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佐藤沙絵

あ、あの

佐藤沙絵

門崎(かんざき)先輩

門崎美緒

なに?

佐藤沙絵

駅まで、一緒に帰っていいですか?

門崎美緒

いいけど

門崎美緒

どうしたの?

佐藤沙絵

それが……長妻さんが…

門崎美緒

ナガツマさん?

佐藤沙絵

今日も来てたお客さんで

佐藤沙絵

私によく絡んでくる…

門崎美緒

ああ、あの眼鏡の

佐藤沙絵

はい

門崎美緒

そのナガツマさんがどうしたの?

佐藤沙絵

…今日

佐藤沙絵

駅からお店まで

佐藤沙絵

ずっとついて来てて

門崎美緒

……お店に来るためじゃなくて?

佐藤沙絵

はい

佐藤沙絵

私が出勤したのは12時じゃないですか

佐藤沙絵

長妻さんがお店に来たのは

佐藤沙絵

18時頃で…

佐藤沙絵

しかも

佐藤沙絵

昨日もお店を出たところにも居て

佐藤沙絵

駅までついて来たんです

門崎美緒

えっ

佐藤沙絵

今日とか昨日だけの話しじゃないんです

佐藤沙絵

ここ二週間ぐらい

佐藤沙絵

ずっとついて来てて

佐藤沙絵

最近だと

佐藤沙絵

家の近くでも姿を見ることがあって

門崎美緒

えっ!?

門崎美緒

それ、ほんと!?

佐藤沙絵

はい

門崎美緒

それ以外に何かされた?

佐藤沙絵

今日…

佐藤沙絵

仕事中に手紙を渡されたんです

門崎美緒

手紙?

佐藤沙絵

これです

佐藤が手渡してきたのは、

可愛らしいピンク色の封筒。

中には便箋が一枚入っており、

お世辞にも綺麗とは言えない文字で、

”君が狙われている”

と書かれていた。

門崎美緒

どういうこと?

佐藤沙絵

わかりません

佐藤沙絵

昨日店を出たときにも

佐藤沙絵

”君は悪い奴に狙われてるから”

佐藤沙絵

”僕と一緒に帰ろう”って

門崎美緒

え…

佐藤沙絵

腕を掴まれそうになって

佐藤沙絵

それで怖くなって

佐藤沙絵

長妻さんを振り切って逃げたんです

門崎美緒

それは…

門崎美緒

警察に相談した?

佐藤沙絵

相談しましたけど

佐藤沙絵

警察は事件性が無いと動けないって…

門崎美緒

そんな…

門崎美緒

腕を掴まれそうになったんでしょ?

門崎美緒

これも

門崎美緒

見ようによっては脅迫状っぽいし

佐藤沙絵

……

門崎美緒

…わかった

門崎美緒

とりあえず、帰ろう

門崎美緒

ずっとお店にいるわけにもいかないし

佐藤沙絵

はい

佐藤沙絵

先輩…

佐藤沙絵

あそこ…

門崎美緒

…!

門崎美緒

(電柱の陰に隠れてるつもりなんだろうけど)

門崎美緒

(ほとんど見えてる…)

門崎美緒

そっち見ないように

門崎美緒

反対方向から帰ろう

佐藤沙絵

は、はい

門崎美緒

それにしても

門崎美緒

”悪い奴に狙われてる”って

門崎美緒

どういうことなのかな

佐藤沙絵

わかりません

佐藤沙絵

最近は家と学校と

佐藤沙絵

バイトの行き来ばかりですし

佐藤沙絵

遊んでるのも

佐藤沙絵

大学のサークルメンバーで

佐藤沙絵

そんな悪い人がいるなんて思えません

門崎美緒

単なる思い込みなのか…

門崎美緒

そう言って沙絵ちゃんの気を引こうとしているのか…

佐藤沙絵

門崎先輩

佐藤沙絵

私、どうしたらいいんでしょう…

門崎美緒

もう一回警察に相談してみて

門崎美緒

その手紙も持って行って

佐藤沙絵

はい…

門崎美緒

家の近くにいるなら

門崎美緒

パトロールを強化して貰って

佐藤沙絵

はい…

長妻は駅まで二人に付いて来た。

ある程度距離は取っていたようだが、

二人ともちゃんと長妻の存在には気づいていた。

門崎の家と佐藤の家は反対方向にあるので、

一緒に行けるのは駅までだった。

不安そうな様子の後輩を、

門崎はただ見送ることしかできなかった。

サエ

先輩!

