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3件
世界はお前を待っていた
サヴァランとの戦闘の後日。
騎士団員
ソルベ
マッド
騎士団員
騎士団員
マッド
扉が開き、誰かが降りてきた。
オペラ
マッド
マッド
マッド
オペラ
鉄を石で擦るような、鋭い高音が頭に響く。
だんだんと大きくなる。
それに伴って、痛みも奔ってくる。
霧がかった記憶。
真っ白で何も見えない。
オペラ
オペラ
オペラ
すべて、あの時の光景だ。
胃酸が喉を焼く。
耐えきれず、オペラはその場で吐いた。
オペラ
マッド
マッド
ほっとしたような表情になると、体が崩れた。
倒れる前に、騎士団員がその体を支えた。
騎士団員
騎士団員
オペラ
騎士団員はそのまま、オペラを部屋へ運んで行った。
扉が閉まる。
ソルベ
マッド
サヴァラン
クロッフル
サヴァランの腹をつらぬいた一撃。
その時、勇者は不快な感触を覚えた。
距離を取る。
サヴァラン
サヴァラン
頬を伝う汗。
クロッフル
サヴァラン
努力、才能、徳。
勝利とは圧倒的であり、そこには必然がある。
今、我が前に立ち塞がる一人。
勇者。
やはり間違いではなかった。
唯一、この命を終わらすことのできた存在――
ミルフィーユと、その姿が重なる。
かつてない才能が、そこにある。
垂れる一本の糸――運命。
未来は決まっているのだ。
いかに今を抗おうと、糸の先が揺れることはない。
過去が増えるたび、それが重りとなっていく。
七百年前、あの日はもう……きっと雲の上にあるだろう。
サヴァラン
サヴァラン
サヴァラン
サヴァラン
サヴァラン
サヴァラン
サヴァランの体が再生していく。
糸が絡まるように、膜を張るみたいに、穴が埋められていく。
サヴァラン
サヴァラン
サヴァラン
回復したサヴァラン。
片腕の人型だ。
クロッフル
悪寒が身を震わす。
勇者は振り返り、走った。
アップルパイとオペラの二人を抱え、
倒れたブラウニーのところへ走る。
運命――垂れる一本の糸。
重力に打ち勝つのに、なにも特別なものはいらない。
過去に打ち勝つことは、ちっとも難しくない。
七百年は重く長い。
しかしその分、今は強く大きく揺れる。
思えば……何一つ、うまくはいかない人生だった。
しかし、だとしても、
それは退く理由にはならない。
過去と己と対峙する時――
善悪を問わず、その者は正義である。
カラスが羽ばたいた。
五〇を超える群れだ。
ここから逃げるように、天に向かって飛んでいく。
「絶技『鴉葬』」
サヴァランの瞼が開いた。
光の半球があたりを飲み込む。
逃げるカラスの群れ。
後方、遅れた一匹が光に追いつかれた。
片翼が触れた。
赤い何かが噴き出す。血だ。
切れた血管が、肉と皮を裂いてあらわになっている。
そして、それが暴れている。
殺虫剤をかけられたムカデの足みたいに、荒く動いて、暴れている。
そのたびに、肉や皮がさらに裂けていく。
血管が、何か別の生物にでもなったかのようだった。
死への恐怖みたいな意思を持って、その身を滅ぼしていく。
骨すら砕いて。
そんな一匹目に続き、次々と他のカラスも光にのまれていった。
花火みたいに血が爆ぜていった。
次々、次々と。
気づけば、カラスはもう一匹も見えなくなっていた。
光が消えた後、地面にはいくつかの塊が落ちていた。
まあるい、糸くずみたいな。
赤いもの。
血管の塊。
視界が開けた。
ブラウニー
タルトタタンが部屋にちょうど入ってきたところだった。
タルトタタンは口角をあげる。
騎士団長
ブラウニー
ベッドから飛び降り、戦闘態勢をとるブラウニー。
タルトタタンを強く睨んだ。
ブラウニー
騎士団長
マッド
ソルベ
ソルベ
ソルベ
ソルベ
ソルベ
ソルベ
ソルベ
マッド
ソルベ
マッド
マッド
騎士団長
マッド
マッド
光が消えた向こうに、四つの影。
ブラウニー、オペラ、アップルパイ。
勇者は片膝立ちで、倒れた三人の前にいた。
サヴァラン
覚えたばかりの技――いくらクロッフルと言えども……
サヴァラン
クロッフル
胴体から血が噴き出す。
いくつもの斬られた跡。
その痛みに悶えるように、勇者は両手を地につけた。
#一次創作