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〈 注意!! 〉
・これは完全妄想の物語となっております。
・御本人様とは一切関係がございません。
・キャラ崩壊にご注意ください。
*微ホラー注意
*ふたりは付き合ってます
※『視点主』「その他の人」〔”無線”〕です
[皇帝視点]
今日は警察も救急隊も珍しくたくさん出勤していた。
そのため特に大きな仕事が回ってくることもなく、時間を余らせていた。
のんびりドライブでもしようかと考えていれば、同じ誘いを煉先輩から受けた。
『別に!我は暇な先輩に付き合ってやってるだけだからな!!』
いつものようにそう言えば、はいはいと穏やかな声で流される。
「じゃあ…天気いいし海にでも行こっか」
ぱあっと顔を明るくした我を見て微笑む先輩。
最近の出来事など色々と話しながら、海辺の夕陽がよく見える丘にふたりで座る。
このまま時間が止まってしまえばな。
なんて、儚い夢は突如として打ち砕かれた。
まるで口裏を合わせていたのかのように一気に人が退勤したのだ。
警察も救急隊もさっきの半分以下しかいない。
しかも空には先程までなかった重たい雲が風によって運ばれてきていた。
「うーん…ちょっと怖いなぁ、一旦署に…」
煉先輩が言い切る前に、犯罪通知が来た。
それも2、3件どころではない。
それからお互い言葉を交わすこともなく、今日はお開きとなった。
『くそっ、忙しすぎる…!』
場面は打って変わって事件対応。
弾を入れては銃を構え、撃って、撃って、。
しばらくはドンパチ戦えていたが、いつの間にか後ろを取られたようで。
気づけば曇り空を仰いでいた。
『せめて星が見えたらなぁ』
なんて呟いてみるが、見えたところで状況に変化がある訳でもない。
先程よりも随分落ち着いて、ギャングが引いた後も救急隊を待ち続けたが、、
無情にも何分、何十分と時間だけが進んでいく。
『はぁ…しょうがない……こんな日もあるか…』
ひとりごとのようにそう呟き、”リスポーン”を選択する。
何も起きない。
もう一度。
何も起きない。
今度は声を出しながら。
『我は…リスポーンするぞ!!』
何も起きない。
かと思われたが、真っ白な部屋に飛ばされた。
『、?!なんだここ…?、、歪みか?』
まぁ…これだけ一気に街が動けばそうもなるか。
なんて静かに納得していると、遠くに人影が見えた。
体を起こし近づこうとするが動かない。
声を出す間もなく耳元でゴウンと重い音が鳴り響き、視界が暗転した。
目覚めた場所はいつものレギオン。
変わらない景色。
変わらない交通量。
相変わらず折れているゲートバー。
違う点を上げるとすれば…、
人が誰もいないところだろう。
『珍しいな、レギオンが静かなんて』
曇天も相まって少し恐怖を帯びた街を見渡す。
疑問に思いつつもいつものように出勤を…
『…なんで無線がないんだ?』
無線だけじゃない。スタッシュの中に何一つ物がなかった。
『……リスポーンしたりしたっけ?』
まぁ、何も持っていないということはそういうことだろう。
多少の記憶が残っているのは不思議だが…
とりあえずコンビニで色々物を揃えようと、レギオンから車を出して走らせる。
その道中でも、心ありの人間に会うことはなかった。
コンビニで無線を手に入れて、無線1番に参加する。
〔”ロスサントスの太陽、しゅっ……”〕
そこまで言って気がついた。
無線に誰もいない。
そんなはずが…と、ついさっき買ったスマホで確認するも、警察だけでなく救急隊、メカニックまで。誰の名前も表示されなかった。
『…街に人がいないだと、、?』
Twixにも、その他SNSにも書き込みはされていなかった。
緊急時なため市長に連絡をと思ったその時、グゥ…とお腹が鳴った。
見ると空腹に脱水、今にも死にそうだった。
『…時間はないが、、ダウンする訳にはいかないしな』
地図を確認するとまさかの”明味房”が開いていた為、今の街の状況を共有すべく車を飛ばした。
『到着っとぉ…』
店の横に止まっている配達用のバイクにぶつからぬよう慎重に、でも急いで駐車する。
ちらりとだが店内に人影が見えた。
仮面をつけた人と、長髪の人。
バンッ!と勢いよくドアを開けて話しかける。
『ぺいん!ミンドリー!!よかった、、無事なよう…で……?』
違う。ぺいんだけど、ミンドリーだけど…
なんだ、なんなんだこの違和感は…?
