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その後は受付にて、再度召喚許可証の見込み申請を行い、白須等神社に向かうと、結構な人だかりが出来ていて、社務所の巫女さん達が大忙しでお客さんの応対に追われていた。


ようやくと言う感じで受付にやって来た巫女さんに、


「お疲れ様です、召喚契約の予約をしていた小野麗尾ですが……」


「はい、承っております!どうぞ別殿の方へお進みください!」


「了解しました。……今日は凄い人出ですね」


「ええ、小野麗尾さんが黄泉大毘売命様と契約を結ばれた神社という事で、縁結びの御利益があるんじゃないかと噂になって……」


「カップル達が押し寄せている、と」


ふーん。こちとら恋人の一人も居ないというのに随分とご機嫌ですねぇ……(某F様口調

そんな事を考えていると、巫女さんからこんな提案が。


「その通りです。……一寸ご相談ですが、小野麗尾さんの御力でアイツラ爆発させて貰えませんか?

朝からイチャイチャとうっとおしいんですヨ……」


巫女さん、巫女さん!落ち着くんだ!?女性がしちゃいけない顔をしている!?

天地崩壊魔道のオーブを思わず取り出しそうになった俺が言っても説得力は無いかもしれないけど!?


「この神社にご縁結びの御利益があったらまず真っ先に私達に3Kで素敵なイケメン彼氏が出来ているはずなんですよねぇ……」


くっ、やはり※か、※なのか……!?


「すみません、アレラを爆破したいのは山々なんですが、今は他にやる事がありますので……」


神社にあるまじき邪念・怨念漂う社務所から離れ、いつもの別殿に向かう。


実家の様な安心感で敷かれた座布団に正座して待つことしばし、


神主さんがやってきて、


「もーかりまっか?」


「ぼちぼちでんな。神主さんとこの神社はどうでっか?」


「ワテの神社も小野麗尾さんのおかげでもーけさせてもろております」


「そら結構ですな」


「ええ、実に」


「「はっはっはっは」」


ノリの良いエライ気軽な遣り取りが出来ているが、俺もいい加減この神社の常連(?)だしなぁ。


最初の契約の時は血色が悪かった神主さんも最近は肌にツヤが出てきたようだ。良い物食えているようで何よりである。


「それで今日は話題になっている、例のカードで?」


「ええ、こちらになります」


さっき受け取ったジャンヌ・ダルクのソウルカードを召喚機から取り出し、台の上に置く。


「それではさっそく始めましょう」


いつもの詔が響いて、しばらくした時、意識が薄れ途絶えた事を自覚して……


気付いた時、分かれ道の前に立っていた。道の脇には看板が立っており、右の道の先には農村が見え、看板には、”ドンレミ”と書かれていた。

左の道の先は戦場となっている都市が見えて、看板には、”コンピエーニュ”と書かれていた。


色々とその場で考えてみて、思う所はある物の、取り敢えず農村の方に足を向けてみた。


春を思わせる陽気に包まれた長閑な道を歩いていくと、途中で道の脇に不自然に森が切り開かれた場所があり、その真ん中の花畑の中では仰向けかつ大の字で鼾を掻きながら豪快に昼寝(?)をしている村娘が。

もしやこの子が?、と訝しみながらも近くにあった切り株に腰掛け観察してみる。

継ぎ接ぎと土汚れが目立つ野良着にボサボサの髪を無造作に束ねている元はリボンだったであろう布紐、動物の皮を縫い合わせただけの靴とは言い難い皮の履物。

くすんだアッシュブロンドの長髪が目につくが、それ以上に手入れすれば整っているであろう顔立ちの鼻から収縮を繰り返す鼻提灯が気になってしょうがない。あ、胸は平たい胸族っぽい。栄養環境が悪かったのかなー……


あ、何処からともなくチョウチョが……


漫画みたいにパチンッと鼻提灯が割れて、


「フワァックショイ!!!」


と、推定ジャンヌ・ダルクが目覚める。


「あれ、ここは……あれ~?」


と寝ぼけた発言をしながら辺りを見回し、俺と目が合うと、


「えぇっ!!!! ……アッハハハハハハハハ! ……ひょっとして、見てました?」


体の向きがガッツリ彼女の方を向いていたので胡麻化すのはかなり苦しいが、ここは大神隊長の紳士の振舞いの教えに則って、


「いや、何の話だろう?私は今さっきここに来たばかりでしてね」


好感度増減のSEが流れるシステムが世界に実装されてほしい……!?


