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ボスキと主様

第93話 - 第93話残された想い、託された願い第1章

2025年04月22日

#悪魔執事と黒い猫

#ボスキ・アリーナス

aimer(エメ)

そして、皆は広間に集まっていた。

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

これがその暗号です。

ハウレス

太陽いずる地より

フェネス

白き花舞て

ユーハン

炎の剣(つるぎ)が指し示すは

アモン

かの地の涙

ボスキ

凍てつく水の下

テディ

閉ざされたる門をくぐりて

ハナマル

かの想い眠らん。

ムー

な、なんだか怖い文章です…。

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

本当にそう思います。

主

そういえば、ムーのこと驚かない人、始めてみたかも。

ボスキ

そういえばそうだな…。

アモン

そうっすね。

フェネス

そうですね。

ハウレス

そうですね。

テディ

本当ですね。

ハナマル

確かになぁ。

ユーハン

左様ですね。
主様。

ムー

僕が怖くはないのですか？

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

とんでもないです!
私は、昔からその…霊的なものが見えたものですから…。あまり、普通の方とは感覚が違うのかもしれません。
すみません。

主

あ、いえ、責めてなんていません。珍しいなと思っただけですから。

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

そ、そうですか…///

恥ずかしそうに俯く依頼主にうなずく主。

主

はい。

ボスキ

で？これ以外は何も手がかりはないのか？

ハウレス

おい。ボスキ!失礼だろ!
大変失礼いたしました。この者は、口は決してよろしくはありませんが、決して依頼主様を愚弄しているわけではありません。どうぞこの者の非礼をお許しください!

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

あ、いえ、全然、気にしていませんよ。こちらからお願いしていますし。何より、仰々しいのは私は、あまり得意ではありませんから…。

テディ

そうなのですか？

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

はい…。

ユーハン

失礼かとは思いますが、もしや、お育ちはこちらではないのではありませんか？

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

あ、はい。
実はそうなんです…。
私は最近まで何も知らずに東の大地で育った平民でして...。祖父が亡くなる1年前に女で1つで、育ててくれた母が他界したのをきっかけに祖父のことを知りまして…。そして、1年前からこちらへ住ませていただいてる中で…祖父も亡くなってしまって…私、1人になってしまいました。

主

……。お悔やみ申し上げます。

主の言葉にみながそれぞれお悔やみの言葉を口にし、それに対し、涙をこらえながら依頼主は言う。

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

みなさん…ありがとうございます。
きっと祖父もあの世で喜ばれていると思います。

主

……そうあって欲しいと私も思います。

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

はい。きっと…。
そして、どうか、この
暗号を解いてください。報酬はその一分からお渡し致しますから。
私は…知りたいのです。あの偉大な祖父が最後に何を残したのか…。

ハウレス

わかりました。
俺たちにお任せ下さい。

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

はい。よろしくお願い致します。

そういうと、その場を立ち去る依頼主。そして、後に残された主とみんなは暗号の謎を考えた。

ハウレス

この太陽いずる地とは、東の大地のことだろうか。

ハナマル

そのまま、東を指すとも考えられるがな。

フェネス

白き花舞てはなんだろう？雪のことかな…？

アモン

北の大地特有の花とも考えられるっすよ？スノードロップやセツブンソウは白い花っす。

フェネス

あ、そっか。
それも考えられるね。

ユーハン

炎の剣が指し示すとは一体なんの事でしょうか？

そこでみんなが悩む中、主は口を開く。

主

太陽いずる地より
白き花舞て
炎の剣が指し示すは
かの地の涙
凍てつく水の下、
閉ざされたる門をくぐりてかの想い眠らん

ムー

主様？

主

太陽いずる…。
ねぇ、北の大地の日の出の時間って何時だろう？

フェネス

確か、6時頃だと思いましたが...。

主

その時間に手分けして、建物の雪が入り込むところを見つけて。

ボスキ

何かわかったのか？

主

もしかしたら…
だけどね。

ムー

すごいです!主様!

