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…あれから、ローマ帝国は崩れた。
なんとか別の国として復帰しようとしているが...
そして、俺も崩れた。
無理もない...権力が分散していたし、政治が不安定だったから。
それでも、彼の背だけを追った。
ローマ帝国のように。
彼のように。
それだけを目指して、俺は新たな帝国を創り上げた。
ときはWW1。
あれからだんだんと復帰してきた彼と別の国も交えた三国同盟を結び、
憧れの彼との距離も縮んだ。
一緒に食事に行かせて貰ったり、彼の作品を見せてもらったり。
彼の作品は素晴らしい。
絵が基本なのだが、とにかく綺麗な絵しか描かない。
虹の掛かった空、夕焼けに照らされる海、夜の明るく美しい町並み。
やっぱり俺の目に狂いはないと思った。
彼は全てにおいて素晴らしい。
何年後でもいい。何世紀後でもいい、彼のようになりたい。
だけど、そんなことを公に出してしまったら引いてしまうだろう。
今は、ただ、密かに憧れているだけで十分だ。
…そのはずだった。
戦時中。イタリアもきっとすぐこちら側で参戦するだろう。それまでに敵をなるべく減らさなければ。
そう思って、もう一つの同盟国とも奮闘していた。
そんなある日の、号外の新聞だった。
タイトルは_______
『イタリア王国、協商側に寝返り』。
心臓が、息が、脳が、機能を一瞬停止した錯覚。
ヵヒュ、と短く喉を切る、声とは形容しがたい声。
滲む視界、手から紅が出てくるほど強く握りしめた手。
全てが、怖くなって。
気がついたら、イタリアの領土を侵攻していて。
でも、裏切ったって、思いたくなくて。
国民のせいだって、思いたくて。
最終的に_______敗けた。