サエ

先輩!大変です!!

ミオ

ど、どうしたの!?

サエ

ベランダに

サエ

ベランダに!

サエ

足跡が!

ミオ

え!?

サエ

たぶん

サエ

男の人のスニーカーだと思います

サエ

どうしましょう!

サエ

先輩!

サエ

私、怖いです

ミオ

お、落ち着いて

サエ

先輩…

ミオ

そのままその部屋で泊まるのは

ミオ

危険だと思う

ミオ

誰か友達の家に泊めて貰えないか聞いてみて?

サエ

は、はい

ミオ

もし、誰も泊めてくれないようだったら

ミオ

私のところに

ミオ

でも、今からだと終電があるかな…

サエ

……大丈夫です

サエ

一駅先に友達がいるんで

サエ

今日だけでも泊めて貰えないか聞いてみます

ミオ

うん

ミオ

気を付けてね

門崎美緒

(ベランダに靴跡……)

門崎美緒

(確か、沙絵ちゃんの部屋は)

門崎美緒

(二階だったはず)

門崎美緒

(一階はマンションの駐車場だって言ってた)

門崎美緒

(壁でもよじ登って入ったのかな?)

門崎美緒

うーん…

門崎美緒

このまま放っておくのも…

門崎美緒

どうしよう…

悩む門崎の目に、

一枚の名刺が映った。

門崎美緒

あ……

─二日後─

紫雲かぎり

なるほど

紫雲かぎり

お話はわかりました

紫雲かぎり

しかし

紫雲かぎり

ストーカーのことなら

紫雲かぎり

便利屋ではなく

紫雲かぎり

弁護士か探偵の方が良いのでは?

佐藤沙絵

そうかもしれないんですけど

佐藤沙絵

その…

門崎美緒

彼女は学生さんで

門崎美緒

そんな弁護士とか

門崎美緒

探偵を雇うお金なんて無いんです

紫雲かぎり

それなら親御さんにお願いしてみては?

佐藤沙絵

親には心配をかけたくないんです

紫雲かぎり

うーん…

紫雲かぎり

気持ちはわかりますけどね

門崎美緒

紫雲さんでは

門崎美緒

対応できない、と?

紫雲かぎり

圧が凄いですね

そう言って紫雲かぎりは笑う。

紫雲かぎり

ただ

紫雲かぎり

ワタシにどうしろと言うんですか?

紫雲かぎり

ストーカーを捕まえるんですか?

紫雲かぎり

ストーカー行為を止めさせるんですか?

佐藤沙絵

そ、そんなことができるんですか!?

紫雲かぎり

お金さえ払って頂ければ

佐藤沙絵

!!!

佐藤沙絵

ストーカー行為を止めさせる場合

佐藤沙絵

いくらかかりますか?

紫雲かぎり

そうですねぇ…

紫雲かぎり

最低でも五万円ぐらいでしょうか

紫雲かぎり

ことが複雑だともう少し

紫雲かぎり

金額は上がると思いますが

佐藤沙絵

五万……

門崎美緒

沙絵ちゃん?

佐藤沙絵

五万円なら、

佐藤沙絵

なんとか用意できると思います

佐藤沙絵

それで

佐藤沙絵

出来る限りのことをしてもらえませんか?

紫雲かぎり

……わかりました

紫雲かぎり

どれほどのことが出来るかはわかりませんが

紫雲かぎり

やれることはやってみましょう

佐藤沙絵

ありがとうございます!

紫雲かぎり

では

紫雲かぎり

相手の情報など

紫雲かぎり

手元に何かありますか?

佐藤沙絵

名刺があります

佐藤は財布の中から

名刺を取り出して見せた。

紫雲かぎり

木野崎銀行…

紫雲かぎり

営業、長妻(ながつま)…なんて読むんですか?

佐藤沙絵

きしょう、だそうです

紫雲かぎり

長妻輝照…

紫雲かぎり

珍しい名前ですね

佐藤沙絵

はい

佐藤沙絵

なのですぐ覚えました

紫雲かぎり

写真を撮っても?

佐藤沙絵

もちろんです

門崎美緒

でも、

門崎美緒

どうやったらストーカー行為を止めてもらえるんですか?

