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第二話
知らない君と 、 知っている僕
──────────
ya「 じゃあ 、 またね ! 」
yaはそう言って 、 jpに手を振った 。
jp「 … うん 。 またね 」
jpも手を振り返す 。
yaの姿が見えなくなるまで 、 ずっと見送っていた 。
本当は 、 まだ帰ってほしくなかった 。
もっと話したかった 。
もっと一緒にいたかった 。
でも 、 今のyaにそんなことを言ったら 、
困らせてしまうだけだろう 。
jp「 … はぁ 」
jpは小さく息を吐いた 。
yaは 、 自分のことを忘れてしまったわけじゃない 。
名前も 、 顔も覚えている 。
それなのに 。
二人で過ごした時間だけが 、
yaの中から消えてしまっていた 。
jp「 … なんでだよ 」
呟いても 、 答えてくれる人はいなかった 。
──────────
翌日 。
ya「 おはよー ! 」
いつも通りの声が聞こえた 。
顔を上げると 、 yaが笑顔で立っていた 。
jp「 yaくん ! 」
思わず声が弾む 。
昨日会ったばかりなのに 、 また会えたことが嬉しかった 。
ya「 今日 、 一緒にゲームしない ? 」
jp「え 、 いいの ? 」
ya「 うん ! jpとゲームしたら楽しそうだなって ! 」
jpは一瞬だけ言葉に詰まった 。
以前なら 、 こんなふうに誘われるのは当たり前だった 。
何度も一緒に遊んで 、 何度も笑いあってきた 。
でも 、 今のyaにとっては違う 。
jpと遊ぶのは 、 初めてに近いことなのだ 。
jp「 … もちろん ! やろう ! 」
それでも 、 嬉しかった 。
たとえ過去を忘れられていても 、
もう一度仲良くなれるかもしれない 。
そんな期待が 、 胸の奥に生まれていた 。
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ゲームを始めてからしばらく経った頃 。
jp「 ちょ 、 yaくん ! それ俺のアイテム ! 」
ya「 早い者勝ちでーす ! 」
jp「 いやいや 、 ひどくない !? 」
ya「 jp 、 遅いんだもん ! 」
二人で笑い合う 。
jpは思わず目を細めた 。
この感じ 。
この笑い方 。
このくだらないことで盛り上がる時間 。
全部懐かしかった 。
jp「 … yaくん 」
ya「 ん ? 」
jp「 こうやって遊ぶの 、 楽しいね 」
ya「 うん ! めっちゃ楽しい ! 」
yaは笑った 。
ya「 jpって 、 思ってたより面白いんだね ! 」
jp「 … 思ってたより ? 」
ya「 そうそう ! もっと怖い人なのかと思ってた ! 」
jp「 えぇ !? 俺 、 そんなふうに思われてたの !? 」
ya「 冗談だって ! 」
yaは楽しそうに笑った 。
jpも笑った 。
けれど 、 心のどこかが痛かった 。
以前のyaなら 、 そんなことは言わなかった 。
だって 、 yaは知っていたから 。
jpがどんな人なのか 。
どんなことで笑って 、 どんなことで怒って 、
どんなときに落ち込むのか 。
全部 、 知っていたはずなのに 。
jp「 … ねぇ 、 yaくん 」
ya「 なに ? 」
jp「 俺たちって 、 前もこんなふうに遊んでたんだよ 」
yaの手が止まった 。
ya「 … そうなの ? 」
jp「 うん 。 何回も一緒にゲームしてさ 」
jp「 夜遅くまで話したりもしてた 」
ya「 へぇ … ! 」
yaは目を輝かせた 。
ya「 いいなぁ 。 俺も覚えてたかった ! 」
その言葉に 、 jpは笑顔を作った 。
jp「 … そうだね 」
覚えていてほしかった 。
本当に 、 そう思っていた 。
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ゲームを終えたあと 、 二人は少しだけ話をした 。
好きな食べ物のこと 。
最近見た動画のこと 。
くだらない話ばかりだった 。
それでも 、 jpにとっては大切な時間だった 。
ya「 … あ 、 そうだ ! 」
yaが突然声を上げた 。
ya「 jpって昔の写真とか持ってない ? 」
jp「 … 写真 ? 」
ya「 うん ! 俺たちが一緒に写ってるやつ ! 」
jpは 、 スマホを取りだした 。
もちろん 、 たくさん持っている 。
一緒に撮った写真 。
ふざけて撮った写真 。
何気ない日常を切り取った写真 。
どれも消せるわけがなかった 。
jp「 … あるよ 」
そう答えると 、 yaは身を乗り出した 。
ya「 見せて ! 」
jpは 、 写真の一覧を開いた 。
そして 、 一枚の写真を選んだ 。
二人で並んで笑っている写真 。
撮影した日は 、 特別な日でも何でもなかった 。
ただ 、 二人で遊んでいたときに撮っただけ 。
でも 、 jpにとっては大切な一枚だった 。
jp「 … これ 」
yaは画面を覗き込んだ 。
ya「 わ 、 俺だ ! 」
jp「 うん 」
ya「 jpもいる ! 」
jp「 … そうだね 」
yaは写真をじっと見つめた 。
