TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

6人兄弟

一覧ページ

「6人兄弟」のメインビジュアル

6人兄弟

3 - 四男の悪夢

♥

2,139

2021年08月23日

シェアするシェアする
報告する

 

忘れたくても忘れられない
ショックなこと

 

人間ってひとつやふたつ
そんな記憶を
持ってるんだよね

 

君にもあるんじゃない?

 

え?ぼく?

 

ぼくは...

 

ない時もあるし、
ある時もあるよ

 

変だと思った?

 

まあ、所詮大抵の
人間には忘れることは
出来ないだろうね

寒い

ここはどこ?

なんで僕は部屋着なの?

𝐶.

お兄ちゃんっ...!

みんなはどこにいるの?

手と足が動かない

𝐶.

縄...?

縛られてるみたい

カツ... カツ... カツ...

静かな建物に響く足音

𝐶.

っ...!

誰かが近づいてくる

𝐶.

誰だっ...!

 

...

僕の方へと黒いフードを 被った人が近寄ってくる

𝐶.

来ないでっ...!

𝐶.

やだっ...!

怖い

来ないで

 

...

そいつは僕の前で止まった

なぜか、次にされることが分かった

𝐶.

やだっ...!

𝐶.

叩かないでっ...!

 

──ろんくん?

 

ころんくん?

𝐶.

ううっ...

僕、なにしてたんだっけ...?

 

大丈夫?

 

すごい汗かいてるけど...

教室に響く、世界史の先生の声

となりから小声で心配してくれる クラスメイト

そうだ

今は授業中だ

肌寒くなってきたのに

セーターを忘れて

そのせいであの頃の夢を見たらしい

 

保健室行く?

𝐶.

う...ん...

𝐶.

ちょっと保健室行く...

 

先生にあとで伝えとくね

𝐶.

ありがと...

足早に教室を出る

教室を出て

階段を降りる

嫌な汗が背中を伝う

𝐶.

さむっ...

その汗も冷たい空気に乾いていく

𝐶.

失礼しまーすっ...

保健室の先生

あら、どうしたの?

𝐶.

ちょっと体調
悪くなっちゃって...

保健室の先生

確かに顔色悪いわね...

保健室の先生

体温測ってくれる?

𝐶.

はい...

多分熱はない

ただ単に気分が悪いだけ

保健室の先生

ん〜、微熱ね...

言われてみれば

夢のせいで少し顔が 火照っているかもしれない

保健室の先生

そこのベッドで
しばらく休んでなさい

保健室の先生

お家の方に
迎えに来てもらうから

𝐶.

はい...

多分2人とも大学だから

迎えには来れないだろう

でも、休めるだけでもありがたい

ベッドに寝転んで

目を瞑る

背中に背負ったランドセル

目の前の大きな男性には 見覚えがあった

𝐶.

父さんっ...

この父さんは

怖い時の父さんだ

父さん

あぁ!?

父さん

なんで遅くまで
帰ってこねぇんだよ!

聞き覚えのある怒鳴り声

今はもう怖くないはずなのに

勝手に体は震え出す

𝐶.

ごめ、ごめんなさいっ...!

𝐶.

委員会で
遅くなっちゃって...!

口はペラペラと勝手に喋る

父さん

んなこと知るかよ!

𝐶.

ごめんなさいっ...!

早く部屋に逃げたいのに

体がすくんで動かない

父さん

ちゃんと喋れよ!!

父さん

ああっ!?

ついには目から涙が零れ落ちる

𝐶.

ごめんなさいっ
ごめんなさいっ!

𝐶.

もうやりませんっ!

父さん

泣いてんじゃねぇぞ!?

父さん

被害者ぶりやがって!

息が上手く出来なくなってくる

と、

ぼやけた視界が

紫でいっぱいになった

𝑁.

ころちゃん、
宿題終わってない
みたいなのでニコッ

子供ながらにも分かる圧の笑みを

父さんに向ける兄

𝑁.

...さとみくん、ごめん、
部屋に連れて
行ってあげて...((ボソッ

𝑆.

...ん、...

さとみくんに耳打ちをして

僕の頭を撫でてくれる

𝑁.

大丈夫だよ...

その言葉で見送られながら

新しい制服を着たさとみくんに 抱えられて

自分の部屋に戻った

𝐶.

っ...はぁっ...!

そこで目が覚めた

目の前には

今朝バイトが休みだ、と 言っていたお兄ちゃんがいた

𝑅.