声をかけてもこちらを向かない。
話す様子も、動く様子すら見られない。
『…心なき、、?…う、嘘だ…嘘だよなぁ…?おいぺいん、!!』
後ろからぐいっと肩を引っ張って無理やり目を合わせる。
真っ黒に塗りつぶされたような目と口。
思い切りだったからか、脱力した首がガクンと横に倒れ、斜めの状態でこちらを見ている。
いや、多分…こちらのことは見えていない。
『…っみ、、ミンドリーは?!』
希望を込めて同じくこちらに体を引き寄せるも、ぺいんと同じ状況だ。
心なきとも違う…けど確実に魂は入っていない。
闇を見つめる器だけがただ目の前にあった。
今すぐにでも逃げ出したい思いを殺し、食料を購入する。
これでしばらくは大丈夫だ。
あとは…と2人の方へ大きく声を張った。
『…我が、我が絶対にっ、、助けてやるからな!!!』
行きと同じ勢いでドアから飛び出した。
まだ全ての人間がああなっているかはわからない。
まだ希望はある。大丈夫、大丈夫、、。
心の中でそう唱えつつ、市長の元へ向かった。
階段を駆け抜け、部屋の前まできた。
しかしドアには鍵がかかっている。
きっと今日は起きていないのだろう。
『ッくそ、なんでこんな日にいないんだ…!!』
こんなところで悪態をついていてもどうにもならないから、と次は警察署に向かう。
まずは本署。
…誰もいないかと思われたが、牢屋に犯罪者が放置されていた。
希望を込めて話しかけるも、反応はない。
北署、東署も間抜けの殻だ。
後は南署と思った時、電話が鳴った。
自分以外に誰かが存在していると言う事実が嬉しすぎて、名前も見ずに電話に飛びついた。
『もしもしッ‼︎こちら皇帝だ!!』
「…ザザ、皇帝..聞こえてる?」
『その声…煉か?!、、よかったぁ…』
安堵からかぽろぽろと涙が零れ落ちる。
「ッ皇帝!?大丈夫?…すぐに向かうから、今どこにいる?」
『…レギオンの、、近くに…』
「わかった、レギオンだな?もう大丈夫だからな、、待っててくれ」
先輩自身も混乱と恐怖でいっぱいだろうに、優しく声をかけてくれた。
…だからこそ、泣いている場合ではない。
グッと涙を拭い、レギオンまで車を飛ばす。
さっきとは違う。
行く先に人が、しかも恋人がいる。
早くこの恐怖から逃れたいという一心でただただアクセルを踏み込む。
レギオンはもう目の前だ。
これでやっと…!
そんな期待も虚しく、またあの白い部屋に飛ばされてしまった。
『ぅえ、なんで…やっと、、グスッ…』
ただ、さっきと違って体が動く
探しに行かなきゃと立ちあがろうとしたら、後ろからガバッと抱きつかれた。
それはずっと求めていた人の温もりだった。
煉先輩は我が落ち着くまで何度も何度も背中をさすり、声を聞かせてくれた。
しばらくして、互いに持っている情報を共有した。
『みんなおかしくなっちゃったんだ…』
『誰も我の声に反応しない…』
「こっちも同じだ、、もう2度と人に会えないかと思った…」
『一体何が起きてるんだ?』
「わからない、どうしてここにいるのかすら」
「でも、合流できたんだ。まだ希望はあるから、ね?」
“希望”というワードで、何となくスタッシュを確認した。
何かあってくれと願いながら1番下までスクロールする。
あった。銃一丁と弾丸3つ。
何となく察した。これで自身を撃ち抜けと言うのだろう。
先輩が不安そうに見てくる中、自らの頭に銃口を向ける。
『撃てない…?』
レバーを引くが弾は発射されなかった。
我の様子を見ていた煉がハッと顔をあげた。
「…もしかして、なんだけどさ、、」
「…相手を……撃て、、とか、?」
震えた声で、けれども真剣にそう言われた。
ここから脱出するにしても…恋人を撃つなんて…そんなこと…
、、けどこれは恋人のためにもなるし…
ぐるぐると回る思考の中、視界の右側に何かが現れた。
「…もういっそのこと、ここにずっとふたりでいれば?」
「ここには、空腹も脱水も存在しない」
「永遠に幸せだよ、どう?」
光の塊のような何か。
甘い言葉で我のことを誘惑してくる。
けれど煉には見えていないのか、その精霊をじいっと見つめる我のことを心配しているようだった。
