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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

ジャブジャブ……

男の人が目の前で川に流されている。

ダザイ

…………

キタハラ

…だざむそれたのしい…?

俺は北原白秋。 武装探偵社の社員である。

そして目の前で川に入っているのは、 俺の同僚、太宰治。 渾名はだざむ。

ダザイ

………

キタハラ

……。

彼がどうして川に入っているか? そんなの知らないよ。

「良い川がある」と言って急に飛び込んで、 そのまま川に流されて行った。

俺は流されるだざむが面白くて 一緒にこんなところまで着いてきたのだけれど、

……こんなに流されるなんて思ってなかった。

キタハラ

ねぇ、だざむ~、
そろそろ帰らん…?

キタハラ

俺寒い。

ダザイ

……

もちろん彼は答えない。

そうやって川に入っているだざむを眺めていると 1人の少年が近づいてきた。

???

…あの~……??

キタハラ

ん~?な~に…?

???

え、あ……

???

その……あの人溺れてますけど…

キタハラ

……だね~。

???

えっ

???

……助けないんですか…?

キタハラ

あ~……

キタハラ

助けたかったらどうぞ、

???

え、ええっ……?

そうやって少年は少し戸惑いながらも、 川に飛び込み、だざむを救出しに行った。

ジャバッ……ッ!!

???

ハァ…ハァッ……

キタハラ

お~…

だざむを助けに行った少年が戻ってきた。

ダザイ

……

???

川に流されてましたけど……

???

大丈夫ですか……?

ダザイ

……助かったか…ちえっ…

???

ちぇっ……?

キタハラ

助かっちゃったね~ 笑

???

え、えっ……?

少年はすごく戸惑っている。 まあそれはそうだろう…… だって助けた相手が、 自ら川に飛び込んでいたのだから。

ダザイ

全く……私の入水を邪魔するとは…

???

僕は助けようとしただけで……えっ、

???

入水……?

ダザイ

知らんかね、入水。
自殺だよ。

???

じ、自殺……!!?

ダザイ

そう。
私は自殺しようとしていたのだ。

ダザイ

それなのに君が余計な事を……

???

え……は……???

何言ってんだコイツって顔してて面白い。

ダザイ

シロ。君もだ。

キタハラ

え、おれ??

え、なんか俺も怒られたんだが。

ダザイ

私が自殺しようとしていることを知っているのに、

ダザイ

彼を止めなかった。
これは君にも非があると思わないかい??

キタハラ

えーー……

何言ってんだコイツ。

キタハラ

俺はお好きにって云っただけだし……

???

え……ちょっと待ってください…

???

えっ……僕は助ける必要のない人を助けたってことですか……??

キタハラ

そうなるね~、

キタハラ

ま、こんな所で自殺しようとするだざむが100悪いから、

キタハラ

君を責めたりしないよ 笑

???

は……はあ……

???

…所でさっきからだざむとかシロとか…どういう……?

キタハラ

あ、こっちがだざむで
俺が北原白秋!

キタハラ

みんなから白秋の白を取ってシロって呼ばれてるんだ、

???

な、成程…

???

だざむさんに…白秋さん…?

ダザイ

……太宰だ、太宰治。

ダザイ

だざむは彼がつけた渾名だよ。

???

えっ…あっ、すみません…!

ダザイ

いや、いい。

ダザイ

彼がちゃんと説明しなかったのが悪いからね。

キタハラ

だざむはだざむだから、だざむだよ。

???

は、はあ……

キタハラ

…あ、ところで君の名は?

???

えっ、僕ですか?

キタハラ

君以外に誰が居るのさ 笑

???

そ、そうですよね…!!

???

えっと、僕は

ナカジマ

中島敦…です、

キタハラ

敦くんか…

なかじまあつし…なかあつ… 違うな……あつぴ…あつぴ!!

キタハラ

あつぴ!

ナカジマ

えっ……??

キタハラ

君は今日からあつぴ!