紫雲かぎり

こればかりは相手を探ってみないとわかりません

門崎美緒

相手を探る、ですか

紫雲かぎり

性格を知る、

紫雲かぎり

と言った方がいいかもしれません

紫雲かぎり

あとは彼がどうしてストーカー行為をしているのか、

紫雲かぎり

という理由を知ることですかね

佐藤沙絵

そういうのってわかるものなんですか?

紫雲かぎり

もちろん、

紫雲かぎり

調べればいくらでもわかりますよ

佐藤沙絵

そうなんですか

紫雲かぎり

そうなんです。

紫雲かぎり

佐藤さんはしばらくご友人の家にいますか?

佐藤沙絵

さすがにずっと、

佐藤沙絵

というわけにはいきませんし

佐藤沙絵

部屋もそのままにして飛び出してしまいましたから

紫雲かぎり

では、しばらくはワタシが送り迎えをしましょう

佐藤沙絵

え、そんな、悪いですよ

紫雲かぎり

男の影がチラつけば諦める人もいますし

門崎美緒

遠慮せずに送り迎えしてもらってもいいんじゃない?

佐藤沙絵

先輩…

門崎美緒

腕を掴んだ件もあるし、

門崎美緒

いつ一線超えてくるかわからないから

佐藤沙絵

そう、ですよね。

佐藤沙絵

では、宜しくお願いします

紫雲かぎり

はい、かしこまりました。

翌日、

バイト終わりの佐藤を店先まで迎えに行く紫雲。

紫雲かぎり

お疲れ様です

佐藤沙絵

紫雲さんこそ

佐藤沙絵

お疲れ様です

紫雲かぎり

今日は長妻さん

紫雲かぎり

来店されたんですか?

佐藤沙絵

はい

佐藤沙絵

いつも通り

佐藤沙絵

中身の無い話しばかりで

佐藤沙絵

面白くないんです…

佐藤沙絵

それなのに話しかけてくるんで

佐藤沙絵

正直、迷惑なんです

紫雲かぎり

話しかけて来るだけなんですか?

紫雲かぎり

触って来たり

紫雲かぎり

連絡先を聞いて来たりしないんですか?

佐藤沙絵

ええ、ありません

佐藤沙絵

あれば店長に言って

佐藤沙絵

出禁にして貰えるんです…

佐藤沙絵

けど…

紫雲かぎり

どうしました?

佐藤沙絵

長妻さんです

紫雲かぎり

どこですか?

佐藤沙絵

あの

佐藤沙絵

自販機の近くです

紫雲かぎり

あの…

紫雲かぎり

体半分見えてる感じの?

佐藤沙絵

はい

紫雲かぎり

……普通のサラリーマンですね

佐藤沙絵

はい

佐藤沙絵

見た目は普通のサラリーマンです

紫雲かぎり

…では

紫雲かぎり

気にしないように

紫雲かぎり

駅に向かいましょう

佐藤沙絵

…はい

佐藤沙絵

彼女が今お世話になってる中廣綾ちゃんです

中廣綾

中廣です

紫雲かぎり

紫雲かぎりです

中廣綾

便利屋さんだって聞きましたけど、

中廣綾

女の子の送迎もするんですか?

紫雲かぎり

徒歩ですけどね

中廣綾

え?

中廣綾

あははっそうですね。

中廣綾

いいなぁ、

中廣綾

こんなイケメンさんだったら私も何かお願いしようかなぁ

紫雲かぎり

イケメンかどうかはさておき、

紫雲かぎり

今は佐藤さんの件が最優先ですけど

紫雲かぎり

仕事はいつでも受け付けていますので。

中廣綾

そっかぁ。

中廣綾

じゃあ、沙絵の件が終わったらお願いしよっと

佐藤沙絵

綾が何を頼むっていうの?

中廣綾

うーん…元カレの捜索?

佐藤沙絵

え、まだ諦めてないの?

中廣綾

当たり前でしょう

紫雲かぎり

ちょっと気になる話ではありますが、

紫雲かぎり

今日はここで

佐藤沙絵

あ、はい。ありがとうございました。

紫雲かぎり

明日はバイトが無いんですよね?

佐藤沙絵

はい。なので、大学へ行って帰る感じです

中廣綾

じゃあ、明日一緒に食事に行きません?

