おまけです☆
「完璧じゃなきゃいけない」
何十回も聞いた言葉だった。
初めて莉犬に出会ったのは、中学一年生の時。入学式が終わって何日か経った頃だった。
周りの皆はすぐ他の友達と仲良くなって、その内グループが出来上がってた。
陽キャが集まったグループに1人だけ陰キャの僕が入った。
ノリが分からない。
話についていけない。
何が面白いのかサッパリだった。
その中、1人だけグループに入っていなくて、1人で勉強や読書をしている子がいた。
赤色の髪で、綺麗な顔立ちの子。
メガネを掛けていて、地味でぼっち。
でも何故か惹き付けられるような。
一目惚れなのかも知れない。
男同士なんて引かれるに決まってるけど、諦める事は出来なかった。
そして、僕は初めて声を掛けた。
るぅと
あの…名前なんて言うんですか?
莉犬
…え?
戸惑ったような顔。
嫌そうな顔をしていた。
莉犬
赤崎…莉犬です…
るぅと
莉犬…莉犬って言うんですね!!
明るく喋っても、何一つ笑わないし笑顔は見せてくれなかった。
逆に、急に呼び捨てで呼ばれて「鬱陶しい」と思ってるような顔。
それでも、莉犬はちゃんと話してくれた。
莉犬
…君は名前なんて言うの?
るぅと
黄花 るぅとです!ニコッ
それから莉犬と少しでも仲良くなる為に積極的に話し掛けたりした。
莉犬は少しづつ心を開いてくれた。
でも、莉犬から聞こえてくる、泣きそうな声。
震えたような声。
親からの熱い期待に押し潰されるような…。
莉犬
るぅとくん…俺はダメだ…。
るぅと
え…?どうしましたk…
莉犬
完璧じゃなきゃダメなのに…!また満点を逃しちゃった…成績を下げてしまった…。
るぅと
莉犬…
何日か莉犬は学校を休む日があった。
莉犬は、徹夜で勉強して復習して予習して、何回も何回も手が疲れても書き続けていた。
お見舞いに行っても目は窶れて手は鉛筆の芯で真っ黒。
きっとダメなんだ。
何を言っても救えないんだ。
何が正しいのか分からない…