しばらくして 、 小さく首を傾げた 。
ya「 … なんか 、 不思議 」
jp「 え ? 」
ya「 この写真の俺すごく楽しそう 」
jpは画面を見つめた 。
jp「 うん 。 楽しそうだね 」
ya「 jpもめっちゃ笑ってる 」
yaは少しだけ笑った 。
ya「 俺 、 こんな顔して笑うんだね 」
その言葉に 、 jpは何も言えなくなった 。
jp「 … ya 」
ya「 ん ? 」
jp「 … 思い出せない ? 」
yaはもう一度写真を見つめた 。
ya「 … ごめん 」
小さな声だった 。
ya「 何も思い出せないや 」
jpはスマホを握りしめた 。
jp「 … そっか 」
ya「 でも ! 」
yaは 、 慌てたように顔を上げた 。
ya「 今から 、 またいっぱい思い出作ればいいよね ! 」
その言葉に 、 jpは顔を上げた 。
yaは笑っていた 。
いつもの 、 明るい笑顔で 。
ya「 昔のことは思い出せないけど 、 」
ya「 これからのことは覚えていられるから ! 」
jpは 、 ゆっくりと笑った 。
jp「 … うん 」
そうだ 。
これから 、 また作ればいい 。
今度こそ 、 忘れられないくらいの思い出を 。
何度でも 。
何度だって 。
jp「 … じゃあさ 」
jpはyaを見つめた 。
jp「 明日も会おうよ 」
ya「 いいよ ! 」
jp「 明後日も ? 」
ya「 もちろん ! 」
jp「 その次の日も ? 」
ya「 えー ? 毎日会うつもり ? 」
yaは笑った 。
ya「 … いいよ 。 俺も 、 jpといるの楽しいし ! 」
その言葉を聞いた瞬間 、 jpの胸が温かくなった 。
嬉しかった 。
本当に嬉しかった 。
けれど 、 同時に思ってしまった 。
明日も 。
明後日も 。
その次の日も 。
ずっと 、 ずっと一緒にいたい 。
もう二度と 、 yaを失いたくない 。
そんな気持ちが 、 少しずつ大きくなっていった 。
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その日の夜 。
jpは 、 一人で写真を見返していた 。
今日 、 yaに見せた写真 。
二人で笑っている写真 。
何度見ても 、 胸が苦しくなる 。
jp「 … yaくん 」
画面に映るyaの笑顔を 、 指先でなぞった 。
jp「 … 俺のこと忘れないでよ 」
もちろん 、 返事はない 。
わかっている 。
今のyaにそんなこと言っても仕方がない 。
それでも 、 願わずにはいられなかった 。
また 、 あの頃みたいに自分の隣で笑ってほしい 。
自分との約束を覚えていてほしい 。
自分を 、 一番近くにいる人だと思ってほしい 。
jp「 … 俺 、 頑張るから 」
jpは 、 小さく呟いた 。
jp「 yaくんが忘れちゃった分まで 、 俺が覚えてるから 」
そして 、 スマホを閉じた 。
明日も会える 。
明後日も会える 。
それならきっと大丈夫 。
そう思い込もうとした 。
けれど翌朝 。
yaから届いたメッセージを見て 、 jpは固まった 。
ya『 ごめん ! 明日からしばらく忙しくなりそう ! 』
ya『 また時間できたら連絡するね 』
jp「 … え ? 」
昨日 、 約束したばかりだった 。
明日も会おうって 。
明後日も 、 その次の日もって 。
yaは 、 笑って頷いてくれたのに 。
jp「 … なんで ? 」
メッセージを何度も読み返す 。
嫌われたのだろうか 。
昨日 、 何か変なことを言ってしまったのだろうか 。
それとも 、
jp「 … また 、 忘れられちゃうの ? 」
声が震えた 。
せっかく 、 もう一度仲良くなれると思ったのに 。
せっかく 、 また一緒に笑えたのに 。
また 、 離れてしまう 。
jpは 、 返信画面を開いた 。
jp『 わかった ! 忙しいなら仕方ないね ! 』
明るく 。
いつも通りに 。
yaが困らないように 。
本当は寂しい 。
会いたい 。
もっと一緒にいたい 。
でも 、 それを伝えたら
もっと嫌われてしまうかもしれない 。
だから 、
jp『 また時間できたら遊ぼうね ! 』
送信 。
スマホを置いて 、 jpは俯いた 。
jp「 … 大丈夫 」
自分に言い聞かせる 。
jp「 … 大丈夫 、 大丈夫 」
何度も繰り返した 。
けれど 、 胸の奥の不安は消えなかった 。
yaがいなくなるのが怖い 。
自分を忘れたまま 、 遠くへ行ってしまうのが怖い 。
そして何より 、
もう一度 、 yaにとって特別な人になれたと
思った自分が間違いだったと知るのが怖かった 。
jp「 … ya 」
誰もいない部屋で 、 名前を呼ぶ 。
jp「 … 俺のこと 、 置いていかないでよ 」
その声は 、 誰にも届かなかった 。
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第二話
完
NEXT
第三話 ― 君が隠していたこと
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きらくる
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