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「もうこんな時間か。らん、先に風呂入ってきていいよ」
「ん、いーの?」
「俺が入ったあととか嫌だろ笑」
「別にそんなことないけど笑 まあありがと、入ってくるね」
今日はらんが泊まりに来ている。 なんでも、親がいなくてひとりが怖かったらしい。
幼馴染だからって頼んできたんだろうけど。
仲いいとはいえ、一人暮らしの男の家にけろっと泊まろうとしてんの、さすがに危なくね?
…ま、俺は何もしませんけどね?
でも女の子だし、らんは特にかわいいし。
本当に気をつけてほしい。
「あ、待て、らん!服は!?」
「…」
これはもう行っちゃったな。
「しょうがねぇな…」
わ・ざ・わ・ざ風呂場まで移動し、わ・ざ・わ・ざドアをノックしてやる。
「らーん」
「ぅわぁっ!?」
「うわぁじゃねーよ。服、あんの?」
「あ”っ」
「だろーよ。わかった、らんが入ってる間に適当に置いとくから」
「ありがと〜!」
しょうがない。らん用に見繕ってやるか。
「これでいっか…」
当然全部俺のサイズだし、らんに合うわけないんだよな。
だいぶ大きめだろうけど…それはそれで可愛いの確定してるだろ。
らんが俺の服着んのとか、やばいな…
コンコンコンッ
「らーん、いる?」
…よし、いないな。
「らん、ここ置いとくからなー」
…?
「らん?」
返事がない。
シャワー出てるかんじもないし、流石に聞こえると思うんだけどな…
そっと扉越しに耳を澄ます。
けど、音がない。
___いや、微かにする。呻いてるような…
「らんっ!?」
まずいかもしれない。
もし、意識が無いんだったら…?
「入るぞッ!?」
異性だし若干ためらう気持ちもあるけど、そんなこと言ってる場合じゃないのは明白だった。
「らんっ!!」
急いで開けると、案の定、顔まで浸かってしまっていて息ができているか怪しい状態だった。
「やばい…」
すぐに風呂の栓を抜き、水の中から引き上げる。
濡れた身体は滑りやすいうえに、力が抜けていて、ちょっとでも気を抜いたら落としてしまいそう。
強めに背中を叩いてやると、しばらくして、ようやく湯を吐き出した。
「ゲホッゲホッゴホッ」
「よかった…」
息が整うまでやさしくさすっていると、だんだん落ち着いてきたようだ。
「らん、わかる?」
「ん………、いぅま…?」
ぐったりしたまま、ちょっとだけこちらを向いたらんがか細い声で反応を示した。
それだけで、だいぶ安心だ。
「らん、よかった…」
「あれ…わたし…?」
「溺れてたんだよ。まじびびった…」
「あ………いぅま、いなかったら…」
らんの目に浮かんだ涙をそっと拭い取る。
ちゃんと”ここにいる”ことを感じさせたくて、ぎゅっと強く抱きしめ直した。
「もうだいじょうぶだから。俺がいる。安心して」
「あぃがと…」
こくりと頷いたのを確認して、らんの膝下と肩に腕を回す。
「一旦あがろうな。抱き上げるよ」
「ん…」
ゆっくりと床に下ろしたあと、身体を支えながらバスタオルを手に取る。
「…拭いておいてやるよ。身体、俺に預けとけ」
ぱっと顔を赤らめたらんがふるふると首を振る。
「じ、じぶんでできる…//」
弱々しく恥ずかしがるらんの額にぱちんとデコピンを食らわせた。
こんなに力入ってない状態でどうやって自分でやるっていうのか。
「いいから、できねぇこと言ってねーで黙って甘えてろ。……だいじょうぶ、らんが嫌がることは絶対しないって約束するから……//」
俺だって女の子の身体とか慣れてないし、すごい緊張してるし。
簡単に触れるもんじゃないのもわかってる。
らんだし、尚更ためらう。
緊急だから、ってなんとか冷静を保ってるけど、普通に好きな子相手だからな?