「そ、そうですか。ホホホホホ、これは失礼いたしました。旅の御方でしょうか?この先にはドンレミという小さな集落しかありませんが」


「ええ、そのドンレミ村に用があって来たのですよ、ジャンヌさん」


ビクッ、と背筋が伸びた彼女が、ギギギギギ、という音が出そうな首の動きでこちらを向いて、


「人違いではありませんか?私がジャンヌという証拠が何処にありますか?あるんなら出してくださいよー」


おう、あくしろよとオラついてくる(推定)聖女


そこに通りがかった村人A(仮定)が、


「おう、他所から人が来るなんざ珍しいな。ここはドンレミっていう小さな集落さ。で、ジャンヌちゃんは仕事サボって男遊びかい?」


「ち~が~い~ま~す~。この人が迷子っぽいので道案内しているだけです~。ダンおじさんこそ畑で仕事してなくていいんですか?」


ダンおじさんはちらりと俺を見て、


「ああ、もう今日の仕事は終わったし、明日っから畑仕事をしなくてもよさそうだしな」


そう言って、何処かに歩いていくダンおじさんが俺の横に通りがかった時に、


「あの子を泣かせるような真似をするんじゃねーぞ、色男」


と俺にだけ聞こえるようにドスを利かせてきた。

俺が色男?ダンおじさんは目が悪い(確信)


「で、何かいう事はあるかい、仕事をさぼって昼寝してたっぽいジャンヌちゃん?」


「仕事をサボったんじゃないんです~お昼食べて畑に戻る途中で花畑があったから香水代わりに香り付けできないかと寝転んでいただけです~……そしたらお日様がポカポカしてたからついウトウトと……」


「昼寝した、と」


「む~。ですから~ 神様から今日私にお客さんが訪ねて来るって言うから朝から色々支度していたんですよ。服を洗って川で水浴びして……それで、香水なんて貧乏農家には無いからせめて花の香りだけでもって……」


千利休(たなか)師匠の御持て成しの精神が遠く西洋でも…これが……シンクロニシティ……!?


「そっかー……神様が言ったんだー……」


なら仕方ないかー……って。


「いやいや、それはそれとして、君が昼寝してたのは君の責任だよね?」


「む~」


でもでもだって、とでも言いたそうな(他称)聖女。そこに、


「何やってんだい、この馬鹿娘!!!!!」


唐突に怒鳴り声が響く。


種族:カーチャンに分類される女性がこちらに走ってくる。


「か、母さん!?一寸待って……グヘッ!?」


グーで頭を殴り降ろされた(他称)聖女。

そんな彼女の首根っこを引っ掴んで、


「まったく、朝から急に今日は大切なお客様がお見えになるとか言ってバタバタと忙しくしたのに何処ほっつき歩いていたんだかね、この馬鹿娘は……」


ハァァ、とため息を吐いた後、俺に気が付いたようで、


「何方か知りませんがすいませんね、ウチの馬鹿娘が何かご迷惑をお掛けしませんでしたか……?」


「迷惑などとんでもない、マドモアゼル。彼女にはこの辺りを案内してもらっていただけですよ。

ところで、私は小野麗尾 守という者でして、今日はドンレミ村のジャンヌさんを訪ねてきたのですが、そちらのお嬢さんがジャンヌさん……で、宜しかったでしょうか?」


「まぁ、マドモアゼルだなんて……私は只の農家のオバチャンですよ。名前はイザベル・ロメと言いますが、ここらじゃロメとだけ呼ばれています。ほら!ジャンヌ!いつまで寝てるんだい、あんたの言っていたお客さんだよ!?」