ユーハン

さすがは、主様ですね。やはり、聡明なお方です。

ハナマル

マジかよ。もう、解いちゃった感じ？

テディ

すごいですね…。俺は全然分かりませんでしたよ。

ハウレス

では、明日の朝6時頃、みなで御屋敷の外周を調べて参ります。主様は、そのお時間はお寒いでしょうから、こちらのエントランス内でお待ちください。

主

うん。わかった。

そして、ハウレスのみ依頼者に話をしに行き、みなは一旦、今日泊まる部屋へと戻った。

主の泊まる部屋

ムー

主様。暗号のこと全部
わかられたのですか？

主

全部ではないかな。まずは太陽いずる地より白き花舞ての解釈が合っていないことには先に進めないって感じ。

ムー

そうなのですね。でも、主様なら明日には全部解いてしまっていそうですね。

と目を輝かせるムーに主は微笑み、ムーの頭を撫でながら言う。

主

どうだろう…。みんなが協力してくれなきゃ、私は多分、ポンコツだからね。

ムー

そんなことはありません!
主様はすごいです!

主

ありがとう。そう言ってくれるのはムーだけだよ～!

ムー

そんなことはないとは思いますが…。

そして、主とムーはしばらくベッドでゴロゴロして話をしているうちにそのまま寝てしまう。

2階の執事達が泊まる部屋

アモン

それにしてもすごいっすね…全部完備って…ここで、料理までできてしまうっすよ？

フェネス

そうだね。屋敷の中もかなり広くて場所によっては複雑な構造をしているし。

ボスキ

確かに、1人で住むにはデカイ場所だよな…。

ハウレス

あぁ。そうだな。

アモン

そういえば、明日、〇〇さんの言う通りに調べたら、お宝が出てきて、それで解決しちゃうんすかね？そうしたら、だいぶ時間も空くっすし、デートできるんじゃないっすか？

フェネス

まぁ、そうかもしれないね…////
〇〇さん、本当に暗号に挑まれるのを楽しみにしていたしね////

ハウレス

そ、そうだな///
案外早く終わるかもしれないな…///

ボスキ

ちっ…。終わってもねぇうちからはしゃぐんじゃねぇよ。

アモン

珍しいっすね。ハウレスさんじゃなく、ボスキさんがそんなこと言うなんて…。

フェネス

確かにね…。

ボスキ

ハウレスが浮かれてるからだ。

ハウレス

な？！///
浮かれてなどいない!///

そういうハウレスの右手には北の大地の観光案内パンフレットが握られていた。

アモン

ははっ…。
そう…みたいっすね。

と苦笑いするアモン。

フェネス

う、うん。でも、俺も同じだからわかるよ///

精一杯、ハウレスの味方をするフェネス。

ボスキ

フッ...｡まぁ、わからなくはねぇが、その前に今日すら終わってねぇだろうが。

ハウレス

あっ。

フェネス

(素で忘れてたんだね…。)

アモン

(ハウレスさんは、おっちょこちょいっすね。)

そうして、ボスキに指摘されたことをハウレスはハッとし、パンフレットをテーブルに置くと、姿勢を正し、身を引き締めるように両の頬を、両手で叩いた。

別邸の執事達が泊まる部屋

ハナマル

まさか、和室まであるとはな～。

ユーハン

はい。
私も驚いております。

テディ

もしかして、それぞれの大地の人に合わせたお部屋があるのでしょうか？

ハナマル

まぁ、これだけ広ければありえるだろうなぁ。

ユーハン

そうですね。
私もそう思います。

テディ

そういえば、さっきの主様、凄かったですよね!

