ショックなこと
そんな記憶を
持ってるんだよね
ある時もあるよ
人間には忘れることは
出来ないだろうね
寒い
ここはどこ?
なんで僕は部屋着なの?
𝐶.
みんなはどこにいるの?
手と足が動かない
𝐶.
縛られてるみたい
カツ... カツ... カツ...
静かな建物に響く足音
𝐶.
誰かが近づいてくる
𝐶.
僕の方へと黒いフードを 被った人が近寄ってくる
𝐶.
𝐶.
怖い
来ないで
そいつは僕の前で止まった
なぜか、次にされることが分かった
𝐶.
𝐶.
𝐶.
僕、なにしてたんだっけ...?
教室に響く、世界史の先生の声
となりから小声で心配してくれる クラスメイト
そうだ
今は授業中だ
肌寒くなってきたのに
セーターを忘れて
そのせいであの頃の夢を見たらしい
𝐶.
𝐶.
𝐶.
足早に教室を出る
教室を出て
階段を降りる
嫌な汗が背中を伝う
𝐶.
その汗も冷たい空気に乾いていく
𝐶.
保健室の先生
𝐶.
悪くなっちゃって...
保健室の先生
保健室の先生
𝐶.
多分熱はない
ただ単に気分が悪いだけ
保健室の先生
言われてみれば
夢のせいで少し顔が 火照っているかもしれない
保健室の先生
しばらく休んでなさい
保健室の先生
迎えに来てもらうから
𝐶.
多分2人とも大学だから
迎えには来れないだろう
でも、休めるだけでもありがたい
ベッドに寝転んで
目を瞑る
背中に背負ったランドセル
目の前の大きな男性には 見覚えがあった
𝐶.
この父さんは
怖い時の父さんだ
父さん
父さん
帰ってこねぇんだよ!
聞き覚えのある怒鳴り声
今はもう怖くないはずなのに
勝手に体は震え出す
𝐶.
𝐶.
遅くなっちゃって...!
口はペラペラと勝手に喋る
父さん
𝐶.
早く部屋に逃げたいのに
体がすくんで動かない
父さん
父さん
ついには目から涙が零れ落ちる
𝐶.
ごめんなさいっ!
𝐶.
父さん
父さん
息が上手く出来なくなってくる
と、
ぼやけた視界が
紫でいっぱいになった
𝑁.
宿題終わってない
みたいなのでニコッ
子供ながらにも分かる圧の笑みを
父さんに向ける兄
𝑁.
部屋に連れて
行ってあげて...((ボソッ
𝑆.
さとみくんに耳打ちをして
僕の頭を撫でてくれる
𝑁.
その言葉で見送られながら
新しい制服を着たさとみくんに 抱えられて
自分の部屋に戻った
𝐶.
そこで目が覚めた
目の前には
今朝バイトが休みだ、と 言っていたお兄ちゃんがいた
𝑅.
おでこに触れながら
そう声をかけてくる
𝐶.
𝑅.
𝑅.
こくこく、と頷いて
起き上がる
𝑅.
遅くなってしまって
保健室の先生
保健室の先生
ありがとうございます
𝑅.
保健室の先生
お大事に
ぺこり、と頭を下げてから
お兄ちゃんの後に続いて
保健室を出た
𝐶.
𝑅.
𝐶.
𝑅.
頼んどいたよ
𝐶.
自分でもわかりやすいと思う
朝とテンションが違いすぎて
なにかあったか、と勘づかない方が おかしいほどに
𝐶.
𝐶.
電話かけられたと
思ったんだけど...
𝑅.
𝑅.
同じ授業受けてる時に
連絡あったからさ
𝑅.
どうしても受けたい授業が
あったみたいで
𝑅.
単位取れてるし
𝑅.
説得して〜って感じ
𝐶.
𝑅.
方が良かったの?
𝐶.
正直、安心した
なな兄ちゃんは過保護だから
そのまま病院に連れていかれそう
まあ、うん
𝐶.
なな兄ちゃんの名誉のために 黙っておこう
𝑅.
𝑅.
𝐶.
𝑅.
𝑅.
𝐶.
𝑅.