佐藤沙絵

綾ったら

紫雲かぎり

大変嬉しいお誘いですが、

紫雲かぎり

ストーカーのことも調べなければならないので。

中廣綾

うーん残念

紫雲かぎり

何かあればすぐに連絡して下さい

佐藤沙絵

はい、わかりました

紫雲かぎり

では、おやすみなさい

佐藤沙絵

おやすみなさい

中廣綾

カッコいいなぁ、紫雲さんかぁ

佐藤沙絵

綾ってああいうタイプが好きだったっけ?

中廣綾

うん!どうにかして食事に誘えないかなぁ…

佐藤沙絵

はいはい

佐藤沙絵

わかったから部屋に入ろう

佐藤沙絵

ご飯作るから

中廣綾

わーい!

中廣綾

ご飯作ってくれるならずっと居てもいいよぉ

佐藤沙絵

そういうわけにはいかないんだって

中廣綾

ちぇっ…

紫雲が佐藤の送り迎えを始めてから、

二、三日の間は

長妻の姿を確認することが出来た。

長妻はいつも

佐藤のマンションから仕事場までついて来た。

その後、紫雲を見送り、

長妻自身も長居せず自宅へと帰っているようだった。

その間、ベランダに誰かが来ることも、

怪しい物音がすることも無かった。

しかし、

四日目が過ぎた辺りで

長妻は姿を消す。

マンションの前にも

駅前にも、お店の前にも

忽然と姿を消した。

五日、

六日、

そして一週間が経っても、

長妻は佐藤の前に現れず、

お店に来ることも無かった。

佐藤沙絵

今日も長妻さんは来ませんでした。

紫雲かぎり

おや?そうなんですか?

紫雲かぎり

姿を見なくなって四日目ですか……

佐藤沙絵

諦めたんでしょうか?

紫雲かぎり

そうだといいんですけどね

紫雲かぎり

まだ確信は持てませんから

紫雲かぎり

気を緩めないでくださいね

佐藤沙絵

は、はい

いつも通り

佐藤のマンションまでの道のりを、

二人は並んで歩いていた。

人通り無く、

辺りはしんと静まり返っていた。

紫雲かぎり

…止まって

不意に紫雲が立ち止まり、

佐藤の手を引いた。

佐藤沙絵

え、なに

長妻輝照

…沙絵ちゃん…

佐藤沙絵

え…

視線を前に向けると、

ゆらりと

電信柱の陰から

人が現れた。

佐藤沙絵

長妻…さん…

長妻輝照

沙絵ちゃん…

長妻輝照

ダメだよ

長妻輝照

そんな

長妻輝照

悪い男に引っ掛かっちゃ…

咄嗟に佐藤は

紫雲の後ろに隠れる。

長妻輝照

沙絵ちゃん

長妻輝照

やっぱり

長妻輝照

悪い奴に狙われてた…

紫雲かぎり

もしかして

紫雲かぎり

悪い奴ってワタシのことですか?

長妻輝照

お前以外に誰がいるんだ

長妻輝照

沙絵ちゃんに付き纏い

長妻輝照

たぶらかし

長妻輝照

金をせびるような男!

長妻輝照

悪い奴に決まってるだろ!!

紫雲かぎり

いやいや

紫雲かぎり

あのお金は

長妻輝照

黙れ!!

長妻輝照

今すぐ沙絵ちゃんから離れろ

長妻輝照

沙絵ちゃんは

長妻輝照

お前みたいな男に穢されちゃいけないんだ!!

佐藤沙絵

長妻さん

長妻輝照

沙絵ちゃん

長妻輝照

もう大丈夫

長妻輝照

僕が君を解放してあげるから

佐藤沙絵

ち、違うんです!

佐藤沙絵

長妻さん

佐藤沙絵

この人は便利屋の

長妻輝照

そう吹き込まれてるんだろ?

長妻輝照

可哀想に

長妻輝照

でも

長妻輝照

そんな洗脳からも

長妻輝照

僕が解放してあげるよ

そう言って長妻は

バールのような物を取り出す。

紫雲かぎり

おぉ…

佐藤沙絵

し、紫雲さん!

紫雲かぎり

大丈夫、大丈夫

紫雲かぎり

とはいえ

紫雲かぎり

佐藤さんは危険だから

紫雲かぎり

マンションに帰ってて

佐藤沙絵

で、でも!

長妻輝照

大丈夫だよ、沙絵ちゃん

長妻輝照

君に危害を加えるつもりはないから

長妻輝照

マンションで待ってて

長妻輝照

こいつを倒して

長妻輝照

僕は君は迎えに行く!

