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初めから解っていた。おかしな感情だって。それでも諦めなかったのは、諦められなかったのは、貴方はそんなことで人の良し悪しを決める人じゃないと解っていたから。口には出せない。言ったらきっと_________

あぁ、違うのに。貴方はこんな人じゃないのに。僕が彼を僕の世界から消したんだ。彼の目を見て話すことができない。こんな綺麗な瞳に僕が映っても良いのだろうか。同じメンバー、同じ性別、なのにどうしてこんな感情抱いてしまったのだろう。


彼の瞳が欲しいだなんて_____________________


🐹「ジョングガ?聞いてる?」


🐰「…すみません。僕、先に部屋戻ってますね!」

🐹「ちょっ、ジョングガ!!」



また、逃げてしまった。彼の瞳から。悲しそうな顔をしながら僕の背を見つめているだろう貴方の瞳から。やっぱり、綺麗だ。

僕には見えない美しい世界。花も鳥もみんな彼の虜。まるで童話の中のお姫様みたいに。じゃあ王子様は誰?少なくとも僕では無い。解っている。そんな彼の世界を見てみたいと思った。僕だけの物にしたいと思った。彼も世界も。

彼氏でもないのに他のヒョン達に妬いて。また自己嫌悪。嫌われたって被害妄想。もううんざりだ。いっそ、こんな気持ち脱ぎ捨ててどこか遠くへ行きたい。それでも彼の顔を見ると自然と自分の顔も笑ってて。告白するほどの勇気もなくて。


あのヒョンみたいになれたら__________


🐯「ジョングガ、お前大丈夫か?」

🐰「…テヒョンニヒョン。」

🐰「大丈夫かって何がですか?僕は何ともないですけど。」

🐯「嘘つけ。ジニヒョン、めっちゃ心配してたぞ。」

🐰「………………」

🐯「何かあっただろ。相談乗るぞ。」

🐰「………」


こんな僕にも優しくしてくれる。貴方はまるで童話の中の王子様のよう。ムカつく。何も知らないくせに。僕が貴方だったら。自由で真っ直ぐで誰にでも優しい貴方だったら。きっと彼を幸せにしてあげられる。そう納得してしまうほど。いや、納得してしまう自分がいるから余計自分の心の中からどろどろとした真っ黒の感情があふれでてくる。消えて、きえて、キエテ、


🐯「ジョングガ、」

🐰「…テヒョンニヒョンには何も分からないでしょう!!」


目を見開く彼の顔が見える。優しい顔。だから、だから、

🐰「その顔がムカつくんですよ!!!全部手に入ってるみたいなその顔が!!!!僕には出来ないから!!貴方が、貴方が、」



『羨ましい』

この一言が喉に突っかかった。彼の瞳に映る自分の顔に気がついてしまった。醜い。汚い。もう、顔を上げられなくなってしまうほどだった。嫌だ。嫌だ。嫌だ。この瞳に顔に彼の顔が映ってしまうことが。僕以外の誰かに取られてしまうことが。

僕のジニヒョンなのに_______________________


もう、僕に居場所はなかった。


🐯「ジョングガ!!!」



______________________________________




窓から生ぬるい風が吹く。僕の髪はそれにしたがってなびく。泣いた顔を隠すように僕の目にかかる髪。あれ?こんなに長くなってたっけ。あの人にこの感情を抱いてから髪の事なんか忘れるぐらい彼に夢中だった。大きな目。ぷくっと腫れぼったく膨らむ綺麗な唇。綺麗な腰のライン。全てが自分の物にしたいと思った。全て食らいつくしたいと思った。きっと彼の体は甘い。どんなお菓子よりもきっと甘い。僕の大好物になるだろう。抱き締めたい。誰かのものになる前に。


🐰「僕のものにしなきゃ。」


独占欲に溢れたこの言葉。何度も自分に言い聞かせてきた。今日こそ今日こそってアピールしてきたけど彼の瞳のなかに映る僕にはまだなにか足りない気がして。ある日、テレビから聞こえてきた言葉で僕はどこか暗い不思議なところに閉じ込められたような気がした。

『同性愛とかマジキモいし正直引く。』


彼も同じ気持ちだったら?もう、後戻りは出来ない。彼の瞳には映れない。だから、彼と距離をとった。仕方ないじゃないか。僕だって好きな人に嫌われたくない。

僕は目を瞑る。神様お願いです。


『臆病な僕を許してください。』

『この雨を止めてください。』

『神頼みな僕にどうか天罰を下してください。』


🐰「…愛して…ください…」


叶いもしない願いを抱えながら僕はすうっと暗い暗い夢の中に墜ちていった。


彼の瞳が欲しい1 終わり

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