𝐶.
𝑅.
アイス屋さんあるから!
𝐶.
𝑅.
𝑅.
一緒に怒られよ!
𝐶.
𝑅.
手をひかれて
アイス屋の方へと走る
𝐶.
𝐶.
チョコミントなの?
𝑅.
𝑅.
から?
𝐶.
𝑅.
𝐶.
お兄ちゃん自分のは?
𝑅.
𝐶.
𝑅.
𝐶.
𝑅.
好きかなぁ
𝐶.
𝑅.
近くにあった花壇の縁のような場所に
適当に腰掛けて
お兄ちゃんの財布で買った
アイスを食べる
結構おいしい
𝑅.
𝐶.
𝐶.
𝑅.
𝐶.
𝑅.
𝑅.
𝐶.
𝑅.
𝐶.
食べないからね?w
𝑅.
アイス1口食べるよ?
𝐶.
僕が食べきるから!
𝑅.
𝑅.
口の中が冷たくなってくる中
チョコが常温でおいしい
𝑅.
𝐶.
早いじゃんw
𝑅.
味わって食べたの!
𝐶.
アイスだからいいけどさw
𝑅.
しないかな〜
𝐶.
𝑅.
抹茶食べる気失せるじゃん
𝐶.
セーフっしょ
𝑅.
どうしてくれるんだっ!
𝐶.
呼んであげるよ
𝑅.
𝐶.
𝐶.
𝑅.
𝐶.
𝑅.
𝐶.
カップにしたの?
𝑅.
𝐶.
バレるじゃんっ!
𝑅.
𝑅.
𝑅.
𝐶.
するからねっ!?
𝑅.
𝐶.
𝑅.
𝑅.
帰ってきてないかな
𝐶.
𝑅.
捨ててくる!
𝑁.
𝑅.
𝑅.
𝑁.
𝑅.
𝑅.
𝑁.
𝑅.
𝑅.
拾ってきちゃった?
んな言い訳通じるかw
𝑁.
𝑁.
アイスのカップなのも
偶然かぁ〜?
𝑅.
𝑁.
𝑁.
𝑁.
𝑅.
𝑁.
𝑅.
アイス食べに行きました
大変申し訳ございません
𝐶.
𝑁.
俺にもアイス
奢ってもらうからね?
罰則かわいいなおいw
𝑅.
𝑁.
𝑁.
体調大丈夫そう?
𝐶.
𝑁.
𝑁.
𝑁.
不安なことあったら
聞くからね?
𝐶.
𝑁.
持って帰って
来てくれてたから
𝐶.
𝐶.
𝑁.
𝑁.
𝑅.
𝐶.
𝐶.
あったら...か...
言えるわけがない
僕の自業自得な部分もあるし
きっと、酷いことを言った 天罰だったんだろう
それに、父さんのことは
小5の僕ですら鮮明に覚えている
なら尚更
なな兄ちゃん達にそれを 思い出させたくない
𝐶.
正解はどこに 転がっているのでしょうか
𝐶.
𝑆.
𝑆.
𝐶.
𝐶.
さっさと制服は脱いで
部屋着に着替える
𝑆.
𝐶.
ないんだけど...
𝑆.
𝐶.
𝑆.
流していた音楽を止めて
イヤホンにしてくれる
𝐶.
𝑆.
𝑆.
集中できるし
𝐶.
𝐶.
寝てもいい?
いつも拒否される提案
ダメ元で頼んでみる
𝑆.
𝐶.
𝐶.
𝑆.
𝑆.
よく眠れんだったら
白い歯をみせて笑う彼に
少し恥ずかしくなって
𝐶.
ベッドに素早く入って
枕で顔を隠した
父さん
父さん
はあ?
ふざけないでよ
僕のことも
なな兄ちゃんも、お兄ちゃんも
さとみくんにも、ジェルくんにだって
酷いことしてきたじゃん
今更父親ぶらないでよ
この女の人も
母さんの代わりが務まるわけない
あんたなんか
𝐶.
𝑡𝑜 𝑏𝑒 𝑐𝑜𝑛𝑡𝑖𝑛𝑢𝑒𝑑...