〜・・・〜
医者
これは…失声症…ですね…
お母さん
失声症…?
医者
簡単に言えば,ストレスやショックによって,声が出なくなる,または出にくくなる…
医者
という病気です。
お母さん
なっ治るんですか?!
医者
勿論。例えば…
医者
好きな人や,ストレスを与えられた人と接すると治る場合もあります。
お母さん
!ヒノカグくん…私は何もできないから…お願いね…!
ヒノカグ
はい!
医者
では私はこれで…
お母さん
じゃあ私も…ごめんねサーシャ…仕事があるの…
サーシャ
【大丈夫。】
お母さん
ありがとう…ごめんね…
筆談するようになった。
コンコン…
ヒノカグ
はい。
ニナ
サーシャ…
ヒノカグ
お前っ!!
クイッ
サーシャ
【いいの。】
ニナ
サーシャ…ごめんごめんごめん!
ニナ
私…ただの嫉妬だった…
ニナ
だって…サーシャってなんでも持ってる…
持って…ない…
ニナ
…と…思ってた…余命宣告されてるなんて思ってなかった!
ニナ
1年…あと…1年…?
ニナ
どうして…っ!サーシャは…何も悪くないじゃんっ!
ニナ
私…っ!
ニナ
っヒノカグくん…好き…
ヒノカグ
っ!でも俺は…
ニナ
です。でも…こっ酷く振っちゃってください。
ヒノカグ
ごめん。俺は,サーシャが好きだから…
ニナ
うん…ありがとう…!
ニナ
……サーシャ…もう私と友達でいなくていい。
ニナ
私,酷いことしたもん。
ニナ
バイバイ。
クイッ
ヒノカグ
待て。ニナ,サーシャが呼んでる。
ニナ
え…っ?
サーシャ
……あり…がと…で…も…友達…いさせて…お願い…友達…いたい…っ!ニ…ナ…
ニナ
サーシャ…っ!ごめんっごめんねぇっ!!
声を…本当に出したい…そう思った時だけ…出せるのかな…
じゃあこれも…言える…?
サーシャ
………………
言え…ない…もしかして…一日…一回…?
言いたいこと,沢山,あるのに。
サーシャ
【声が出せるの,もしかしたら一日一回かもしれない。】
ヒノカグ
一日一回…か…
ニナ
えっもしかしてそれ私に使っちゃったの?!嘘…最悪…ごめん…
サーシャ
【だ,大丈夫大丈夫!】
ニナ
うぅ〜ん…どうしたら治せるんだろ…
ヒノカグ
医者が言うには,俺やもしかしたらニナと接したらだって。
ニナ
あっ失声症って好きな人かストレスを与えた人と接すればいいっていうからね…
ヒノカグ
あれ,なんで知ってんの?
ニナ
…親友…がいたの…その親友は…ある日突然失声症になって…最初は出にくくなるだけだったんだけど…
ニナ
その出にくいストレスで声が完全に出なくなっちゃって…
ニナ
もうそのストレスに耐えかねて自殺しちゃったの…
ニナ
その時…その子のお母さんから聞いたことで…
ニナ
その子にストレスを与えてたのは私だったみたい。
ニナ
わがままで,自分勝手で,ユイの気持ちなんて少しも考えてなかった…!!
ニナ
それから…怖くて…引っ込み思案になったし…捻くれた性格になっちゃった…
あぁ…だから…ニナはいつでも…1人で私を優先していたんだ…
ニナ
それで…友達も作るのが怖くなって…そんな時サーシャを見つけたの…
ニナ
サーシャがヒノカグくんと付き合うようになってから…ヒノカグくんを好きになった…
ニナ
なんだろうね…私…ズルイ…
ズルくなんか,ない。
ニナ
お似合いだって思ってた。でも,好きになっちゃったから…
ニナ
日に日に羨ましさと怒りが募ってきちゃって…あんなこと…しちゃった…
ニナ
なんか…私の話になっちゃって…ごめんね…
サーシャ
【大丈夫。話してくれて嬉しい。】
ヒノカグ
治るといいな。
ニナ
治るといいね。
ニナ
ごめん。私,もう帰るね。
ヒノカグ
ごめん。俺も用事あるから…
サーシャ
【うん。バイバイ。明…】
明日なんて,ないかもしれない。
グシャッ
書くのと代わりに,手を振り返した。
幸福でいっぱいになると,治るかもしれない。
そうだったら…いいのにな…