ガララ…
教室の扉がゆっくりと開かれる
夕暮れが差す教室には 少し寂しげな雰囲気があった
そこには1人の生徒、そして 1人の教師がいた
教卓の前の席に崩した状態で 教師は座っており
今、生徒が扉を開いた ところであった
平田
生徒がそう教師に声を掛けた
教師
教師もいつもの調子で返した
生徒が教師をこの教室に 呼び出したのだ
窓の外から蝉の鳴く頃声だけ が聞こえてくる
ガララ…
生徒が扉を閉める音が 教室内に響き渡る
閉じ終えるとまた、空間には 蝉の鳴き声のみが残された
ズザザ…
生徒が椅子を引く音が また、教室の空気を揺らした
生徒が教師の隣の椅子に 座るとまた、
静寂が辺り一帯を包み込んだ
平田
教師
教師
平田
生徒が俯きながらそう言った
平田
彼の悩みは、
ありもしないデタラメを
まことしやかに突発的に周りに 吹き込んでしまうこと
いわゆる 嘘吐き というやつだった
自分に利益がなくても
その場を盛り上げるためであったり
人を励ます為に、 虚実を吐いてしまうのだ
教師
教師は額に手を当てて
反対に持つペンを回して見せた そして
教師
と、顔を上げ生徒の方を見て 言った
平田
想像もしなかった答えに生徒は 面食らった
思わず顔をあげ、そう問うた
教師
教師はペンを回しつつそういった
教師
教師は自慢げに少し笑ってみせると
ペンを机に置き、肘を付いて、 組んだ手に顎をのせたうえ 続けた
教師
教師
教師
教師
知ったおかげで、
教師
謎が紐解かれ納得したように 生徒は頷いた
教師
教師
教師
教師
教師
教師
教師
生徒は教師の話をじっと 聞いていたが
聞き終えると、教師の放った 言霊の余韻に浸るように頷き
平田
と、生徒は教師の言葉を心に 刻んだ
そして晴れやかな顔を浮かべ、
平田
平田
と、心からの感謝の言葉を述べた。
ガララ…
教室の扉が閉められる
さっきより紅く感じられる 教室にはまた、
ただ、蝉の声が抜けていく だけとなり、
教師がただ1人、ペンを 回し続けていた
教師が立ち上がって椅子を直すと、
窓際に立ち、ポケットに手を 突っ込んだ
そして、タバコ ライターを 取り出すと
口にくわえ、着火した
長いため息のように煙を吐き出す
教師はふと、空を見上げた
職員室の自分の机に積まれた 答え合わせのされてない 答案用紙を想像すると
教師はもう肩が凝ったような 気になっていた
そして、もう一度煙を吐き出すと
教師はため息混じりにこう言った
教師