...大丈夫...?

おでこに触れながら

そう声をかけてくる

𝐶.

...うんっ...!

𝑅.

...

𝑅.

帰ろっか...!

こくこく、と頷いて

起き上がる

𝑅.

すみません、迎えが
遅くなってしまって

保健室の先生

いえいえ!

保健室の先生

お忙しいのに
ありがとうございます

𝑅.

では、失礼します

保健室の先生

はい、お気をつけて
お大事に

ぺこり、と頭を下げてから

お兄ちゃんの後に続いて

保健室を出た

𝐶.

あっ...!

𝑅.

ん?どしたの?

𝐶.

カバン、どうしよ...

𝑅.

あ〜、さとちゃんに
頼んどいたよ

𝐶.

そっか...!

自分でもわかりやすいと思う

朝とテンションが違いすぎて

なにかあったか、と勘づかない方が おかしいほどに

𝐶.

なな兄ちゃんは...?

𝐶.

なな兄ちゃんのほうに
電話かけられたと
思ったんだけど...

𝑅.

ん、あー

𝑅.

たまたま、兄ちゃんと
同じ授業受けてる時に
連絡あったからさ

𝑅.

兄ちゃん、その後に
どうしても受けたい授業が
あったみたいで

𝑅.

俺、その授業は
単位取れてるし

𝑅.

兄ちゃんをどうにか
説得して〜って感じ

𝐶.

あ〜、ね?

𝑅.

な〜に、兄ちゃんの
方が良かったの?

𝐶.

...いや...

正直、安心した

なな兄ちゃんは過保護だから

そのまま病院に連れていかれそう

まあ、うん

𝐶.

...べつに

なな兄ちゃんの名誉のために 黙っておこう

𝑅.

なにその曖昧な反応!

𝑅.

兄ちゃん、泣いちゃうよ?

𝐶.

...知るか...w

𝑅.

...

𝑅.

...あ

𝐶.

ん?

𝑅.

アイス食べよ!

𝐶.

え?

𝑅.

あっちにおいしい
アイス屋さんあるから!

𝐶.

えっでも寄り道は...

𝑅.

いいからいいから!

𝑅.

兄ちゃんには
一緒に怒られよ!

𝐶.

え、ちょまっ─

𝑅.

行くぞー!

手をひかれて

アイス屋の方へと走る

𝐶.

...で、

𝐶.

なんで僕は
チョコミントなの?

𝑅.

ん〜

𝑅.

ころちゃんっぽかった
から?

𝐶.

それどういう基準?w

𝑅.

イメージよ、イメージ!

𝐶.

え、じゃあ
お兄ちゃん自分のは?

𝑅.

抹茶!

𝐶.

...おいしいのそれ?

𝑅.

うん、おいしい!

𝐶.

甘すぎないの?

𝑅.

俺はこのくらいが
好きかなぁ

𝐶.

へー...

𝑅.

興味ないなら聞くなw

近くにあった花壇の縁のような場所に

適当に腰掛けて

お兄ちゃんの財布で買った

アイスを食べる

結構おいしい

𝑅.

どお?おいしい?

𝐶.

うん、おいしい

𝐶.

チョコミントもいいかも...

𝑅.

抹茶も食べてみる?

𝐶.

いや、遠慮しとく

𝑅.

え〜

𝑅.

おいしいよ?

𝐶.

甘すぎるのは口に残るから

𝑅.

なにごとも冒険だよ?

𝐶.

壮大な感じにしても
食べないからね?w

𝑅.

じゃあ勝手にころちゃんの
アイス1口食べるよ?

𝐶.

それよりも先に
僕が食べきるから!

𝑅.

え〜w

𝑅.

味わって食べなよ〜

口の中が冷たくなってくる中

チョコが常温でおいしい

𝑅.

ご馳走様〜!

𝐶.

お兄ちゃんの方が
早いじゃんw

𝑅.

俺なりに
味わって食べたの!

𝐶.

お兄ちゃんが買った
アイスだからいいけどさw

𝑅.

べろ、緑色になってたり
しないかな〜

𝐶.

ゾンビじゃん

𝑅.

うわ、それ言われたら
抹茶食べる気失せるじゃん

𝐶.

食べ終わったから
セーフっしょ

𝑅.

べろが緑色になってたら
どうしてくれるんだっ!

𝐶.

これからゾンビって
呼んであげるよ

𝑅.

やめてw

𝐶.