紫雲かぎり

いやぁ…

紫雲かぎり

凄い熱意…

紫雲かぎり

ってことだから

紫雲かぎり

マンションに帰っててください

佐藤沙絵

わかりました

佐藤沙絵

警察にも通報しておきますから

紫雲かぎり

お願いします

マンションに向かって走る佐藤。

その背中を見送り、

再び紫雲と長妻は相対する。

長妻輝照

よし

長妻輝照

これで心置きなくお前を殴れる

長妻輝照

覚悟は出来てるだろうな!?

振り上げられたバールを

紫雲は身軽に避ける。

紫雲かぎり

はい、これ見て

長妻輝照

あ?

長妻輝照

!!!

長妻輝照

おまっ!お前!それは!!

紫雲が取り出した写真には、

若い女の子と腕を組んで歩く

長妻の姿が捉えられていた。

紫雲かぎり

沙絵ちゃんの洗脳を解くねぇ…

紫雲かぎり

じゃあ…

紫雲かぎり

このミキちゃんとはどういうことかな?

長妻輝照

あ、いや、

紫雲かぎり

これは二日前に撮られたもの

紫雲かぎり

つまり、君はストーカー行為を休んで

紫雲かぎり

ミキちゃんと遊んでたわけだね

長妻輝照

な!おまっ!?

紫雲かぎり

君さ

紫雲かぎり

こういう純粋そうな子はタイプなの?

長妻輝照

あ、いや…

紫雲かぎり

高校二年生のミキちゃん

紫雲かぎり

うーん…確かに可愛い子だねぇ

長妻輝照

は!?い、いや!

長妻輝照

か、彼女は二十歳では!?

紫雲かぎり

君の前では二十歳、とか言ってたけど

紫雲かぎり

正真正銘のJK

紫雲かぎり

これって俗に言うパパ活ってやつ?

長妻輝照

は、いや、ちが

紫雲かぎり

随分と活発的なパパ活だよね?

ニヤリと笑って

さらに別の写真を取り出す。

そこには、

二人がホテルへ入って行く姿が撮られていた。

長妻輝照

あ、あ、あ…

紫雲かぎり

君さぁ

紫雲かぎり

結婚して

紫雲かぎり

若い奥さんもいるんでしょ?

紫雲かぎり

こんなの奥さん知ったら

紫雲かぎり

なんて思うかなぁ

長妻輝照

や、やめろ!

振り下ろされたバールはアスファルトを削る。

紫雲かぎり

もちろん

紫雲かぎり

彼女だけじゃないよな?

長妻輝照

へ?

紫雲かぎり

サヤカちゃん

紫雲かぎり

ミトカちゃん

紫雲かぎり

カズハちゃん…

パラリパラリと写真を見せながら、

地面に落とす。

どの写真にも長妻と若い子が

一緒に腕を組んで歩いているところが写されていた。

紫雲かぎり

入れ替わり立ち代わり

紫雲かぎり

いろんな女の子とパパ活してんだね

紫雲かぎり

調べれば調べるほど

紫雲かぎり

色んな女の子が出て来る

長妻輝照

お、ど、なんで

紫雲かぎり

それなのに

紫雲かぎり

沙絵ちゃんを助ける?

紫雲かぎり

パパ活には飽きちゃったってこと?

長妻輝照

ち、違う!

長妻輝照

沙絵ちゃんは

長妻輝照

あの子は

長妻輝照

パパ活しているアバズレとは

長妻輝照

違うんだ!

長妻輝照

あの子は純粋で

長妻輝照

清らかで

長妻輝照

そんな彼女を

紫雲かぎり

彼女を?

長妻輝照

……

紫雲かぎり

めちゃくちゃにしたい?

長妻輝照

!!!!!

紫雲かぎり

清純な彼女を

紫雲かぎり

自らの手で汚したいって?

長妻輝照

!!!

紫雲かぎり

大学生のときに

紫雲かぎり

高校生へ粘質なストーカー行為をして

紫雲かぎり

相手の子の精神を壊したこと

長妻輝照

な、なんで、それを…

紫雲かぎり

そのときに得た快楽が忘れられない?

長妻輝照

……

紫雲かぎり

いやいや

紫雲かぎり

否定しないの?

紫雲かぎり

酷い男だね、あんた

紫雲かぎり

俺のこと悪い奴なんて言えないじゃん

長妻輝照

う、うるさい!!

