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アイドライズ

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アイドライズ

10 - 第10話 ツカサの心境

♥

818

2024年06月07日

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ガタンッ

ツカサ

…今、何と言った?

ルイ

だから、貴方に迷惑をかけるくらいなら帰ると言ったんです。

ルイ

バレたのがアサヒさんだったから良いですが…他の吸血鬼にバレたら、不味いでしょう?

ツカサ

だから、その時は俺がお前を守ると言っているだろう。

ツカサ

一体何が不満なんだ?言ってくれたら改善しよう。

ルイ

何故、僕にそこまで尽くすんですか?

ツカサ

お前のことが好きだからに決まってるだろうが。

ルイ

僕だって、貴方の事は嫌いじゃないです。

ルイ

だから…だから、迷惑はかけたくない。

ツカサ

な…っ

(本当は、まだここにいたい、)

(でも、それでツカサさんに迷惑をかけてしまうなら…僕は、向こうで処刑された方がマシだ。)

ツカサ

ルイ…

ツカサ

(やはり不安にさせてしまっていたのか…)

ツカサ

不安にさせてしまってすまない。だが、俺は絶対に迷惑などと思わんぞ。

ツカサ

それに、まだここに居たいなら尚更、帰るなんて言わないでくれ…

ルイ

ツカサさん…

ルイ

僕…本当にここに居ていいんですか?

ツカサ

ダメな訳無いだろう。ずっと居ていい。

ルイ

……はい。

(入りづらいな…)

ツカサ

…ああ、トウヤか。入っていいぞ。

トウヤ

ルイ

あっ、トウヤさん…!!

ツカサ

久しぶりだな。調子はどうだ?

トウヤ

あっ、えっと、お陰様で万全です。

ルイ

今回はいつもより酷かったらしいですけど、大丈夫でしたか?

トウヤ

はい。まぁ…と言っても、ほとんど覚えてないんですけどね。

ツカサ

ほう?俺に蹴り入れたのも忘れたのか。

トウヤ

え?!?!

ルイ

え、蹴られたんですか…?!

(あのトウヤさんが…?!)

ツカサ

ああ。ちなみに、まだ痕残ってるぞ。見るか?

トウヤ

え、あ、も、申し訳ありません…!!!大丈夫ですか?!

ツカサ

ハハッ、気にするな。中々いい蹴りだったぞ。

トウヤ

本当にすみませんでした…!!

ツカサ

ルイ

トウヤさんがいなくて、アキトさんが寂しがってましたよ。

トウヤ

え、そうなんですか?さっき会いに行ったら殴られたんですが…

ルイ

えぇ??本当に素直じゃないなぁ、あの人…

(本当は嬉しくて堪らなかっただろうに…)

ツカサ

(ルイは流石人間って感じだな。色んな感情や考えがクルクル動いている。)

ツカサ

(それでもって、危機感が全くないな。俺に心が読まれてると知っているはずなのに…)

ツカサ

(それに比べて…トウヤはやはり、俺を警戒しているな。)

ツカサ

(心を読まれないように最小限の思考と感情しか動かしていない。気持ち悪いくらい静かだ。)

ツカサ

それで、トウヤは俺に何の用だったんだ?

トウヤ

え?あっ、少し外出をしたくて、その許可を得に来ました。

ツカサ

おお、行ってくるといい。というか、別に許可を取らんくてもいいんだぞ。

ツカサ

アキトなんか自由に外出しまくってるし。

ルイ

トウヤさん真面目ですもんね。

ルイ

ちなみに何処へ行くのか聞いてもいいですか?

トウヤ

街の本屋です。そろそろ、新しい本が欲しくなりまして。

ルイ

本屋?!✨️

(僕も行きたい!)

ツカサ

…そうだな。折角だし、ルイも一緒に行くか。

ルイ

えっ?

トウヤ

え?ルイさんも…という事は、

ツカサ

無論、俺も行く。

トウヤ

?!

