立ち上がるといった身体感覚で描いたところが心に刺さりました。折り紙のお守りが渡せなかった切なさと、手術室の鉄のドアで視覚的に遮断される演出が上手い。それ以上に、ラストの作者さんの体調に関する一文が気になります……無理せず休んでほしいです。続きが気になるけど、まずはお大事に。