そう理不尽な事を言って右手で掴んだ娘の首を上下に揺さぶるカーチャンもとい、ロメさん。


「お゛、お゛き゛て゛ま゛す゛、お゛き゛て゛ま゛す゛か゛ら゛、も゛う゛

揺ら゛さ゛な゛い゛て゛……」


ウプッ、という乙女の尊厳的にヤバそうな呻きが入ったので慌てて止めに入る。


「ちょっと、お母さん!ジャンヌさんがもう危険ですよ!?そこらへんでもう……」


「オノレーオさん、でしたよね?ロメさんと呼んでいいとは言いましたけど、お義母さん呼びはまだ早いんじゃないかと思うのだけど……」


なんかまた

悪い予感が

してきたのぅ……


最近この辺りの勘働きが当たりやすい傾向があるので気になったが。

ジャンヌ・ダルクが、ジャンヌ・G・ダルクになりそうなので自宅まで緊急搬送することを優先した。


姉妹共用のベッドに寝かせた後、物音を立てない様に、気配も消して室外へ移動。

リビングに戻ると、ロメさんが食事の支度をしていた。


「あら、オノレーオさん。もうお帰りですか?」


「失礼、私の生国では名前=家名では無く、その逆の家名=名前の順になりますので、私の事は守とだけ呼んでもらえれば。ジャンヌさんは疲れているようですし、しばらく村を見て回ろうかと」


彼女の思い出あるいは原風景とでも言うべきこの村の事を知っておく事は今後の彼女との付き合いでプラスにこそなれ、マイナスになる事はないだろう。きっと多分おそらくメイビー。


そうして散策したドンレミ村は、暖かな日差しに包まれた長閑な村だった。

数件の家屋と軒件の教会と、村から離れた所に聖堂があった。

聖堂の近くには乙女の泉なる名所があり、

清酒:聖処女、名水:乙女の水の発想がピンときたが、頭の片隅にメモするに留め、次に目についた郊外の畑に向かう。


金色の小麦畑と、紫の花のジャガイモ畑……

連作障害が気になる所だが、細かい所はポイして置こう。


村の内外を一通り見回って、ダルク家に再訪する。


「おじゃましまーす……!?」

玄関に入ると、4人の少年・少女たちが並んでおり、俺の姿を見るなり、


「「「「お願いします、ジャンヌ」」」「お姉ちゃん「「「「を戦場に連れて行かないでください!!!!」」」」


と、頭を下げてお願いしてきた。


その後ろから、


「皆~ご飯が出来ましたよ~、とお客さん……!?」


ジャンヌちゃんが出てきて状況にフリーズするカオスな状況に。どうしてこうなった。


その後、俺も御呼ばれしてダルク家の食卓を囲んで、気まずい食事を……


「マ・モールは遠い国から来たんでしょう?フランスの田舎料理が口に合うかしら?」


と、ロメさんが言うと、


「ふん、コイツが喰えないんじゃジャンヌは連れて行かせてやれねーな!!!」


と若干べらんめぇな口調なのは、父親のジャック・ダルク氏

先程収入のマウント合戦で上を取ったので何とか隙を見つけて下剋上を狙っているのだろう。

(最近は)体育会系(になりつつある)日本男スィ高校生が食い気でマウントを取られるとか名折れにも程があるので、当然の様に完食*5する

完食する度にジャックの、


「ロメ、次だ!」


の繰り返しだったが、鍋の中身が無くなりそうだったのでここらで止めておく。


「良い喰いっぷりじゃねーか。そんだけ食べるんだったらさぞや働けるんだろうな?」


こいつ……野良仕事を俺に!?

くそっ!農作業は田吾作さんから教わった稲作位しか出来ねーぞ……!?


「お父さん!わざわざ訪ねてきてくれたお客さんにウチの畑仕事をさせる積り!?」


「おう、ジャンヌ。お前はちょっと部屋に戻って居ろ。オレはずっと……ずっと後悔していたんだ!死ぬまでずっとだ!!!!!


何だったら死んでから今までも後悔している!!!!!!

神様の声を聞いたっつって家を飛び出してった馬鹿娘がイギリスの糞坊主に焼き殺されたって聞いたあの時からずっとだ!!!!!

オメェ、オメェもラ・ピュセル何て御大層な救世主様を求めてきたんだろう!!??

残念だが、ここにいるのは貧乏農家ジャック・ダルクとイザベル・ロメの間に生まれた田舎娘ジャンヌ・ダルクだ!!!!!

