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気がつくとそこは海の上
水面の上に文字通り"立っている"
不思議と沈んだりすることはしない
意識はしっかりしているが これが"夢"だということはわかる
つまり『明晰夢』だ
五条悟
空には視界の端から端までを覆う星空
辺り一面には空を反射する水面
小さな星々が輝く中 大きくあかるい、まあるい月
全てがなかなか体験できない 幻想的な景色なのに
どれもが自分の目を惹かない
それでも"夢"だというのなら 何処かに必ず大切な何かがあるのだ
五条悟
辺りを見回す
五条悟
焦燥に駆られる
五条悟
どこも探すが見当たらない
そもそも"何"を探しているかも わからない
ただひたすらに"何か"を求める
自分の中にポッカリと空いた穴を埋める "何か"を
その中でぼうっと月が輝き出した
五条悟
それにつられるように ふらふらとついていく
行き着いた先はそう遠くない 景色も変わらないところ
一つだけ違うのは 目を凝らしてやっと見えるところに
着物姿の男が1人
五条悟
声をかける
男は答えない
五条悟
問いかける
それでもまだ、答えない
五条悟
一歩ずつ、距離を縮める
男は立ったまま動かない
やっと、ちゃんと見えるところまで来て 顔を確認する
五条悟
一度だけ、この男に会ったことがある
その時は気にも留めてなかったが この男は"特別"だ
世界にとっても 自分にとっても
五条悟
五条悟
一歩近づく
五条悟
五条悟
さらに一歩、近づく
ようやく手が届く___ それだけの距離になったその時
ようやく男が口を開いた
着物の男
だが、言葉は音にならず それに合わせて体は"海"に引っ張られ
五条悟
意識はそのまま沈んでいった
この"夢"はここで終わった
夏油傑
夏油傑
五条悟
夏油傑
夏油傑
五条悟
五条悟
夏油傑
五条悟
ヤベ…寝てた、のか
夏油傑
五条悟
夏油傑
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
夏油傑
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
夏油傑
五条悟
夏油傑
夏油傑
……………………………………は?
五条悟
五条悟
五条悟
いや、そんなはずは
夏油傑
五条悟
そんな、はずは
五条悟
夏油傑
五条悟
俺が
アイツを…?
好き、とか
五条悟
夏油傑
そんなわけねぇじゃん
ふと気づくとあの"夢の中"にいた
五条悟
五条悟
それだけ任務に追われて 寝不足なのかもしれないが
ぐるりと辺りを見回すと前回同様 満点の星空とそれを映す海
それから、ぽっかりと浮かぶ まあるい月
前回と違うのは あの着物の男が隣で 腰掛けていることだった
五条悟
着物の男
着物の男
ニヤリと悟の顔を覗き込むように笑う
五条悟
五条悟
着物の男
嬉しかった
自分の問いかけに 答えが返ってくることに
五条悟
着物の男
五条悟
五条悟
着物の男
五条悟
五条悟
着物の男
五条悟
憤慨した勢いで詰め寄る
着物の男
五条悟
そう
そうだ
夢なのだ
五条悟
着物の男
五条悟
この男のことを知る機会がなくなった
そう思うだけで何故か、気分が落ち込む
五条悟
ふと、疑問に思った
会ったことがあるだけで この男のことは何も知らないはずなのに
『何故コイツは喋るのか』と
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
着物の男
着物の男
五条悟
五条悟
五条悟
着物の男
男は心底残念だという顔で肯定する
ただの幻ではなかったことに歓喜し 片っ端から質問攻めにしていく
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
着物の男
着物の男
着物の男
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
着物の男
これでもかというほど眉間に皺を寄せ 大きなため息をつき うざったそうに遇らう
着物の男
着物の男
五条悟
五条悟
着物の男
五条悟
膝の上で頬杖をついたまま 視線だけ悟に向け、笑う
着物の男
初めて見る楽しそうに笑う表情に 心拍数が上がる
五条悟
高鳴る鼓動と上がる体温 2人しかいない空間 楽しげに笑う気になっている人
この状況全てが 悟の味方をしている気がした
五条悟
人生初めての一世一代の告白
五条悟
五条悟
固唾を飲む
緊張してじっとりと汗ばむ手
視線も落ち着きがなく 男の顔と自分の足元を行ったり来たり
着物の男
着物の男
着物の男
着物の男
フラれてしまった それも
五条悟
落ち込んだ 一世一代の告白だっただけに
膝を抱えて顔を伏せる
五条悟
恥ずかしいし、悔しい
五条悟
会ったのがいつだかわからなくて 話したのは今回が初めて
五条悟
暫くの沈黙
隣からの反応がないのが怖くなって ちらりと横目で様子を伺う
するとそこには 目を見開いて固まる男の姿
着物の男
着物の男
心底信じられないという目で問われる
五条悟
五条悟
相手から視線を外し ぶっきらぼうに返す
着物の男
着物の男
五条悟
自嘲気味に笑う姿を見て 目の前がカッと赤くなる
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
立ち上がり怒鳴り散らす
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
言いたいことは言い切った
全力で伝え、息切れがする
どうだと言わんばかりの顔で相手を見る
すると男も先ほどより 信じられないと言う顔をしていた
五条悟
五条悟
着物の男
着物の男
五条悟
五条悟
着物の男
五条悟
五条悟
五条悟
着物の男
男は頬杖をついていた手を ひらひらさせる
着物の男
五条悟
男の呟きにつられて辺りを見回す
男の言う通り、空は白んできていて もうじき夜が明けることを示す
五条悟
着物の男
"夢"から醒める
それはこの男との別れを意味していた
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
別れの空気にあからさまに落ち込み 顔を伏せる悟
それを見て何を思ったのか 男は悟の頭を撫で始めた
着物の男
着物の男
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
男の励ましを聞いた悟は機嫌を取り戻し わたわたと携帯を探し出す
五条悟
五条悟
着物の男
着物の男
携帯がない事と教えてもらえない事で またしても目に見えて落ち込む
着物の男
着物の男
着物の男
五条悟
五条悟
着物の男
五条悟
着物の男
膨れっ面になる悟 そんな悟の頬をつつく男
五条悟
五条悟
その願いは届かず 白む空と昇る太陽
五条悟
五条悟
五条悟
五条悟
着物の男
五条悟
甚爾
甚爾
甚爾
五条悟
そう言い残し、男_甚爾は消えていった
五条悟
そう言いしゃがみ込むが ふと、あることに気づく
五条悟
悟も、この"夢"から消えていった
夏油傑
五条悟
夏油傑
五条悟
頭をガシガシと掻いて 唸り出す悟
夏油傑
夏油傑
五条悟
夏油傑
夏油傑
五条悟
夏油傑
五条悟
真っ赤な顔は夕日に隠れないほど赤く 夕日に負けないほど熱くなっていた
五条悟
ぼそりと呟かれた音は誰にも届かず 2人が再開するのはまだ、先の話