テラーノベル
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〈次の駅は、黒潮駅でーす〉
気がつくと車両に生えていた珊瑚はホロホロと崩れ、海流に流れるかのように空中を流れて消えていった
その代わりに明るかった車内が青く暗くなり、サバやマグロなどの魚が泳ぎ始める
キキーッ
〈黒潮駅、到着です〉
〈この駅は非常に広い駅となっております、道に迷わないようお気を付け下さい。〉
〈それでは引き続き汽笛が鳴ったら帰ってきて下さいね、〉
〈それでは、行ってらっしゃーい〉
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
運営side
rd「うわっ、人混みやばっ」
駅は俺達の世界の駅前のような賑わいで、人の流れがとても早かった
rd「…あれ?みどり!?」
kyo「居らへん!?」
ru「ちょっ、押される…!」
co「あ〜タヒぬぅ〜〜〜……w」
rd「コンちゃん!?w」
ru「人混みに飲まれてった…w」
kyo「タヒぬ言うとったでw」
rd「やっば、これ人の流れ早すぎ」
「お前ら、こっちだ」グイッ
rd「えッ…」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
rd「ふぅ〜…ここ路地裏…?」
「あぁ、ここなら人は通らない」
真っ白な布を顔に着けた低い声の男が話しかけてくる
「大丈夫か?お前らマヨイビトだろ?」
kyo「…マヨイビト?」
「はぁ、知らないのか」
「あの列車に乗ってきたんだろ?」
「そうやって駅に来た人をマヨイビトって言うんだ」
md「ヘェ」
rd「みどり…お前生きてたんだ」
co「辛辣w」
rd「あっ、コンちゃん生きてたんだ!?」
co「辛辣っ!!」
kyo「『あ〜タヒぬ〜』言っとったもんw」
ru「あ、そう言えばお名前は?」
「俺か?俺は___」
スタスタスタ…
路地裏の奥から顔に『銃』と書かれた布を着けた男がやってくる
「射的、休憩入ったぞ」
「あっ、兄さん」
どうやらこの2人は兄弟のようだ
兄「この人達は?」
弟「人混みに巻き込まれてたから連れてきたんだ」
兄「へぇ〜、珍しいな、マヨイビトか」
兄「ようこそ、黒潮駅へ。」
兄「ま、こんな人の流れが早いとこでも楽しめるとこはあるから」
兄「まぁ…楽しんでけよ」
弟「ここで会えたのも何かの縁だ、人が少ない場所を案内してやろうぜ」
兄「お、いいなそれ」
弟「だろ?さ、こっちだ」
rd「あ、はーい」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
路地裏を抜けた先にあったのは、
屋台が無数に並ぶ、お祭りのような場所だった
弟「ここだ、賑わってはいるが、南通りよりマシだろ」
兄「最近、南通りは流れが激しいんだよな…」
そう言って兄弟は苦笑いを浮かべる
rd「あ〜…大変っすね」
弟「あぁ、まぁ楽しんでくれよ。」
兄「俺らは持ち場に戻るから。」
ru「あ、ありがとうございました」
スタスタスタ…
兄弟は仲良く二人で歩いていった
kyo「…せっかくやし、屋台回ろうや」
rd「お、行こ行こ!!」
md「ラダオクン、コッチニ珍シイオ店アル」
rd「どんな店?」
md「茶香師サンガオ茶淹レテクレルンダッテ」
ru「、、!!」
co「…行こっかw」
コンちゃんはレウさんを見やりくすりと笑う
「あ、いらっしゃ〜い」
「いらっしゃいませ。」
背が高く、ふわふわとした口調の男と、
どこか落ち着き払っている男が俺らを出迎える
両方顔に布を着けており、
背の高い方は『刺』と、
落ち着き払った方は『毒』と書かれている
刺「なんのお茶飲みます〜?」
毒「今の季節は…そうですねぇ、向日葵のお茶がおすすめですよ。」
rd「あ、じゃあそれを5杯下さい」
刺「まいどありぃ〜」
刺「ねぇ桐さ〜ん、あの茶器ちょーだい?」