紫雲かぎり

厳格な銀行員が

紫雲かぎり

多数の女子高生と関係持って

紫雲かぎり

こんなことしてる、なんてバレたら…

そう言って取り出した写真には、

若い女性と行為に及ぶ

長妻の姿が写っていた。

それも普通の行為ではない、

目を覆いたくなるようなモノだった。

長妻輝照

ど、ど、どうしてそれを!??

紫雲かぎり

さぁ?どうしてだろうねぇ

紫雲かぎり

いやぁ実によく撮れてる

紫雲かぎり

こんなものが世に出てしまえば…

長妻輝照

あ、あ、や、やめてくれ!!

紫雲かぎり

君は全てを失う

長妻輝照

止めて下さい!!

長妻輝照

ばらさないでください!!

長妻輝照

お願いします!!

長妻は半泣き状態で

紫雲の足にしがみつく。

紫雲かぎり

そんなに仕事失いたくないの?

長妻輝照

あ、当たり前だ!!

紫雲かぎり

まぁそうだよねぇ

紫雲かぎり

仕事失ったら

紫雲かぎり

女の子とイイコト出来ないもんねぇ

長妻輝照

そ、そういうわけじゃあ!

長妻輝照

頼む!!

長妻輝照

僕に出来ることなら

長妻輝照

何だってするから!!

紫雲かぎり

ま、俺の要求は至極簡単なモノだ

長妻輝照

な、なんですか?

紫雲かぎり

佐藤沙絵に二度と近づくな

長妻輝照

!!!

紫雲かぎり

返事は?

長妻輝照

は、はい!!

長妻輝照

もう二度と近づきません!!

紫雲かぎり

オッケー

紫雲かぎり

じゃ、その写真全部あげよう

紫雲かぎり

煮るなり

紫雲かぎり

焼くなり

紫雲かぎり

お好きにどうぞ

長妻輝照

あ、ありがとうございます!!

長妻は這いつくばって写真を集める。

紫雲かぎり

ただ

紫雲かぎり

元のデータは持っているから

紫雲かぎり

いつでもお前の醜態を世間に晒すことが出来る

長妻輝照

そ、そんな!!

紫雲かぎり

それを忘れるな

長妻輝照

くっ!!!

遠くからパトカーのサイレンが聞こえると、

慌てて落とされた写真をポケットに突っ込む。

全てを集めて顔を上げたときには、

もうそこに紫雲かぎりの姿は無かった。

─数日後─

佐藤沙絵

あ、紫雲さん!

佐藤沙絵

いらっしゃいませ!

紫雲かぎり

こんにちは

紫雲かぎり

あれからどうですか?

佐藤沙絵

あれから長妻さん

佐藤沙絵

お店にも来られませんし

佐藤沙絵

駅やお店の前で出待ちしている姿も見ていません

紫雲かぎり

それは何よりです

佐藤沙絵

紫雲さん

紫雲かぎり

なんでしょう?

佐藤沙絵

一体、何をしたんですか?

紫雲かぎり

話し合いをしただけです

佐藤沙絵

話し合い、ですか

紫雲かぎり

はい

紫雲かぎり

佐藤さんへのストーカー行為を止めて下さい、と

紫雲かぎり

話し合いをしたんです

佐藤沙絵

あの

佐藤沙絵

バールを持った長妻さんと?

紫雲かぎり

はい

紫雲かぎり

案外素直な方でしたよ

佐藤沙絵

……

紫雲かぎり

…佐藤さん?

佐藤沙絵

私は

佐藤沙絵

紫雲さんが懲らしめてくれたと思っていますけど?

紫雲かぎり

まさか

紫雲かぎり

あんなバールを持った人に

紫雲かぎり

立ち向かえるわけないじゃないですか

佐藤沙絵

そう言いながら

佐藤沙絵

本当は…って思うことにします

紫雲かぎり

うーん、困ったなぁ…

佐藤沙絵

でも

佐藤沙絵

経緯はどうであれ

佐藤沙絵

助けて下さってありがとうございました

紫雲かぎり

いえいえ

紫雲かぎり

ワタシはただ依頼を完遂しただけですから

佐藤沙絵

また、困ったことがあったらお願いしてもいいですか?

紫雲かぎり

もちろんです

紫雲かぎり

報酬さえ払って頂ければ

紫雲かぎり

便利屋は何でもしますから

『ストーカー』 END

便利屋・紫雲かぎり〜サクリファイスの花〜

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