屋敷の外の道を通り、私は父母の部屋を目指して歩いていた
屋内の灯りは消え、月明かりと灯篭のみが光る夜
暗殺にはぴったりな夜だ…
そう考え歩を進めていると、
私の前に一つの障害が現れた
北条奏
北条奏
兄
兄者はそういい背に背負っていた忍者刀を抜き取る
私はそれに合わせ刀を抜いた
てっきり斬り合いになると考えていた私は
兄の次の行動に驚かされた
兄
そういい忍者刀を庭へ投げ捨てたのだ
北条奏
北条奏
兄
兄
そして兄は決意の眼差しとともに私を見つめ、ふっと小さく憫笑した
兄
兄
北条奏
余りに馬鹿馬鹿しいことを云う兄に、私は笑いが込み上げた
兄
兄
北条奏
兄
兄
兄
兄
兄
北条奏
必死に私を説得する“兄”を私は途中で止めた
そしてこう云った
北条奏
北条奏
兄
北条奏
北条奏
兄
私の云った言葉に、兄は…いや、 “あの男”は何も返せなかった
そして私は刀を“奴”に向けた
北条奏
兄
返事はない、だがもうそんなものはどうでもいい
私は刀を構え、奴の肩から腰にかけ激しく斬り裂いた
兄
ドシャッ、と嫌な音と共の奴はその場に倒れる
もう死んだと思った私が横を通り過ぎようとした時、
僅かに奴はこう云った…
兄
兄
その言葉を最後に
“兄”は事切れた…
北条奏
北条奏
もう後戻りなどできない
私は再び前を向き、先を急いだ
次に私が狙ったのは母だった
あの女は私を見下し、厄病神のように扱い、
終いにはのけものにし、捨てたのだ
北条奏
そして母の部屋の引き戸を勢いよく開ける
だが、そこに広がっていた光景は私の予想にないものだった
北条奏
そこには
全身血で濡れた母であっただろう“もの”が転がっていた
そう、既にあの女は死んで居たのだ
何故こうなったのかは簡単に予想がついた
北条奏
北条奏
恐らくは私に殺されることを恐れ、刀で殺される苦しみを避け
己の手で命を絶ったのだと思う
それは喉元を見る他にも、手元の小刀が物語っていた…
北条奏
北条奏
北条奏
北条奏
私は刀を握りしめ、部屋をあとにした
外へ出る、案の定奴はそこに居た
北条奏
北条奏
北条奏
奴は私の方を向き、鋭い眼光をこちらへ突き刺してきた
父
名家“北条家”現・当主
この男を打って、この戦いに終止符をつける
コメント
26件
今回もめっちゃ素敵な作品でした! 兄の最後の言葉にちょっと切ないなって思いました... 次回も楽しみにしてます( *´꒳`* )
わぁぁぁあ!!!(((((続きが楽しみぃい!
北条家の兄さんにも、実はあんな思惑があったんだね。遅かったかもしれないけど、最後に分かってよかった…✨