ご馳走様!

𝐶.

おいしかった〜!

𝑅.

よし、家帰るか〜

𝐶.

あっ

𝑅.

ん?

𝐶.

お兄ちゃんなんで
カップにしたの?

𝑅.

え?

𝐶.

なな兄ちゃんに
バレるじゃんっ!

𝑅.

あ...

𝑅.

まあまあ

𝑅.

一緒に怒られようね!

𝐶.

お兄ちゃんのせいに
するからねっ!?

𝑅.

ひどぉーい!

𝐶.

ただいまー

𝑅.

ただいまー

𝑅.

あっ、まだ兄ちゃん
帰ってきてないかな

𝐶.

えっ、でも靴が─

𝑅.

ちょっとカップ
捨ててくる!

𝑁.

なんのカップだって?

𝑅.

ぎゃ!!!

𝑅.

でた!

𝑁.

人を幽霊扱いしないでw

𝑅.

あはは〜

𝑅.

いやいや〜、ちょっとね〜

𝑁.

で、なんのカップ?

𝑅.

あ〜っ、うーん

𝑅.

たまたま?
拾ってきちゃった?

んな言い訳通じるかw

𝑁.

へ〜

𝑁.

莉犬くんが好きな抹茶の
アイスのカップなのも
偶然かぁ〜?

𝑅.

うぐ...!

𝑁.

で?

𝑁.

なぜか2つあるのも?

𝑁.

偶然?

𝑅.

い、いやぁ〜

𝑁.

はい、ほんとのことは?

𝑅.

...ころちゃん誘って
アイス食べに行きました
大変申し訳ございません

𝐶.

...w

𝑁.

次、弟を寄り道させたら
俺にもアイス
奢ってもらうからね?

罰則かわいいなおいw

𝑅.

はーい

𝑁.

...で、

𝑁.

ころちゃんは
体調大丈夫そう?

𝐶.

うん、今日寝たら治りそう

𝑁.

...

𝑁.

わかった、無理しないでね

𝑁.

あと、なんでも
不安なことあったら
聞くからね?

𝐶.

...うん

𝑁.

カバン、さとみくんが
持って帰って
来てくれてたから

𝐶.

...ありがと

𝐶.

部屋で休むね

𝑁.

...

𝑁.

...うん、わかった

𝑅.

...

𝐶.

...はぁーっ...

𝐶.

不安なことが
あったら...か...

言えるわけがない

僕の自業自得な部分もあるし

きっと、酷いことを言った 天罰だったんだろう

それに、父さんのことは

小5の僕ですら鮮明に覚えている

なら尚更

なな兄ちゃん達にそれを 思い出させたくない

𝐶.

...どうしよ...

正解はどこに 転がっているのでしょうか

𝐶.

...はぁー...

𝑆.

あ、おかえり

𝑆.

どしたん、ため息ついて

𝐶.

...ん...

𝐶.

疲れた...

さっさと制服は脱いで

部屋着に着替える

𝑆.

体調、悪いのか?

𝐶.

...そういうわけでも
ないんだけど...

𝑆.

...ん〜...?

𝐶.

ちょっと寝るわ...

𝑆.

...ん、

流していた音楽を止めて

イヤホンにしてくれる

𝐶.

...ごめん

𝑆.

いいよいいよ

𝑆.

イヤホンの方が
集中できるし

𝐶.

...ん...

𝐶.

...さとみくんのベッドで
寝てもいい?

いつも拒否される提案

ダメ元で頼んでみる

𝑆.

...ん、いいよ

𝐶.

...そうだよねダメだよね...

𝐶.

...え、いいの?

𝑆.

うん

𝑆.

そっちの方が
よく眠れんだったら

白い歯をみせて笑う彼に

少し恥ずかしくなって

𝐶.

...ありがと

ベッドに素早く入って

枕で顔を隠した

父さん

この人が

父さん

お前らの新しいお母さんだ

はあ?

ふざけないでよ

僕のことも

なな兄ちゃんも、お兄ちゃんも

さとみくんにも、ジェルくんにだって

酷いことしてきたじゃん

今更父親ぶらないでよ

 

よろしくお願いします

この女の人も

母さんの代わりが務まるわけない

あんたなんか

𝐶.

...ふざけんなよ

𝑡𝑜 𝑏𝑒 𝑐𝑜𝑛𝑡𝑖𝑛𝑢𝑒𝑑...

loading

この作品はいかがでしたか?

2,139

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