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田心 春樹(たごころ はるき)
中学に入って、二度目の夏。俺――田心春樹(たごころ はるき)は、人生で初めて告白というものをした。
相手は同じクラスの女子――母屋麗子(おもや れいこ)。
誰がどう見ても美少女だが、無口な上に変人ということで、クラスで浮きがちな女の子だった。
だが、それがイイ!
無口? 結構じゃないか。フラれたとしても、噂になる心配がない。
正直に言おう。
俺は、思春期だ。
名前の通り、思春期だ!
女の子と付き合いたい!
て言うか突き合いたい!
有体に言って、エロいことしたい!
母屋?
あー、うん、どんな子か実は、よく知らないんだよね。だって喋んないし。
まあつまり、フラれてもリスクないし、『付き合えたらラッキー』くらいの気持ちで告白しちゃった次第です、はい。
自分でも最低だな、とは思う。
でも彼女欲しい!
エロいことしたい!
だけど、告白とかハードル高いし、フラれた時が怖い。何より女子の組織力が怖い。
その点、母屋は初体験にベストな相手だったのだ。
わあ、こう書くと何かエロい。
母屋 麗子(おもや れいこ)
母屋は、なかなか返事をしなかった。
初めてのことに戸惑っているのかも知れない。
もし、俺の頭の中を母屋が覗けたなら、きっと軽蔑するだろう。
だけど、俺は声を大にして言いたい。
――思春期の男子なんて、みんなこんなもんだよ?
と、その時だった。
母屋の口が、動いたのは。
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
何て言った!? 今何て言った!?
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
超カワイイ。
何故か、そう思った。
別に表情は変わっていない。いつも通りの無表情。
だけど何故か、いつもの数倍可愛く見えた。
これが、俺の彼女……。
田心 春樹(たごころ はるき)
その瞬間だった。
体の奥底から、得体の知れない感情が湧き起こってきた。
これは、きっと歓喜だ。
今までに味わったことのないほどの、喜びだ。
俺は、心の中で叫んでいた。
――母さん、ボクにも彼女が出来ました。
田心 月子(たごころ つきこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
どこからともなく、女性の声が聞こえてきた。
明らかに母屋のものではない。
誰――、
田心 春樹(たごころ はるき)
田心 月子(たごころ つきこ)
顔を上げると、半透明の女性が、宙に浮いていた。
それは、
田心 月子(たごころ つきこ)
紛れもなく、五年前に死んだ母親だった。