キタハラ

よろしくな~ 笑

ナカジマ

えっ…と……

ダザイ

あつぴ…ぷッ…笑

ナカジマ

ええっ……??

ナカジマ

…はあ……なんだか変な人たちに出会ってしまった…

そう小さく、残念そうに呟いた。

ダザイ

……君、なかなか酷いこと云うじゃないか、

キタハラ

俺はマトモだよ、

ナカジマ

あっ…

聞かれたかと少しだけ彼は焦る。

面白い。

ダザイ

はあ…?
私がマトモじゃないと??

キタハラ

マトモじゃないでしょ

ダザイ

何処が。

キタハラ

普通公共の場で自殺なんかしない。

キタハラ

それに、自殺を止められたからって相手にキレないだろう。

ダザイ

………

ダザイ

それはそうだね。

ダザイ

でも、そんな自殺をしようとしてる人を止めない君もどうかと思うけど。

キタハラ

……だざむがマトモじゃないで終わりじゃないの?この話。

ダザイ

いいや、君も道ずれさ。

ぐぅぅぅぅ……

キタハラ

…?

ダザイ

ん?

自殺愛好家の馬鹿と言い合っていたら、 ぐぅぅと音が鳴った。

ナカジマ

あ……

ダザイ

……空腹なのかい?

ナカジマ

…はは………実はここ数日何も食べてなくて…

キタハラ

……一応、救出してもらったんだし、何かお詫びをした方がいいんじゃない?

ダザイ

…まあ、私も空腹だし……

ナカジマ

…それじゃあ……

ダザイ

ちなみに、私の財布は流されたようだよ。

ナカジマ

え、

ナカジマ

じゃあ、北原さんは……

キタハラ

俺?

俺のカバンの中には、 スマホと金平糖だけ。 財布なんか持ち歩くわけない。

キタハラ

俺財布持ち歩かないからさ~、

キタハラ

代わりに金平糖あるよ、

ナカジマ

…な、何故……?

キタハラ

財布無くても大丈夫だったし、

キタハラ

だざむが財布流される前は、

ダザイ

ほんと、人の事財布として扱わないで欲しいよ。

ナカジマ

…な、成程……

ナカジマ

…うう……餓死しそう…

キタハラ

金平糖食べる?

ナカジマ

………もらいま──

彼がそう言いかけた時、 聞き慣れた怒号が聞こえた。

???

こんな処におったか唐変木!!!!

ダザイ

……おー、国木田君、ご苦労様ぁ

クニキダ

何がご苦労様だ!!

クニキダ

苦労は凡て、お前の所為だ、この自殺嗜癖!

だざむに向かって怒っているのは、 国木田独歩。 渾名はどっぽぽ  かわいいでしょ笑  あ、彼もだざむや俺と同じく、 武装探偵社の一員である。

ダザイ

……そうだ!

どっぽぽの説教を遮って、 何かを閃いたように云う。

ダザイ

彼は私の同僚なのだ!
彼に奢ってもらえばいい!

クニキダ

人の話を聞けよ!!!

ダザイ

ついて来たまえ、敦君。

ダザイ

何が食べたい?

ナカジマ

…えっ……

ナカジマ

あの……出来れば……

ダザイ

なに、遠慮はいらないよ、

ナカジマ

……茶漬けが…食べたいです

ダザイ

ダザイ

ふははははは笑
餓死寸前の少年が茶漬けを所望か… 笑

ダザイ

いいよ。国木田君に三十杯ぐらい奢らせよう。

キタハラ

俺も!俺も食べたーい!

クニキダ

俺の金で太っ腹になるな太宰!!

クニキダ

北原も頼むな!
自分の金で頼め!

キタハラ

お金ないでーす。

クニキダ

財布はどうした財布は!

キタハラ

だざむが財布流されたのでないでーす。

クニキダ

…人を財布として使うんじゃない!!!

キタハラ

えーー……

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