キミ子
前回のあらすじ、ザツ!
キミ子
「ふっー」
キミ子
「戻ってきましたよ」
キミ子
「『輝ノ霧森(かがやきのきりもり)』」
キミ子
「サキエ、まだいるかなー」
サキエ
「七年前……」
サキエ
「あの方は、そう言ってたけど、キミ子が、見た夢は能力が“宿る”時の夢じゃないのかな……?」
サキエは、あの方が言っていたことを思い出していた。
サキエ
「七年前…… そんな前に!?」
サキエ
「でも、昨日… あの夢を見ているんですよ?」
「さっきも、言ったが、“与えた”のは私であるが、選んだ訳じゃない」
サキエ
「だったら、選んだ人を教えてください!」
サキエ
「滝斗 って 誰よ…」
サキエ
「まぁ、話によると、今はいないみたいだから、帰って昔のこと、見返してこよう」
サキエ
「……また来ます」
そういうと、サキエは、お寺に一礼し、振り返り歩き出しました。
そして、お寺の門を潜ると、そこに階段を駆け上がる彼女がいた。
キミ子
「あっ、サキエ!」
サキエ
「えっ、なんで、あんたがいるの?」
キミ子
「いやー、あの夢見たら、行きたくなっちゃってー」
サキエ
「そうなんだ…」
サキエ
(まぁ、あんたなら、そうするかー)
キミ子
「それにしても、急いできたのに階段長いって、知らなかったなー」
サキエ
「そのわりには、まだ余裕あるように見えるけど?」
キミ子
「なにいってるの、家から二回ほど、往復したうえに階段まで走った程度、去年のマラソン8キロコースに比べたら、まだ楽勝よ!」
サキエ
「えっ、二回も往復って?」
キミ子
「あっ……」
サキエ
「あんた、もしかして……」
キミ子
「えっ、何?」
サキエ
「私が、ここに入るの見えたから、急いで、鞄を置き、ここに来たんでしょ!」
キミ子
「まぁ… そんな感じ」
キミ子
(ホッ…)
キミ子
(服のことにたいしては、バレてない)
サキエ
「あっ、そういえば、この前の、ライオンの服来てたよね?」
キミ子
「えっ、いつ!?」
サキエ
「えっと、先週の土曜日だったと思うよ」
キミ子
(先週の土曜日…、私は、買い物に出掛けた)
キミ子
(その時に着ていた服は…)
キミ子
(……ライオン)
サキエ
「大丈夫?」
キミ子
「ショックが大きすぎて……」
サキエ
「あっ、そっかー」
サキエ
「学校の帰り道って、考えてたけど、」
サキエ
「あんたなら、制服のままでも、鞄を持ったままでも、森のなかはいるでしょうね」
キミ子
「えっ、何の話?」
サキエ
「さっき、あんたは、ライオンの服、着てたでしょ」
キミ子
「あー! やめてー、それ以上、探らないでー」
キミ子
「あんたにだけは、見られたくなかったのにー」
サキエ
「あはは、そっかー」
キミ子
「笑わないでよ!」
キミ子
「うぇ…!」
サキエ
「ちょっ、あんた!」
しかし、彼女が立ったとき、バランスを崩して、後ろへ倒れていく。
キミ子
(あっ、やば…)
サキエ
(私の“能力”(ちから)じゃ、助けられない!)
キミ子
「load…」
サキエ
「えっ……?」
キミ子
「fly」
サキエ
その時だった…
サキエ
私は、空高く飛んだのだ
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
???
「ふぅー、間に合った」
キミ子
「……」
???
「気を失ってるか……」
???
「それにしても」
???
「こいつ、おもてぇー」
???
「そういえば、こいつどっかで見たな…」
サキエ
「キャー!」
???
「あいつも、助けるかー」
そういうと、少年は、彼女をお寺に寝かせ、落ちてくる、サキエを見た。
???
「さぁーて、やりますかー」
???
「音響(アコースティック)」
指パッチンをした、その音は、この辺りに響き渡った。
サキエ
「うっ!」
サキエ
「ったー… 助かった……?」
???