(あの兄様が本屋に行く…だと?!)

ルイ

えっ、いいんですか?!

(やった〜!!本屋♪)

ツカサ

さて、そうと決まれば早速行くとするか。

トウヤ

えっ、あのどういう風の吹き回しで…?

ツカサ

別に。ただの気まぐれだ。

街の本屋

ルイ

わぁ〜!✨️✨️

トウヤ

ツカサ

(2人とも楽しそうだな…変わった奴らだ。)

ルイ

ツカサさんっ!これ、本当にいくつ選んでもいいんですか?!

ツカサ

ああ、なんなら店ごと買い取ってもいいくらいだぞ。

ルイ

え"っ、そ、それは遠慮しておきますけど…

ツカサ

トウヤも、好きなだけ選ぶといい。いくらでも買ってやろう。

トウヤ

え"っ??

トウヤ

ほ、本当にどういう風の吹き回しですか??

トウヤ

今までそんな事1度も…

ツカサ

だから、気まぐれだ。気にするな。

トウヤ

…はい。ありがとうございます。

トウヤ

なら、遠慮なく選ばせてもらいますね。

ツカサ

おお。好きなだけ選ぶといい。

ツカサ

(こうして見ると、意外とトウヤも表情豊かなものだな。)

ルイ

トウヤさんっ!これなんて書いてありますか?

トウヤ

ああ、これは『解剖学』ですね。悪魔や吸血鬼の人体についての本です。

ルイ

!!

(吸血鬼や悪魔の人体について…か、)

ルイ

なら、これにしようかな…

トウヤ

え、ルイさん解剖に興味が…??

ルイ

フフッ、はい。少しだけ…

トウヤ

ツカサ

(あ、今少し怖がったな)

ルイ

トウヤさんが持ってるのは何の本ですか?

トウヤ

『心理学』の本です。

ルイ

へぇ〜!吸血鬼や悪魔にも心理学とかあるんですね。

トウヤ

ええ。もし興味あるのなら、また翻訳してお貸ししますよ。

ルイ

えっ、いいんですか?✨️

ツカサ

ふわぁ…

ツカサ

(やはり暇だな…まぁ、分かってはいたが…)

トウヤ

兄様。

ツカサ

ん?本選びはもう終わりか?

トウヤ

ええ。お陰でいい買い物が出来ました。

ツカサ

それは良かった。

トウヤ

…今日は、本当にありがとうございます。兄様と出掛けられて、楽しかったです。

ツカサ

おお。

ツカサ

(珍しい…随分と嬉しそうにしよって…)

トウヤ

ふふっ、一つ夢が叶いました。

ツカサ

夢…?

トウヤ

はい。一生叶うことはないと思っていましたが…ルイさんのお陰ですね。

ツカサ

??

ツカサ

(俺と出かけるのが夢だったのか?そんなの、言ってくれればいつでも行ったというのに…)

ルイ

ツカサさん!トウヤさんっ!

ツカサ

おお、ルイ。もういいのか?

ルイ

はい!面白そうな本がたくさん買えました!

ルイ

お二人とも、本当にありがとうございます!

トウヤ

いえ…こちらこそ、1人で来るよりも楽しかったです。

ツカサ

いい気分転換になったさ。

ツカサ

さて、帰るとするか。

ルイ

はい♪

ネネ

お帰りなさいませ

ツカサ

ああ。

ルイ

ただいま、ネネさん。

トウヤ

あの、アキトがどこにいるか知ってますか?

ネネ

あっ…アキト様なら、またお出かけしていきましたよ。

トウヤ

そうですか…

ツカサ

相変わらずの奔放ぶりだな。

ルイ

いつもいつも、どこ行ってるんですかね?

トウヤ

恐らく、人間界だと思います。

ルイ

え?!

ツカサ

ダメだと言ってるのになぁ

トウヤ

いや、兄様が行くからでしょう。

ツカサ

む、最近は行ってないぞ。

ルイ

人間界に行って何するんですか?