ユーハン

はい。私たちが考えている間のものの数分で、書かれていることを解読されてしまうとは…。

ハナマル

マジで、あぁいうの解くのが好きなんだろうな。

テディ

そうみたいですね。

そこで、3人は考える。

ハナマル

早めに終わったら、主様とデート出来るかもな。

テディ

もし、そうなったら
ラッキー！

ユーハン

まだ、お気を緩まれてはなりませんよ。明日にならなければ、明日で解決できるかどうかもわからないのですから…。

ハナマル

まぁ、確かにな…。

テディ

でも、あの主様なら本当に解いてしまうかもしれませんよ？

そのテディの言葉で、再びハナマルとユーハンは主とのデートを思い浮かべる。

ハナマル

(〇〇の好きそうなところ探しとくか…。)

ユーハン

(〇〇さんに喜んでいただける場所を探さねばなりませんね。)

ハナマル

じゃぁ、明日で主様がもし解いちまったら、2階の執事たちと話して、どうするか考えようぜ。
テディ、ユーハン。

ユーハン

そう致しましょうか。私たちだけでお話を進めてしまっては、2階の執事の方に反感を買ってしまいますからね。

テディ

はい。そうしましょう。ハナマルさん、ユーハンさん。

そして、3人は主とのデートのことを考えながら、それぞれがそれぞれに過ごすのであった。

それから、夕方になり、主の部屋がノックされる。

コンコン

主

(ん...？誰か来たのかな…？でも…眠い…。)

主

すぅ～すぅ～。

ムー

ふぁ～…。主様。主様。起きてください。誰かお越しのようですよ。

主

ん～…。

と寝返りをうつ主。

コンコン

ハウレス

主様。いらっしゃいますか？ハウレスです。お部屋へ失礼してもよろしいですか？

主

ん～…すぅ～すぅ～。

ムー

主様。主様。ハウレスさんが来ていますよ！
起きて下さい!

ハウレス

すみません。主様。
失礼しますよ。

そして、ハウレスが部屋へと入ってくる。そして、ムーは、ハウレスの元へ行くと言う。

ムー

すみません。主様を起こしたのですが、全然、起きていただけなくて…。

ハウレス

無理もない。長旅の後に、暗号の解読で頭を使われたのだから。疲れておられるのだろう…。もう少し寝かせてやろう。ムー。

ムー

わかりました。ハウレスさん。
ところで、ハウレスさんは主様のところへ御用があったのではないですか？主様が起きられたらお伝えしますよ？

ハウレス

大したことではない。
夕食の準備が整ったのでお呼びに来ただけだ。
しかし、夕食が冷めてしまうな...。
あとで作り直すか…。

ムー

では、主様が起きられる頃にハウレスさんにお伝えに上がった方がよろしいでしょうか？

ハウレス

そうだな。そうしてくれ。ムー。

ムー

わかりました。
ハウレスさん。

ハウレス

ムーもお腹が空いただろう。俺たちと先に食べるか？

ムー

いいんですか？はい。
食べます。

ハウレス

では、行くか。主様も1人で静かにお休みになられる方が良いだろうしな。

ムー

はい。
では、行きましょう。

そして、部屋を後にする2人。そして、主は目を瞑りながら、頭だけが起きた状態で考える。

主

(太陽いずる地より白き花舞て炎の剣が指し示すはかの地の涙凍てつく水の下、閉ざされたる門をくぐりてかの想い眠らん。本当にお宝なのかな…？私にはどうも違うように感じる…。何故だろう…。かの想い眠らん…。かの想いって？本当に何を残したの？それは、暗号にしなければならない程の物なの…？)

主

わからない…。あなたは彼に何を残したの？

そして、考えているうちに主は再び深い眠りに落ちていく。

主

すぅ～すぅ～。

広い食卓

ボスキ

主様。余程、疲れてたんだろうな。

ムー

そうみたいですね。ボクも一緒に寝てしまって、ハウレスさんがお部屋に来られるまで起きれませんでした。

フェネス

ムーは猫なんだから、
それが普通だよ。

アモン

フェネスさんの言う通りっすよ。

ハナマル

それにしても、あの暗号、そんなに大層なお宝が眠ってるのかね？

ユーハン

亡くなった方は生前、1代で富と名声を築きあげられた大変な大富豪であらせられると聞き及んでおります。故に、かなり価値のあるものが眠っていてもおかしくはないと私は思います。

テディ

俺もそう思います。
これ程の御屋敷に住まわれていた方ですから。

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

はい。
私もそう思いますよ。

ハウレス

これは、依頼主様!
このようなお姿で大変申し訳ありません!

