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流れ星が落ちる季節

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流れ星が落ちる季節

1 - 第1話 星神

♥

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2022年08月12日

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星神の使いである白い鳥たちが、 闇夜を駆け抜けていく。

風を切る音とともに、 地上に降り注ぐ光の軌跡……。

それはまるで、流れ星のようであった。

「ねぇ、君」

呼びかけられて振り向くと、 そこには見覚えのない顔がある。

長い髪を二つに分けて結った女の子。

「君はどうして、こんなところにいるの?」

「あなたこそ……」

私は答える。

「わたしはね、探し物をしてるのよ」

「探し物って……なんですか?」

すると彼女は、少し困った顔をして言った。

「わからないわ。でも、大切なものなの。だからこうして探しているんだけど……なかなか見つからないのよね」

彼女は少し困ったように笑うと、また空を見上げた。……流れ星。

願いごとを唱える間もなく、それはあっけなく消えた。

「……もう行かないと……」

そう言って立ち上がる彼女。

俺は、何も言わずにそれを見送った。……彼女と会うようになってからどれくらい経ったろうか。

毎日のようにここを訪れるようになった彼女は、いつしか俺にとって特別な存在になっていた。

不思議な雰囲気を持った女性だった。

彼女は僕を見て微笑みを浮かべると、小さく手招きをした。

「こんにちわ」

僕は彼女のもとへ歩み寄りながら言った。

「はい、こんにちわ」

彼女が応えてくれた。

ふいに僕の中に不安が生まれた。

ここはどこなのか? どうしてここにいるのか? 何もわからないのだ。

そんなことを考えているうちに、ますます不安が大きくなってきた。

すると女性が不思議そうな顔をしてこう言った。

「どうしました?」

僕は答えられなかった。何を言って良いかわからなかったからだ。

しばらく沈黙が続いたあと、女性が突然笑い出した。

僕は驚いて彼女を見つめた。

女性は楽しそうに笑っていた。

ひとしき笑うと、彼女は笑顔のまま僕を見上げてこう続けた。

「あなたはきっと、迷子なんでしょうね……」

僕はまた驚いた。なぜわかったんだろうと思った。

そして少し考えてみたけれど、やっぱりわからなかった。

黙ったままの僕に向かって、女性はさらに続けて言った。

「私も同じなんです。でも大丈夫ですよ」

彼女は、微笑みながら言った。

「私はあなたを知っていますよ。あなたのこと、ちゃんと見ていますから……」

それはまるで、自分に言い聞かせているようでもあった。

「だから安心してくださいね」

彼女の瞳の奥に映るのは、俺ではなく別の誰かのように思えた。

「えっと……じゃあ、また来ますね!」

彼女が駆けていく音が聞こえた。

俺は、しばらく動けずにその場に立ちつくしていた。

そして、彼女の言葉を反すうしながら、考えていた。

同じというのはどういうことなのか。

彼女もまた、自分と同じように不安を抱えているということだろうか。

それとも、もっと違う何かを意味しているのか……。

結局、いくら考えてみても答えが出ることはなかった。

彼女の言う”知っている”とは、一体何をどこまで知っているのだろう。

例えば……

俺の記憶を覗いてみたとか、そういうことなんじゃないだろうか。

いや……そんなことはありえないか……。

でも……だとしたら何故、あんなことを言ってきたんだろうか……。

そもそもどうして、あの時彼女は泣いていたんだろう……。

まぁ、いいや。

深く考えるのは止めにしておこう。



きっと、またそのうち会えるよ。

だから……その時までお別れね。

私のことを忘れないでいてくれるかしら? 私はあなたを覚えてるわ。

だって……あなたは私の親友なんだもの! 私が覚えていてあげるから安心して。

じゃあね、バイバーイ!! また会いましょうねー!!! 空を見上げてごらんなさい。

そこには、たくさんの流れ星があるでしょう。

願いごとをする時は、よく気をつけないといけません。

どんなお願い事にも応えてもらえますけど、 叶えてもらった後はきちんと対価を支払う必要があるんですって。

えっ!? 何を支払えばいいのかって? それは自分で考えなくちゃダメですよ。

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