毒「えぇ…?どこにあったかな〜…」
『毒』の布を着けた男は屋台の中を見渡し、
黒い桐箱から見事な茶器を五つ取り出した
毒「これですか?」
刺「そーそー、それ〜」
トプトプトプ…
背の高い男は茶器を並べて、お茶を注ぐ
刺「はぁーい、どうぞ〜。」
毒「熱いのでお気を付けてお飲み下さい。」
rd「ありがとうございまーす」
人の邪魔にならないところに移動し、お茶をみんなで1口すする
お茶を口に含むと、ふわりと向日葵の優しい香りが鼻に抜ける
ru「……うまぁッ…!!」
co「…おいしい、、!」
kyo「これは…美味いな…、、」
md「…ンマ、、」
rd「…おいしぃ……」
そのお茶は思わず言葉を零す程に美味で、
あのきょーさんも舌鼓を打つほどだった
刺「あは、気に入りました〜?」
rd「んわッッ!?」
毒「すみません、コイツが様子を見に行きたいと聞かないもので…」
気づけば背後に屋台にいた人達が居た
桐「あ、自己紹介してないですね、私は桐です。」
布に『刺』と書かれた男、改め桐は
こちらを見やり、ぺこりと会釈をする
刺「僕は茶香師!桐は茶器作ってるの〜」
桐「…まぁ、作るのはうちで取り扱う茶器だけですけどね。」
刺「あ、桐ぃ、アレちょーだい?」
桐「…しょうがないですねぇ、、」
桐は懐から美しい茶器を取りだした
茶器とは思えないほど透き通っており、
波のような黒い模様があしらわれている
桐「こちら、旅のお土産としてお持ち帰り下さい。」
rd「えっ、そんな綺麗な茶器貰えないですよ」
刺「いーのいーの、これから大変だと思うけど頑張ってね!」
そう言って俺の手に茶器を押し付けて去っていった
?「まったく…相変わらずアイツは勝手だな」
背後から声がして振り返る
そこに居たのは、 顔に『撲』と書かれた布を着けた男だった
rd「…え、と…あなたは?」
撲「俺か?…俺はしがない貿易商だよ」
撲「…もうあんなモノは売らないがな」
co「あんな物?」
撲「それより、なにか欲しい物はあるか?」
コンちゃんの言葉を遮るように貿易商は話し始める
撲「一応、情報も食べ物も取り揃えてるぞ」
co「…では情報を頂きたいですねぇ。」
コンちゃんはニコニコと笑顔を貼り付けながら交渉を始める
撲「…そんなに警戒するなよ、俺はお前らが知りたいことを知ってる」
co「へぇ、では…証明できるような情報を貰いたいですねぇ?」
撲「…あぁ、いいだろう」
そう言って貿易商は紙切れを取り出し、コンちゃんに差し出す
md「読ンデ、コンチャン」
co「ん、分かった〜。」
あるとき、あるいは出来事を境に
ーーになる人もいれば、
徐々にーーになっていく人もいる。
そう、ーーになる瞬間は色々だ。
だが、生きてれば全員、
ーーの境界線を越えることになる
越えたくなくても、
いつか越えなければいけなくなる
けど越えたくなかったり、
逆にーーになろうと生き急ぐ人達。
そんな人達はきっと誰しも乗る、
あるいは乗ったかもしれない列車、
co「それが、『海獣列車』…」
rd「どういうこと…?」
撲「…それは俺の口からは言えない」
ぼわぁぁぁ…
撲「…ほら、汽笛だ、早く戻れ」
rd「あ、はい」
タッタッタッ…
撲「…愿幸福降临到你身上」ボソッ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
プシュゥ…
〈おかえりなさーい、黒潮駅は如何でしたか?〉
nk「あんまり甘いものなかった…」ショボン
〈まぁまぁ、次の駅は甘いものや美味しいものが沢山あると思いますよ〉
tm「次の駅はなんて駅なんですか?」
〈えー、次の駅は、〉
〈親潮駅です。〉
NEXT→♡1000
(めっちゃ書くのに時間かかるから多め)
コメント
14件
…兄弟…見覚えが…絵チャ… ウッ!頭痛が!!!
風景が分かりやすい…これが文才のある人か……想像しながら見るのめっちゃ楽しい…!
めっちゃ久々に海獣列車動かしたわ