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#闇
ruruha
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ruruha
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「 今日バイトは? 」
「 ない 」
「 じゃあ飯行こうぜ 」
「 おう 」
夕陽が沈みかける頃、愁斗と共にチェーン店へ
足を進める。
大学の飲み会サークルで会った愁斗は一人で
ちびちびとほろよい程度の度数のアルコールを
口に含んでは飲み、口に含んでは飲みを繰り返していた。
飲み会サークルにいるくせに人と関わりを持つ気がないのかと
気になり、俺から声をかけたのが愁斗との始まりだった。
話しているうちに愁斗の性的コンプレックスや
困っていること、悩んでいること、趣味や嫌いな食べ物、
色々なことを知った。
愁斗は自分の恋愛対象が男であることを
おろおろと俺の顔色をうかがいながら話していた。
気持ち悪いと思われるのが怖かったらしい。
だが俺はそんなことは気にせず愁斗と楽しく話したい。
そんな気持ちで次から次へと酒を頼み、
口いっぱいに含んで肩を組みながら酒を飲んだ。
そして気づいたら俺と愁斗は一夜を終えていた。
酒を飲みすぎた俺がつい口を滑らせたらしい。
目を覚まして一番に見たのは愁斗の胸板だった。
つまり俺が下だったということだ。
俺の貞操第二は愁斗に捧げられたらしい。
だからといって愁斗と友達でいるのをやめようとは
思わなかった。むしろ逆で
お互い体を一度重ねた仲だからこそより親しくなった。
気を遣わなきゃいけないこともほとんどなく
お互い言いたいことは言い合って、お互い助け合う。
そんな仲になった。
「 お前最近大丈夫かよ 」
「 え、なにが 」
「 ほら、最近色々揉め事だったりいろいろあったろ 」
「 あぁ、まあ、なんとか 」
愁斗がゲイだということを知ったサークルのやつらが
次々と噂を流していったのだ。
愁斗はだいぶ滅入っており、最近はずっとしんどそうな顔を
している。
「 マジで辛くなったら言えよ 」
「 .. うん。わかってる 」
最近はこの繰り返しだ。
ずっと本気で辛いはずなのに。
俺には話してくれない。
かといって他の誰かに話しているわけでもない。
ずっと一人で抱え込んでいるのだ。
それが俺にはどうして許せない。
「 食い終わったら散歩して、バー行こうぜ 」
「 また飲みすぎるんじゃないの 」
「 その時はあの時みたいにお前が介抱してくれよ 」
「 勘弁してくれ 」
他愛もない話をつづけるうちに食べ終えた俺らは
会計を済まして近くのコンビニに寄った。
そこでほろよいを二缶買って飲みながら公園へ向かう。
なんだか少し辛気臭い空気に耐えかねて
俺は垂れ下がっている腕の愁斗の指に自分の指を絡めた。
愁斗は一瞬驚きつつもすぐに体の強張りが消えて
俺の指に自分の指を絡め直した。
愁斗は冷え性で手が冷たかった。
俺は子供体温で愁斗の冷えていた指もだんだんと
暖かくなっていった。
紅葉が散る公園に入ってただ歩く。
ほろよいの甘さとその景色に見惚れながらも
絡めた指はお互い離さない。
時々きゅっと強く握られる時、
愁斗がなにかよくないことを考えているのが
伝わってくる。
「 死にたい 」
ぽつりと落ちたその一言に俺の体がぴたりと止まった。
「 なんて? 」
愁斗は答えない。
手はありえないくらいの強さで握られており
どれだけ辛いのかが直に伝わってくるようで
頭が溶けるように思考を放棄しかけた。
愁斗とつるむ前の俺はいわゆる八方美人というやつで
誰とでも仲良くしてその場の雰囲気に合わせていた。
だからこそ本当に仲のいいやつができたことがなくて
たまに憂鬱になることもあった。
「 迅乱が受け入れてくれたことが
俺にとってはほんとに救いだったんだ。」
