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17 ◇事実ではない
だが、それは事実ではなかったのだ。
謝罪のことを考えていたぐらいなので、自分が妻に対して酷いことを
したことはちゃんと自覚していた。
ただ、自分が妻に謝る勇気がなかっただけ。
自分は男子ばかりの中学に進み4年になった時に裕福ではない中
両親が無理をして高等学校に進ませてくれた。
そして、大学へは進学しなかった。
家の経済事情では高等学校を出してもらえただけでも
有難いことだった。
そして商社へと就職し、サラリーマンとなった。
男子校そして就職後もほぼ男ばかりの環境の中、遠い親類の葬式で温子を見
てひとめぼれをしたのである。
温子が親類の近隣の人間であったことから親類のおばに間に入ってもらい、
その後トントン拍子に話が進み結婚した。
働き者で気立ての良い温子との暮らしは穏やかで幸福だった。
結婚数年後から始まった義両親との同居も嫌ではなかった。
ただ、娘も手がかからなくなり幸せな生活も慣れ過ぎて当たり前に
感じていた頃に温子の妹凛子が離婚して出戻ってきて一気に家の中が
華やいだ雰囲気になった。
仕事で早く帰っても、業務の都合で妻が遅くなる日もあるので
たまに遅くまで起きている義妹とふたりきりになることがあった。
そして1年くらい経った頃に女性慣れしていない自分は見た目と
性格の華やかな凛子の甘言に惑わされ『黙っていれば姉にはバレないわよ。
万が一バレても私に甘い姉だもの絶対許してくれるから』
そんなことあるわけない彼女の説明を真に受けて俺はその日を
境に凛子との肉欲に溺れていった。
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