コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「ねぇ、こんなのだけど、僕って綺麗?」
何気ない世間話ばかりしていたピロートーク中、突然そんな事を言い出した僕に多忙な彼は此方に背を向け、服を着ながら答えた。
「いきなり何だ、、、、、まぁ、容姿は整っていると思うぞ。」
中々に嬉しい回答が返ってきたのは意外だったが、聞きたいのはそちらでは無く僕はベッド脇にある窓から登る満月を見つめていた。
「厭、、、、、、身体の事だよ。
何時もセックスする時にヒョードル君が言うんだ
“傷付いた貴方は何よりも美しい”ってね
同じ飢えた野獣なら解かると思ってね」
そう告げると手先が器用であっという間にボタンを着け、
着替え終わった彼が此方へと目線を送る。
行為後にも関わらず熱の籠もった薄紫が僕の身体をキッと睨み付けた。
「そんな特異な趣味嗜好、私に分かる訳ないだろう。
あと何時も言っているが私以外と交わるな、触れ合うな。私だけを見ろ」
勿論、シグマ君はシグマ君でヒョードル君はヒョードル君だ。だが、正に雌に飢えた野獣の様なその瞳が、矢張り彼に似ている
身を焦がす様な重い歪んだ愛情を、劣情を全て吐き出した彼は僕に上書きする様に桜色に色付き誘惑する小振りな唇に熱い口付けを落とした。
何時もの様な優しさは無く、獲物を目の前にし釘付けになる狼の様に甘く艶めく其処に喰らい付く。
数十秒間続いた其れから開放され酸素を吸うと逃さないとでも言うように彼の僕よりも小さいが世間一般的に見れば大きい身体が傷だらけの肌に影を作り、二人の身体が密着する
そう、抱き締められているのだ
「私以外の人間と関わるな。話すな。息を吸うな。」
普通に生きていれば明らかに無理難題と知っていても彼の嫉妬心が赦してくれないらしく、、、一層肺が圧迫される。
「はは、きみも、、、、獣だよ、、」
背中の無数の傷に涙が滲みるのに幸福を感じながら、
母を求める迷子の幼子の様に露頭に迷い僕をひたすら求め続ける彼をそっと抱き締めかえし頭を撫でる
まるで、発情期の雌が雄を美しい羽根や仕草で誘惑するかの如く。
「一体、、、獣は何方何だろうな?」
挑発に乗り、眉を上げ純真な少年の様、
それでいて女性を誘うホストの様な妖艶な笑みを浮かべた彼は朝まで散々ぐちゃぐちゃに混ざり合ったと云うのに再度僕を柔いベッドに沈め、身体を影と白と薄紫の長髪でカーテンの様に僕の全てを包み込む。
どうやら、赤子は三大欲求が旺盛らしいが、、、。
うちのシグマ君はそれに加え束縛が酷く激しいらしい
其れはまるで、、、、、獣の様に。