「…いるまも赤いじゃ〜ん?笑」
「っせぇ、らんのせいだわ」
弱ってるというのに、からかいグセが抜けないのは相変わらずらしい。
ったく、どうなってもいいのかよ…
「まぁ…ありがと、いるま」
「ん」
小さく微笑んで、こてんと頭を預けてくる。
完全に信頼してくれたようでなにより。
そっと頬に触れると、うれしそうに触れた手を両手で包みこんでくるのがとんでもなく可愛い。
勝手に理性を崩されそうになりながら、手早く身体を拭きにかかった。
「らんー終わったからなー?」
「んぅ…?」
いつのまにか眠ってしまっていたらんを再び抱きあげる。
一応話しかけてはみるものの、まだ頭の回ってなさそうな声でぽやぽやしてるから流石に起こすのは可哀想だということで、さっさとベッドに運ぶことにした。
「んしょ、」
静かに寝かせると、起きてしまったらしいらんと目が合った。
「ごめん、起こしたな」
「ううん。ほんとにありがとう。気づいてくれて、助けてくれて。いろいろ…やってもらっちゃった」
申し訳なさそうに言いながら、どこか安心したような表情をみせるらんをみて、ほっと胸を撫で下ろした。
気にすんな、と言う代わりに頭を撫でてやると、きゅっと俺の袖をつまむらん。
「あの…もういっこだけ、わがまま言ってもいい…?」
珍しい。
俺を頼ってくることはあるけど、こうやってねだってくるのはなかなかない。
よっぽどのことなんだろうか。
「いいよ、言ってみ」
できるだけやさしく微笑んでみせると、照れたように目を逸らしてから、ちらっと上目遣いっぽく目をあわせてくる。
「その…いっしょに寝たいって言ったら、嫌…?」
は??なんだこいつかわいいがすぎるだろ。
急に甘えてくるとか、ほんとずるくね?
でもまあ…らんもこわい思いしたよな。
「嫌なわけねぇよ。…俺も風呂入ってくるから、先寝ててな」
「ううん…まってる、!」
「ふは、寝ちゃってんじゃん」
待ってるって言ってたくせに笑
なるべく起こさないように同じベッドにもぐりこみ、らんに毛布をかけなおしてやる。
なんの警戒もなく無条件に安心してくれてるような、やわらかい表情。
きっと俺にしか見せてくれないな、なんて自惚れそうになって。
期待、したくなる。
「っ…//」
いやほんとに、普通にやばい。
俺の服着せてるのとか、抱きあげたのとか、近すぎる距離とか、いまさら意識してしまう。
気づけば、らんの頬に手を伸ばしていた。
そっとひと撫ですると、無意識なのかどうなのか、てのひらにすりすりとくっついてくる。
そんなの、耐えられるわけなくて。
「あぁーもうっ…」
抑えきれずに、ぐっと距離を縮めた。
そのまま唇を重ねようとして___
やっぱり、思いとどまった。
「…さすがにだめか、笑」
ギリギリ触れないところでパッと離れる。
…なにやってんだろ。らんが知らない間に、なんて。
誰が見てるわけでもないのに、気恥ずかしい。
すると。
服を軽く引っ張られる感覚。
気のせいかと思いながらも隣を見ると、いつのまにからんが起きている。
「…え?」
「…ちゅ、して…っ?」
「え、は?」
…ん?
え、いまらん、なんて…?
「…今日やってもらってばっかだし…私のお願いも叶えてもらっちゃったからっ…いるまがしたいなら、ちゅ、して?//」
聞き間違いじゃなかったらしい。
まさからんからそんなこと言われるとは思ってもなかった。
ていうかなに、起きてたんかよ!?
「…ばれてたんかよ、恥ず// つーか、そんなこと言ってると…その言葉、本気にするけど。」
半分脅しのつもりでじっと見つめると、らんがこくりと頷いた。
「いるまじゃなかったら言ってない…」
微かな声で付け足したその言葉も、俺は聞き逃さなかった。
らんも本気で言っていると勝手に解釈しておく。
「じゃ、らんがちゃんと起きてるときに…な?
明日、約束ってことで?」
…なんていじわるっぽく笑ってみせる。
余裕感取り繕いながら、この頬の熱さと心臓の音もうまく誤魔化せてるはず。
____たぶん。
※注意
溺れた人を救助するシーンがありましたが、調べた内容をもとに、お話用にだいぶ省略してつくっています。
実際の方法とは異なることをご理解ください。