と皆は食事の手を止め立ち上がると、依頼主に対し、頭を下げる。

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

あ、ごめんなさい!驚かせるつもりはなかったんですが…。それに、気にせずに食事を続けてください!私も食事を取りに来ただけですから。

と慌てて話す依頼主に感謝を伝えると席に座り直し、食事を続けるみんなに依頼主もホッとする。

ボスキ

依頼主様。
少し聞いてもいいか？

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

はい。何でしょうか？

ボスキ

依頼主様の母君が亡くなられてから、祖父の存在を知ったと今朝聞いたが、それまで一度もその話が出たり、会ったこともなかったのか？

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

はい。私は亡くなった母が残してくれた手紙とその中に同封されていたこの家の紋章が刻まれたこの指輪で祖父を知ることになりました。

そういい、依頼主は右の親指にはめこまれた銀色の指輪を執事たちに見せる。

フェネス

これは、グリフォンですね。

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

はい。

ハナマル

グリフォン？なんだ？
それは。

フェネス

鷲の顔と翼を持ち、体はライオンの姿をした伝説上の生物で、王権や知恵、忠誠心、勇敢さの象徴とされ、よく王族が身につけた紋章だとされているよ。

ユーハン

その他、グリフォンには自由の意も込められていると私も聞いたことがあります。

アモン

そんな大層なものが同封されていたら、俺は喜んで受け取るっすね。

ハウレス

アモン!依頼主様の前で
そんな…。

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

気にする必要はありませんよ。私も実際そうでしたから、ここにいますしね。ははっ。

そう笑う依頼主は、久しぶりに人と話をしたかのように嬉しそうであった。

テディ

依頼主様は、それで1年前からこちらに住まわれて、その亡くなられた方から何かお話をお聞きしたりはしていなかったのですか？

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

…そうですね。聞いたのは、亡くなった母がこの家で生まれてどこの骨ともわからない男と駆け落ちをして出ていったっきり、音信不通だったということくらいしか…。

ボスキ

そうか…。

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

あ、でも、祖父はそんな経緯で生まれた私にもとても優しくしてくれましたよ！そして、母の若い頃の話もたくさん聞かせてもらいましたし、なにより…。

アモン

なにより…なんすか？

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

家族の温かさを教えてくれました。私は、母と子の2人で育ち、父のことは知りません。父は私が生まれてすぐ、戦で亡くなったそうなので…。

テディ

そうなのですね。

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

はい。ですから、私には祖父は祖父でありながら、父のような存在でした。その祖父が亡くなった今、私はこの家を継ぎ、祖父が残したものを守っていきたいと思っています。私が生きている限り。

ハナマル

そうか。なら、絶対、
見つけてやるよ。

フェネス

そうだね。きっと見つけますから、しばしお待ちくださいね。依頼主様。

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

ありがとう。あなた方にお願いして正解でした。エルヴィラ様からあなた方のお話を聞いたときは、正直、眉唾でしたが。

ハウレス

エルヴィラ様に俺たちのことをお聞きになったのですか？

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

はい。私が暗号を解こうと頭を悩ませ歩いている時に声をかけられまして。
占ってくれたのです。
『黒き悪魔とその主来たりて深い業の扉が開かれる』と。

ボスキ

ちっ…。また、仰々しいこと言ってたのか。
あの魔女は。

ハウレス

ボスキ!

