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それから、音の日常は少しずつ変わった。
変わったといっても、劇的なものじゃない。
朝起きて、学校に行って、レッスンを受けて、帰る。
やることは同じ。
ただ——
スタジオに「彼がいる」という事実だけが、少し違っていた。
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「今日も残るの?」
レッスン終わり、荷物をまとめていると声がする。
振り向かなくてもわかる。
「はい」
「だと思った」
軽く笑う声。
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最初の頃より、会話は自然になっていた。
でも距離は、近づいているのかどうか分からない。
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「なんでそこまでやるの?」
ある日、彼が聞いた。
音は少し考える。
「…悔しいからです」
「何が?」
「全部」
短い答え。
でも、それが本音だった。
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彼は少しだけ黙って、それから言う。
「いいな、それ」
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「え?」
「ちゃんと悔しがれる人、強いから」
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その言葉は、褒められるよりもずっと胸に残った。