かおり
俺は正真正銘の雄猫だ。
飼い主もそのことはわかっているはずである。
なのに、俺の飼い主ときたら
俺を拾ったその当日に、俺をかおりといかにも男らしからぬ名前で呼んできた。
しかも普通、猫にかおりなんて人間みたいな名前つけるだろうか?
本当に訳がわからぬ。
ある日のこと
真司
かおり
真司
そう言って、飼い主は部屋の隅に置いてあった茶色い紙袋を開いた。
かおり
かおり
真司
真司
真司
そう言って、飼い主が勢いよく取り出したものは猫が好むようなキャットフードでも猫じゃらしでもなかった。
かおり
何かキラキラと光っている。
真司
かおり
真司
真司
真司
そう言って、飼い主は今まで俺に見せたことのないような悲しい表情を浮かべた。
かおり
俺は飼い主がなにを考えてるのかがよくわからなかったが、
悲しそうな飼い主の顔を見ていると、どうも心が痛んでしまうので、励ます代わりにと言ったらなんだが、元気よく鳴いた。
真司
真司
伝わったのだろうか...
また、ある日の夜中のこと
俺が部屋の本棚の上で寝ていると、急に飼い主が変な声を出し始めた。
真司
かおり
なにを言っているか聞き取れない。
真司
かおり
ごえん?
一体どんな夢を見ているんだ!?
真司
真司
かおり
今度は聞き取れた。
愛してる?
誰を?
俺の飼い主は一人暮らしで歳もそこそこいっているはずだが、一度もこの家で恋人らしき人物を見たことがない。
ならいったい、一体誰を愛してるのだと言うのか。
かおり
俺は気になったので飼い主を起こすことにした。
かおり
真司
飼い主が目を覚ました。
かおり
真司
ん?
何かおかしい。
真司
飼い主が泣いている。
かおり
真司
俺は急に抱きしめられた。
真司
真司
なにを言ってるんだ?
かおり
真司
真司
かおり
真司
真司
真司
かおり
指輪ってあの....
かおり
ようやくわかった。
変なやつに変な名前をつけられたとずっと思ってきたが....
かおり
俺は真司のつけてくれた香織という名前が急に好きになった。
香織
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