「…皇帝、、?大丈夫…?」
だがそのおかげで気持ちが固まった。
こんなに優しくしてくれる人を、大切にしてくれる人を、ここに閉じ込めておく訳にはいかない。
『…我は、、我は撃つぞ、煉先輩っ!』
「っはは、そうこなくっちゃ」
けどやはり手が震える。
「、、皇帝おいで」
そう声をかけられぎゅーっと引き寄せられた。
どちらのかわからない鼓動と体温を感じる。
「これで…不安はないでしょ?」
「最後までずっと…ずっと一緒だからね」
まるで自分自身にも言い聞かせるようにゆっくり、ゆっくりと言葉を紡いでいる。
ここまでしてもらったんだ。
そのまま静かに銃口を向ける。
『…あぁ、、我らなら…絶対に上手くいく』
ぎゅうっと苦しいくらいに抱きしめる。
「じゃあ…いくよ?、」
『「せーのっ…!」』
目覚めた場所はいつものレギオン。
変わらない景色。
変わらない交通量。
相変わらず折れているゲートバー。
あのときと違う点を上げるとすれば…、
横に煉先輩が倒れていることだろう。
まだふわふわとしている頭を無理やり回そうとしていると、手に握られた銃と目が合う。
そこで全てを思い出した。
真っ青になり、まだ起きない彼の名を叫ぶ。
『ッ煉せんぱ…ッグ、煉!!!』
ガクンガクンと体を揺さぶれば、ピクッとその指が動いた。
「…ん゛ん、、ぁれ、皇帝…?」
『ッ煉ぅ…よかった、よかったぁ…』
また涙があふれた。
そのせいで視界が滲み、また煉が消えてしまうのではないかと不安でぎゅーっと抱きしめる。
「…はは、二度も泣かせるなんて…俺は恋人失格だな」
といいつつも抱きしめ返してくれる彼以外に完璧な男などいるのだろうか。
普段ならそんなことない!と強気に言い返せたのに。
『、そんなことっ言わないでぇ…』
『我…我には…煉だけなんだからぁっ、、』
そんな風に自虐する彼氏が辛くて。
泣いているから言葉に詰まりつつも、ありのままの思いを告げた。
そうすれば煉は本当に焦ったようで。
「ッごめん、ごめんね皇帝…」
「俺も…皇帝しか見えないから、、」
「…もう、絶対に手放さないから…!」
嬉しかった。
ずっと一緒だって。
あの悪夢からはもう抜け出せたんだって。
ふたりで抱きしめ合えて。
体温を、心音を感じられて。
耳元で息遣いが聞こえてきて。
ただただ、、幸せだった。
[赤城視点]
何だ…揺れているのか…?
それに…声が聞こえ…
『…ん゛ん、、ぁれ、皇帝…?』
そうだ。
俺たちはあの時、お互いの頭を…
記憶を取り戻した後、早く声をかけたくて、存在を確かめたくて目線を合わせた。
その瞬間に目に大粒の涙を貯めた皇帝が抱きしめてきた。
『…はは、二度も泣かせるなんて…俺は恋人失格だな』
気づけばそう口走っていた。
だって、、俺が…もっと早く会えていれば、助けられていれば…こんなことには……
「、そんなことっ言わないでぇ…」
「我…我には…煉だけなんだからぁっ、、」
…違う、、違うんだ。…守りたかったのに。
傷つけたくなんか…
『ッごめん、ごめんね皇帝…』
『俺も…皇帝しか見えないから、、』
『…もう、絶対に手放さないから…!』
抱きしめる手により力が入る。
もう大丈夫なんだ。
皇帝の体温に包まれて眠りそうになる自分を叩き起こして、何とか家まで連れ帰る。
風呂に入ろうかと思ったけどもういい。
1秒たりとも離れたくなかったから。
そのまま布団に倒れ込んだ。
微笑みながら寝る皇帝を横に、俺も深い眠りの場に足を踏み出した。
気づけば朝だった。
暖かい陽光がカーテンをすり抜けて俺を照らしている。
横にはまだすやすやと眠る皇帝。
その頬にキスをひとつ落とす。
朝ごはんでも作ろうかと立ち上がれば、服の裾を引っ張られ、また布団に戻ってしまった。
「…我を置いてどこへいくんだ、、もう、離さないんじゃなかったのか…?」
少しうるうるとした目で懸命に訴えかけてくる。
『皇帝…大丈夫、ずっと…ずーっと一緒だからね』
そう言えば安心したかのようにまた眠ってしまった。
まぁそんな日があったっていいか、と布団に横になる。
皇帝を抱きしめて幸せの絶頂に立ちながら、また目を閉じた。