ボスキ

わかってる。エルヴィラ様だろ。だが、占いなんて俺は信じねぇ。そんなものに俺の人生決められてたまるかよ。

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

ははっ。
確かにそうかもしれないですね。でも、私は、藁にもすがるような思いで、その話を信じてあなた方に依頼をしました。

ユーハン

明日、私たちは明朝、主様と共に暗号解読に向かいますが、依頼主様はご同行いたしますか？それとも見つかり次第でお伝えにあがりましょうか？

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

私がいて邪魔にならないのなら、一緒に行ってもいいですか？

ハウレス

はい。もちろんです。

ボスキ

あぁ。その方がネコババされるかもしれないなんて心配はなくなるだろ？

ハウレス

ボスキ!

アモン

いや、ボスキさんのいうことも一理あるっすよ？ハウレスさん。

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

私は、そんな心配はしていませんよ。あのエルヴィラ様が紹介してくれた方々なのですから。

フェネス

ありがとうございます。俺たちを信じてくれて。

依頼主の男性(亡くなった大富豪の孫)

いえいえ。では、私はこれで失礼します。ゆっくりお食事をされてください。

そして、立ち去る依頼主を見送り、執事達も食事を再開した。

主

ふぁ～!

ムー

主様。目を覚まされましたか？

主

あ、うん。ごめん。
いっぱい寝ちゃった。

ムー

いえ。では、ボクはハウレスさんに主様が起きられたことを伝えに行かなければならないので、こちらでしばらくお待ちください。

主

うん。わかった。

タッタッタッ

その主の返事にムーは、急ぎ部屋を出てハウレスの元へと向かった。残された主は立ち上がると歯磨きをし顔を洗うと窓の外を見た。

主

星が綺麗…。
寒い地域だから空気が澄んでるのかな。いつもよりも透き通って見える…。

窓の外の星空に主は穏やかな気持ちになる。

コンコン

主

はい。

ハウレス

主様。お部屋へ失礼させていただいてもよろしいでしょうか？

主

うん。入っていいよ。
ハウレス。

ハウレス

失礼いたします。主様。

そして、部屋に入ってきたハウレスは、主へ告げる。

ハウレス

ゆっくりお休みになられましたか？主様。

主

うん。いっぱい寝ちゃった。お部屋に来てくれてたのは、知ってたけど、あの時は起き上がれなくてごめんね。

ハウレス

主様。あの時、目を覚まされていたのですか？////

急に恥ずかしくなるハウレスに主は告げる。

主

うん。でも、またすぐ寝ちゃったから。

ハウレス

そ、そうですか…。

ハウレス

(それなら、ムーとのあの会話は聞かれていないのか？良かった…。)

主

ところで、ハウレスは私に何か用事だったの？

ハウレス

はい。お食事をお取りになりませんか？

主

うん。そうだね。
お腹すいてきちゃった。そういえば、ムーは？

ハウレス

主様のお食事のご準備のお手伝いに行ってもらっています。

主

そう。ねぇ、ハウレス。

ハウレス

はい。いかがされましたか？主様。

主

ハウレスは、暗号のことどう思う？

ハウレス

俺ですか？
そうですね…。俺は、お宝があるかどうかは別としても、暗号にされるだけの意味がそこにはあると思っております。何か人目に触れてはならないようなものですとか…。

主

私もハウレスと同じ意見だよ。
だからね、もし、見つかったとしても、果たしてそれは喜ばしいものなのかどうかって…。もしかしたら、見つけずにこのまま深い謎のまま眠らせるべきなんじゃないかって…。

ハウレス

主様…。
しかし、俺はそれでも見つけるべきだと思います。そこには、必ず、伝えたい何かが眠っていて、だからこそ、暗号という形で残されたのだと思いますから。

主

……そうよね。ごめん。なんか、この広い御屋敷にいると寂しいのと切なさを感じてしまって…弱気になっちゃった。ちゃんと見つけてあげなきゃね。亡くなった方も浮かばれないよね…。

ハウレス

はい。主様。

そして、そんな話を主とハウレスはした後、食卓へと向かった。

次回へ続く

ボスキと主様

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