例え国王だろうが、神様だろうが、もう俺たちの娘は二度と戦場になんか連れて行かさねーぞ……!!!」


その言葉が終わると共にジャンヌの家族が立ち上がり彼女の前に立つと、彼女を守るように両手を広げる。


そんな彼らを見渡すと、フッと鼻で笑い、


「いい台詞だ 感動的だな だが無意味だ」


一息で言い捨てる。


「何……だと……!? テメェ、何をするつもりだ!?」


混乱しているジャックさんを横に退けて一枚の紙をジャンヌ・ダルクに突きつける。


「こ、この紙が一体何だというんですか!?家族には手を出さないでください!?」


「この紙が何かって?こいつぁ雇用契約書っていうんだぜぇ、ジャンヌちゃん。こいつに名前を書けばアラ不思議、明日っからジャンヌちゃんが小野麗尾グループの従業員として働くことになるって寸法さぁ!今契約すれば制服と(建築予定の)社宅の居住権も付いてきて大変お得って事なんだってばよ!」


今だけを強調して思考の余地を狭める我ながら実に怪しい……田舎者を誑かす都会のチンピラ詐欺師ってこんな感じなのかなー……


「おい、働かすって何をさせるつもりなんだよ?」


「勤務内容は1日8時間の労働時間で、主に農作業・菓子類等食品の製造販売・アイドル等の芸能活動を予定しております。

皆様が懸念されております戦闘並びに戦争への従事・関与は一切関わらせる積りはありません。

聞きづらいであろう御給金に関しても述べさせていただけますと、我が国において健康で文化的な最低限度の生活を営む事の出来る金額を毎月固定で支給すると同時に、事業における成果を評価した変動成果給を合わせた金額の支給を予定しております。

事業に必要となる知識の学習も私共の方でサポートさせていただきますし、その間も固定給分は毎月支給いたします。

書面には今述べた内容と同じ文面が記載されていますが、何かご質問等ございますでしょうか?」


しばらくして、ジャックさんが、


「マ・モール、あんたがラ・ピュセルなんて持て囃された偶像なんかじゃなく、只の農家の娘でしかないウチの娘が欲しいってのは分かった。俺が聞きたいのは後一つ。お前さんとウチの娘の意思を無視して国のお偉いさん方がジャンヌを戦争に引き摺り出そうとしたら、お前さんは一体どうするんだ?国を敵に回してでも、娘を見捨てずに守ってくれるのか……?」


「今朝方フランスから私の国にジャンヌ・ダルクの引き渡しが要求されましたが、我が国の政府はこれを不当な物として、要求を棄却しています。仮にフランスから軍が派遣されたとして、何なら私個人で撃退しましょう。こう見えて、私も一軍を率いる者ですので」


「そんなお偉い将軍様にゃあ見えねえが……ま、オメエがつまらん嘘を付いている訳じゃねえ事はよく分かったぜ」


ジャックがそう言うと、ダルク家の面々が気を緩めたのが分かった。

そしてロメさんが、


「さぁさ、固っ苦しい話が終わったんだし、次は我が家自慢のウープリでも食べて行ってくださいな!」


「えっ、母さん。お祭りでもないのに良いの?」


と、妹ちゃんが言うと、


「良いんだよ、食べるか寝るか昼寝をするかお祈りするかのお荷物娘を貰っていってくれる男が現れてくれたんだ。これをお祝いしなくて何を祝うってんだい!?」


ここで兄弟の下の子が


「やったぁ!マ・モール!母さんのウープリはお祭りの時に街であっという間に売り切れる村一番のウープリなんだぜ!!!」


続いて長男が、


「ふぅ、開墾済みの畑を付けても売れないと思っていたジャンヌがなぁ……」


おや、農婦のジャンヌちゃんにポンコツ疑惑が……?


