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最近耳に入る言葉、【燃え上がる末脚】それはマイルから中距離で活躍するフレアテイルという競走馬の異名だった、彼女は中団後方から最後の直線で仕掛けるいわゆる差しの競走馬。彼女は尾花栗毛という珍しい毛色に500kgを越える巨体
当然目立つ、目立ちすぎる。ライト層を一気に引っ張りこみ、その末脚でどんどん勝ちをもぎ取って行った。
アメノマエとは真反対。
スター競走馬だった。
そんなフレアテイルとあるレースで相見えることとなった。
離れ気味だったファンはそれでも一部アメノマエを応援してくれたが大多数はやはり、フレアテイルの末脚に賭けた。
無理もない。
数字だけ見ればフレアテイルは格上だったからだ。
重馬場ダートのマイル。
なぜこんなレースにフレアテイルが出走したのか。
理由は単純フレアテイルの調教師が何とアメノマエに合わせて出走させたのだ。
フレアテイルの調教師は居酒屋でこんな会話を聞いていた
「なぁお前曇天の覇者って知ってるか?」
「なんだよそれお前飲みすぎておかしくなったか?w」
「違う違う!そうじゃなくて!これさ、アメノマエっていう競走馬の一部で囁かれてる異名なんだよ!」
「はぁ?競馬ファンって厨二病卒業してないのか……?」
「うるせぇな、とにかくこいつはな、前日雨の重馬場で絶対に前を譲らない渋い勝ち方をする馬なんだよ!」
「へぇ……」
興味無さそうに流される話。
でも妙に残る、競馬に携わるものとして調べずには居られなかった。
レースを見返してみると、なるほどたしかにすごいではないか。でもそれ以外が壊滅的な戦績だ。
「重賞で1着の経験はあるようだな……それでも……」
だが逆に見てみたくなった。
天気予報を見るとちょうど前日雨の予報。
「あの馬持ってるな…?」
調教師は少しニヤついた。
―時間は戻りスターティングゲート。
各馬前を見据える。
アメノマエはいつも通り。
成長して落ち着きを手に入れたほどだ。
スタート
アメノマエは中団前方にいる。いつものリズム。
フレアテイルは前を見据えるように中団後方若干外から足をためる。
コーナーを無事回り、最後の直線。
先にしかけたのはフレアテイル、外に持ち出し一気に加速する。
アメノマエも前を狙って最後のスパート。
フレアテイルは一気に中団を越えて
先団を狙う。
アメノマエはここで先頭につけた。
―来る
後ろから燃え上がる末脚が。
競り合い、抜け出した。
重馬場で先団がバテていたのもあるがアメノマエは根性だけで前を守る、隣の大柄な牝馬に気圧されるように見えたが
ー違う。
むしろ対抗心を燃やしに燃やした
もっと前へ
ただひたすらに前へ
結果
―アメノマエ、僅差で1着。
フレアテイル″とは″僅差だった
しかし後続からは1馬身以上の差。
これはアメノマエにとって偉業だった。
いつも競り合うものたちとは格が違ったフレアテイル相手にここまで前を守りきって見せた。
―ライバルが、限界を引き出した。
そういう他なかった。
フレアテイルにとって、そのレースは勝ち星ではなかった。だから、大きく語られることもなかった。
そもそも、アメノマエという馬は、話題性に乏しい。
大多数に語られるほどの存在ではない。
——それでも。
確かに、勝ったのだ。
あのフレアテイルに。燃え上がる末脚に。