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私
には姉がいた。
美しくて優しくて強い自慢の姉だった。
姉のようになりたくて必死に努力して、いつの間にか私が姉になっていた。
私は私のままだったけれど、皆から頼られる立派な姉になったのだと思っていた。
そう思っていたかっただけだったのかもしれないけど。
今になって思うと、あれはただの勘違いでしかなかった気がする。
きっと本当は私なんて、誰にも必要とされていなくて、誰からも愛されてはいないのだと思う。
それでも良いと思う。
だって私はもう、この世にはいない人間なのだから。
死んだ人間のことなんか誰も気にしないでしょう? だけどね、もしももう一度、誰かに会うことができたら、その時はちゃんとお礼を言いたいと思っているよ。
私を産んでくれてありがとうって。
私を愛してくれてありがとうって。
私は幸せでしたよって。
私は死んでしまったけど、こんなにも素敵な家族に囲まれていましたって。
お母さんとお父さんに、伝えて欲しい。
それが私のたった一つの願いだよ。
私の妹へ。
いつもお兄さんのお世話をして偉いね。
頑張ってる妹を見てると、私まで元気になるよ。
妹がいつかお嫁に行く日が来たら、笑顔で見送ってあげたいなぁ。
あ、でもちょっと嫌かも。
もしそうなっちゃったら、私もお義兄さんのところに遊びに行ってもいいかな? もちろん、妹の許可を取ってからだよね。
あとさ、もう一つお願いがあるんだけど聞いてくれる? 私が死んだ後もずっと、お兄さんのことを支えていて欲しい。
お兄さんが一人で歩いていけるように。
そしたらきっと、私たちは天国で再会できるんじゃないかなって思ってるんですけどね! そう言って少女は微笑む。
彼女はいつもそうだ。
いつだって笑顔だ。
彼女の顔には表情がない。
彼女が笑う時は大抵作り笑いだったから。
それでも笑っている時の彼女からは幸せそうなオーラを感じたものだ。
だけどもう彼女はいない。
私の目の前で、車に轢かれて死んだ。
交通事故による死は、神様からのプレゼントだという人もいるけれど、私にとっては最悪の贈り物だった。
私がもう少し早く気付いていれば助けられたかもしれない。
もっと必死になって彼女を探せば良かったのだ。
後悔しても仕方ないと分かっていても後悔せずにはいられない。
もしやり直すことができたら今度こそ絶対に守り抜くのに……。
ーーーーーー
「んぅ~」
朝、目が覚める。
今日は土曜日。学校はない。
目覚まし時計を見る。時間は5時半だ。まだ起きるには早いかもしれないけど、今日から学校だし早く起きて準備しようかな。
カーテンを開けると外はまだ暗く、星が見える。いつも見ている景色なのに何故か新鮮な気分になる。
「んー……あれ?」
何か違和感がある。いつも通り部屋を出て洗面所に向かうとそこには見慣れない物があった。
「この歯ブラシ誰のだろ」
ピンク色の柄をした普通の歯ブラシ。うちにある歯磨き粉とは違う匂いがする。誰か間違えて使ったかなぁと思いつつ、それを手に取った瞬間だった。突然ピンクの花びらがブワッと舞い上がり、歯ブラシから噴き出したのだ。
「わあ!」
思わず声を上げる。だけどそれも一瞬のこと。桜吹雪のように舞っていた花々はすぐに消え去り、後にはいつも通りの見慣れた光景があるだけだった。
「えーっと……?」
今起こった出来事の意味が分からずに首を傾げる。
――あれ? そういえばこの部屋こんなに広かったかなぁ……? それになんかいつもと違って妙に落ち着かないような気がするんだけど。
「ふぅーん……?」
視線を感じて振り返ると、そこにはニヤニヤ顔を浮かべている姉の姿が。
「ねぇ、あんたが持ってきてくれたゲームだけどさ、これなんだったっけ?」
「えっと確か『ときめきメモリアル』だっけ? 昔よく姉さんと一緒にやってたよね」
「そっか! 懐かしいな~」
僕の名前は東雲優斗。
高校二年生で身長百七十センチ体重五十キロの細身の体型で髪は肩まで伸ばした黒髪で顔立ちは中性的で整った顔をしており肌の色は雪のように白く瞳の色も黒いために美少年にも美少女にも見える容姿をしている。
性格は見た目に反して気が強く喧嘩早く短気で自分の思い通りにならなかったり気に入らないことがあればすぐに暴力を振るったり怒鳴り散らしたりするが面倒見がよく困っている人を見捨てることができないために一部の人間からは慕われている。
また他人から命令されるのを嫌う反面、他人には偉そうな態度を取ることが多い。しかし一度認めた相手に対しては態度を変え従順になることもある。
外見上は美少年ではあるが中身は女性的な部分が多く特に恋愛事に関しては興味津々である一方かなり鈍感であり好意を持たれていることに気づいていないことも多い(ただし本人は自覚していないだけでモテてはいる)。
「僕に逆らう奴は親でも殺すぞ!」
「貴様ぁ!僕の言うことが聞けないと言うのか!?」「お前たちには僕に対する敬意というものがないのだ!」「この役立たずめ!!二度と口を開くんじゃない!!」「おい!何をボーッとしているんだ!さっさと仕事をしろ!!」
「もうダメだ……」「疲れたよぉ……」
「あ~今日も仕事だったぜぇ~。マジつかれたわぁ~」
「明日からまた休みだし、今夜はパーっと飲みに行くぞー」