「ちょっと皆ひ~ど~い~で~す~!?私だって本気出したらフランス一国救う事だって出来たんですよ!?」


ジャンヌがそう言うと、何故か世界が唐突に消えた。

それまで居た家はおろか、ドンレミ村の全てが闇に飲まれた様に消えていく。


対照的に光に包まれたダルク家の皆さんが光の泡が解けて天に昇るように崩れていく。

ジャックさんが、

「そうだ、ジャンヌ。誰がどんな事を言おうがお前は誰にも真似の出来ない凄い事をやったんだ」


ロメさんが、

「マ・モール。この子は本当は誰よりも優しい子なんです。村の者は皆分かっていました。

あの子が出て行ってフランスを救ったのは、そうする事で村を脅かしていたイギリス軍から村を守るためだと。

でも、それでも私たち家族が望んだのは、あの子が死んで守られた村の平和なんかじゃなくて、

戦争が終わったある日にあの子がひょっこり家に帰ってきてくれる事だけで、ただそれだけで……」


最後に兄弟+妹ちゃんが、


「「「マ・モールさん。ズボラで不束でダラシナイ」」」「「妹「お姉ちゃん」」」

「「「ですが、どうか今度は幸せに生きられるようにお願いします」」」

そう言って揃って頭を下げてきた。


そして最後に残ったジャンヌ・ダルクが、

「マ・モール。私、貴方と皆にいくつか嘘を付いていました。実は私、生まれてから火炙りにされて処刑されるまでの記憶を持っていましたし、此処が最後に故郷に帰りたいという私の願いから生まれた幻のドンレミ村だという事も分かっていたのです。

村と家族の皆が私と違って天国に居たのに、神様にお願いして無理矢理こんな幻の世界に……」


そんな独白を聞いている内に、体が勝手に動いて……


「幻でも良いんじゃないか。ここが聖書に書かれているような約束の地ではない、きっと当時はありふれた集落の一つだとしても、あそこは間違いなく最後に辿り着いた君の安らぎの地だったはずだ。ドンレミ村の人達と話をしてみたけど、皆君が大好きで、君の事を悪く言っている人なんか誰一人いなかった。どうせ証拠を見せろ、とか言い出すだろうから見せようか。これが証拠だよ」


そう言い切ると、背負っていた革袋から荷物を取り出す。

荷物の正体は一つの衣服で、


「これは……」


「ドンレミ村一帯に伝わる婚礼衣装、だってね。君が戦争から帰ってきたら沢山の貴族様に求婚されるだろうからって、村が一丸となって君に恥ずかしい思いをさせない様にって張り切って用意したそうだよ。 ……これを見て、まだ証拠が足りないと思うかい?」


そう言うと、彼女は涙を流しながら、


「いいえ、いいえ…… ありがとう、ありがとうございます。私は、私は……」


「君はきっと聖なる乙女なんかじゃない、この星の何処にでもいる、皆に祝福される只の少女だ」


「マ・モール…… 一つお願いしてもいいですか?」


「良いけどその前に…… 僕は守だ。マ・モールじゃない」


「今更ですか!? ……あなたも、私を祝福してくれますか?」


ああ、勿論だともジャンヌ・ダルク。小野麗尾ファーミングの記念すべき従業員第一号にして、小野麗尾プロダクションの3号生。

そして小野麗尾グループの稼ぎ頭筆頭候補生。


君の第二の人生に幸多からん事を……


「神様が言ってきました。36協定はしっかり結べ、と……」


おのれ四文字。貴様が蛇か。余計な知恵を……!



現実に戻ると、例のごとく、どこかの礼拝堂で祈りを捧げていたジャンヌのカードの絵柄が、さっきの花嫁衣装を着て、誰かの腕を取り、バージンロードを笑顔で歩く絵柄に変わっていた。

まぁた国際問題になるのかなー……


参考までにコンピエーニュルートの場合


ガチ戦場のド真ん中で捕えられたジャンヌが市街の中央広場に移送された事がイギリス兵から聞ける。

中央広場では火刑真っ最中で救出が間に合わなかった場合は契約失敗&再契約不可。

救出が成功した場合は安全な場所でジャンヌと会話イベントが発生し、

神とフランス王家、引いては世界の全てを呪うジャンヌの本心が曝け出される。

彼女の本心を否定した場合は、彼女から裏切り者とみなされ、契約失敗&再契約不可。

しかし、肯定して彼女の心情に共感した場合、契約は成功する物の、

契約者の魂に世界への破滅願望が芽生え、狂人化する。

狂人化を免れ、彼女の力を十全に引き出せるのは、

元から別の方向に狂っている人間もしくは救世主クラスの精神の強靭性を有する聖人だけである。


参考までに守君は収税役の家系の子が文盲とか有り得ないだろJKと用心して雇用契約書は日本語で作成しました。

勿論残業代の規定は書かれていません。

四文字様のインターセプトで契約書に36協定が盛り込まれました……

ある高校生冒険者のAdventurer's Report 転載版

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