ねぇ、こうちゃん
その女は誰かしら
私のこと、大好きって言ってくれたじゃない
死ぬまで一緒って言ってくれたじゃない
あの言葉、全部全部ウソだったの?
私がいる、この家に
堂々と女を連れてきて
私が許すとでも思ってるのかしら
香水の匂いをまとった女は
私に目もくれず
こうちゃんの腰に手を当てる
こうちゃんはそれに応えるように
女の額にキスを落とす
ねぇ、やめて
私の言葉は誰にも通じず
薄暗い部屋に虚しく響くだけ
しばらくすると、こうちゃんは
黙ってろとでも言うように
私を奥の部屋に閉じ込めた
だから私はひたすら吠える
夜空に浮かぶ月に向かって
ただただひたすら
獣らしく尻尾をふって
跳ねるだけ