声は震えていない。
それが俺にとっては最悪だった。
空っぽのような、なにかを諦めたような。
そんな意思を感じられない声でそんなことを言わないでほしい。
本当は嬉しいはずなのに。そんな声で言われたら
ちっとも嬉しくない。
「 なんだよ。急に 」
「 なんでもない 」
「 なんでもなくないだろ 」
「 なんでもないんだって 」
「 嘘つくなよ!! 」
大きな声が紅葉の散る公園に響き渡った。
夕陽がほぼ沈み切った公園はシーンとしていて
俺の声が響き渡るには充分すぎた。
するりと愁斗と俺の指が解けた。
愁斗に怒鳴ったのは初めてだった。
「 なんで話してくれないんだよ。なんで溜め込むんだよ。
俺の何が信用できなくて何が嫌でなんでそんなに
一人で抱え込むんだよ 」
止まらないと。
今すぐやめないと。
愁斗が俺をみて驚いた顔をしていた。
あぁ、やってしまった。
こんなに仲良くなったのは愁斗が初めてだったのに。
自分から関係を壊しに行くなんて。
そんなことを考えていたら、愁斗はふっと笑って
俺の腕を掴んだ。
「 なんでそんな顔してんだよ 」
愁斗は俺の頬に触れてぐにっと引っ張った。
痛い。
「 話そうとは思ったんだよ 」
俺の腕を引っ張りながら愁斗はどこかへとずんずん進んでいく。
「 話そうと思って .. でも思い浮かばないんだ。
言葉にできない感情がずっと渦巻いてて。
迅乱といればその気持ちが少し和らぐし、それだけで
助かってたんだ。」
俺は呆気に取られた。
愁斗が俺を連れてきた場所は愁斗の家だったからだ。
押し入れられるようにして入った愁斗の家は
いかにも愁斗、という感じの家だった。
愁斗は俺をソファに誘導し、座らせてから
ウイスキーを注いだコップを俺に渡した。
「 ロック嫌い? 」
「 いや、飲めるけど 」
ウイスキーの濃い匂いが鼻腔を突く。
ウイスキーをロックで飲むのは初めてだった。
「 ごめん。迅乱 」
「 え? 」
「 ほんとに。ごめん 」
愁斗が急に俺の手を繋いで目を見つめて俺に謝った。
不思議な感覚だった。
こんなにまっすぐ愁斗に目を見つめられたのは
あの時体を重ねた時以来だ。
「 なんだよ。急に 」
それから何度もウイスキーを口に含むにつれ
酔いが回り、また俺らは体を重ねた。
体を重ねた後に飲むロックのウイスキー。
愁斗が口移しで飲ませてきたウイスキーは
なんだか味が違った気がした。
二人で寝転んだ。
愁斗の胸板が目の前にある。
「 ねむい 」
「 つかれた? 」
「 お前のせいでな 」
「 あの時みたいだね 」
「 俺らが初めてシた時? 」
「 そ 」
うとうとしはじめたころ。
手足が痺れる痛みにぼやけた視界がクリアになった。
「 … なんか、手と足がいたい 」
「 俺も 」
「 ウイスキーロックで飲んだらこうなんの? 」
「 .. いや。」
「 なんだよめっちゃ痺れる 」
「 俺もだよ 」
「 なんか睡眠薬でも入れた? 」
「 んーん。」
「 はー? 」
「 迅乱。迅乱ってフグ好き? 」
「 急に?」
「 うん 」
「 食ったことない 」
「 そうなんだ。」
「 なんか、ねむくないのに 、うまくしゃべれない 」
俺の肩を抱いていた愁斗の腕がだんだんと落ちていく。
「 寝た? 」
返事がない。
頭に温かい感触を感じた。
撫でられている。
暖かかった。
心も、体も。
___________end 。
フグ毒死。
コメント
5件
うわぁ…読み終わったけど正直めっちゃ心臓バクバクしてる😭💔 愁斗と迅乱の距離感、優しくて信用し合ってるのに、愁斗がずっと一人で抱え込んでて…「死にたい」ってぽつり落としたシーン、本当に胸が痛かったよ。迅乱が怒鳴っちゃうのもわかるよ、だって好きだからこそ苦しいもんね… 最後のフグ毒って…まさか愁斗が?それとも二人一緒に?言葉にできないまま、ああいう形で終わるの切なすぎる…続きが気になって仕方ないよ😢✨ 妃翔さん、綺麗だけど苦しい話をありがとう…!