ツカサ

何って吸血…

トウヤ

散歩!ただの散歩ですよ。

ルイ

へぇ?

(吸血なんか言って、ルイさんが怖がってしまったらどうするんですか。全く…)

ツカサ

(む、たしかに怖がらせるのは良くないな…)

ツカサ

そうだ、散歩だな。

トウヤ

まぁ、アキトも夕食までには戻ってくるでしょう。

トウヤ

今日買った本は、また翻訳してお渡ししますね。

ルイ

はい!よろしくお願いします!

ツカサ

む、トウヤは人間界の言葉分かるのか?

トウヤ

ええ。独学ですが、勉強しましたので。

ツカサ

(知らなかった……)

ルイ

僕も魔界の言葉勉強してるんですけど、やっぱり難しくて…

トウヤ

人間界の言葉とは大分異なりますからね。無理もないです。

ネネ

えっと…あの、入浴はどうなさいますか?

ツカサ

ああ、ルイ。一緒に入るか?

ルイ

え、お断りします。

ツカサ

む、今日も駄目か。

トウヤ

兄様……

ツカサ

そんな哀れんだ目でこっちを見るんじゃない。

ツカサ

まぁ良い。ルイ、トウヤ、どちらか先に入って来い。

トウヤ

ルイさん、先にどうぞ。

ルイ

えっ、いいんですか?

ツカサ

じゃ、ルイからな。俺は部屋に戻ってる。夕食の時に呼びに来てくれ。

ネネ

かしこまりました。

ツカサ

……

『だから、貴方に迷惑をかけるくらいなら帰ると言ったんです。』

『バレたのがアサヒさんだったから良いですが…他の吸血鬼にバレたら、不味いでしょう?』

ツカサ

(他の吸血鬼にバレたら、か……)

ツカサ

数日前

ツカサ

お前から訪ねてくるとは珍しい。仕立て終わったのか?

ミズキ

まーね。はい、これルイに渡しといて。

ツカサ

おお、ありがとう。相変わらずいい仕上がりだな。

ミズキ

ボクが作ったんだから、当然だよ。

ツカサ

…ふむ。用事はこれだけじゃないみたいだな。

ミズキ

まぁね。

ツカサ

一体何の用だ?

ミズキ

ルイの事だよ。

ミズキ

ルイ…採寸の時、背中見たんだ。悪魔や吸血鬼、魔物にはあるはずの羽菅が無かった。

ツカサ

ミズキ

正直に教えてよ。ルイは人間なの?

ツカサ

…あぁ、そうだ。と言ったら?

ミズキ

別に。何もしないよ。

ミズキ

ルイはカワイイし、僕はルイのこと気に入っちゃったからね〜

ツカサ

否定はせん。

ミズキ

あははっ、今日はその確認に来ただけだよ。

ツカサ

あぁ、そうか。

ミズキ

…誰にも絶対口外なんてしないからさぁ

ミズキ

その殺気、どうにかしてもらっていい?

ツカサ

……

ミズキ

ま、ボクは味方だと思ってくれていいよ。

ミズキ

あ、ツカサ様じゃなくてルイの味方だからね!

ツカサ

…フッ、勝手にしろ。

ミズキ

はーい。ルイの服が欲しくなったらいつでも呼んでね〜

ツカサ

ああ、そうしよう。

ツカサ

(仕立て屋は気付いていた…まぁ、背中を見たら当然か。)

ツカサ

(ま、何がともあれ、始末せずに済んで良かった。)

コンコン

ネネ

失礼します。夕食のお時間です。

ツカサ

ああ。すぐ行く。

ツカサ

……

ツカサ

(思えば、ネネの心など読もうとも思ったこと無かったな…)

ネネ

ツカサ様…?

ツカサ

ん?あぁ、すまん。

ツカサ

(まぁ、別に良いか。)

𝐍𝐞𝐱𝐭

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