「すまんが、その体制は、やめてもらえると助かるんだが…」
サキエ
「えっ?」
サキエは、尻餅をつき、膝を軽く曲げており、少年が立つ位置から、足の隙間を通して、見えてしまっていた。
サキエ
「あー、ごめんなさい」
???
「いや、別に…」
???
(怒られるかと思ったけど、優しそうな人で、良かった)
サキエ
「ねぇ、あなたが、助けてくれたんですね?」
???
「まぁ、一応」
サキエ
「本当にありがとうございます」
サキエ
「あと、彼女のことも」
???
「お礼されることは、してませんよ」
サキエ
「でも、あなたは…」
???
「助けたのは、本当にたまたまなんですよ」
???
「俺は初め、君達を救うつもりは微塵もなかった…」
サキエ
「えっ、でも、助けてくれましたよね」
???
「だから、たまたまだっての」
???
「この子が、『輝き―』の“能力”(ちから)を持っていたからだ」
???
「そして、君も持っているはずだ」
???
「『山郷 咲枝』」
サキエ
「……」
サキエ
「ごめんなさい、思い出せません」
???
「……はっ?」
サキエ
「いつお会いしましたっけ?」
???
「何の話だ?」
サキエ
「昔、会ってたんですよね?」
???
「えっ、いや、会うのは、はじめてのはずだ」
サキエ
「えっ、でも、私の名前知っていましたし」
???
「あー、調子狂う」
サキエ
「どうかされましたか?」
???
「お前の名前を知っていたのは、昔、お前に“能力”(ちから)“与えた”ことを知っていたからだ」
サキエ
「つまり、あの方とは、お会いに?」
???
「あぁ、会ってるよ、さっきも、会ってきた」
???
「久しぶりに帰ってきたからな」
サキエ
「………」
???
「それにしても、昔とそんなに変わってねぇーな」
???
「変わってるとしたら、この森に誰も来なくなってしまったぐらいか」
サキエ
「……もしかして、あなたが、滝斗?」
???
「……!」
???
「…驚いたな、そんな危険人物の名前を知ってるいるなんて」
???
「もしかして、あの方から聞いた?」
サキエ
「危険人物のことは知りませんが」
サキエ
「あなたが、彼女を“選んだ”と聞きました」
???
「えっ、こいつが?」
サキエ
「はい、そう聞いてます」
???
「なんだ、こいつかー」
???
「良かったー、すぐに見つかって」
サキエ
「その子をどうするつもりなんですか?」
???
「んー、そうだなー、君には教えてやるか」
???
「目的は二つ、この子を使って、したいことと、させたいことがある」
サキエ
「………」
???
「どっちから、聞きたい」
サキエ
「じゃ、させたいことからで…」
???
「させたいことは」
???
「『あの方』を“殺す”こと」
サキエ
「えっ……!」
???
「こいつと、したいことは……」
サキエ
「ちょっ、ちょっと待って!」
???
「ん、何?」
サキエ
「今、あの方を“殺す”って、言った?」
???
「言ったけど?」
サキエ
「あの方を“殺す”って、ことは、この村の輝きが消えるわけですよ」
???
「いや、ならねぇーよ」
サキエ
「どうしてそういいきれるんですか?」
???
「だって、俺があの方の二代目になればいいわけだから」
サキエ
「はい?!」
???
「でっ、したいことと言うのは…」
サキエ
「何かってに進めようとしてるんですか?」
???
「理由は、後でちゃんと説明するから、先にこっちを言わせろ!」
サキエ
「何て、自分勝手な!」
サキエ
「どうせ、したいことって、そういう ひわいな 感じのものでしょ?」
???
「否定はしないが…」
サキエ
「否定してほしかったわ…」
???
「それで、俺がこいつとしたいことは!」
サキエ
「………」
???
「こいつを俺の“嫁”にすること」
サキエ
「………はぁっ!!」
サキエ
そういって、少年は、無邪気に笑ったように私は感じた。