俺の通っている高校、通称「バンタン高校」の男子寮の起床は朝六時四十五分で、けれど特別チャイムがなったりはしない。
「自主独立」「個性伸張」を校訓に掲げるバンタン高校では、寮生活も門限と食事の時間と消灯時間さえ守れば後は基本的に自由だ。
それは校舎を挟んで向こう側にある女子寮でも同じだ。
これまでは校則の厳しい私立中学に通っていた俺は面食らったが、今ではもう体になじんだ。
jimin
2段ベッドの木製の柵をコンコンと何度もノックされ、まぶたをこじ開けながら頭まで被っていたタオルケットからもそもそと顔を出すと、もう制服に着替えたジミナが柵ごしにのぞきこんでいた。
「おはよ」と小首をかしげる芝居がかった笑顔に微妙にイラッとして、またもそもそとタオルケットに潜り込もうとすると「こらこら」と手首を掴まれて阻止された。
jungkook
ジミナの肩をつつきながら心やさしいことを言ったのは、同じくルームメイトのジョングガだ。
ジョングガは、柔道部の主将かと思うような頼もしい体つきをしているのだが、本人の性格はいたって温厚で少し恥ずかしがりでもある。
動物全般が好きな俺はジョングガがそばに居ると心がなごみ、今も穏やかな顔を見つめてほのぼのしていたら、ジョングガも「おはようございます」と笑い返してくれた。
jimin
jungkook
teahyong
jimin
teahyong
jimin
jungkook
なんとかジミナに蹴られる前に身支度を終えて食堂へ行くとすでにみんな席について食べ始めていた。
配膳台に並べられた朝食を順番にとってジミナとジョングガのいる席へ向かった。席についたのと同時に魚のフライにかけるソースを取り忘れたことに気がついた。
配膳台のほうに首をめぐらせたが、わざわざあそこに戻って取ってくるのも面倒だった。
この魚も生前は海水の中を泳いでいたわけで、だったら塩味がまだ少しは残っているかもしれない。
いけるだろう、と箸を伸ばそうとすると
jimin
ジミナがソースのミニパックを手品のように差し出した。2人分とっておいてくれたらしい。
感謝しながら魚のフライにちびちびかけると、向かいのジョングガがうわ、と声を上げた
jungkook
jimin
jungkook
teahyong
jimin
jungkook
jimin
いつもと変わらないやり取りをして、朝食をとっていると他の部屋のやつらも集まってきた。
さらに騒がしくなったことにはぁ、と溜息をつきながら朝食を口に運んだ
「ー 今月八月、○○市で市内の高校に通う女子高校生が何者かに刃物で刺され死亡、十六歳の男子生徒が、昨夜市内で発見され、殺人の容疑で逮捕されました 。」
teahyong
ぼーとしていた俺はニュースの音声に我に返った。食堂の前方には大型テレビが設置されている。生徒の3分の2ぐらいはテレビそっちのけで友達と話しているが、残りはニュースに注意を向けていた。
jimin
スジン
jimin
スジン
jimin
jungkook
teahyong
スジン
jimin
jungkook
スジン
jimin
jungkook
teahyong
捕まった少年はこれから世間から厳重に隔離された場所で、ある意味守られて生活することになる。けれど彼の家族はこれからどうなるのだろう、
嫌がらせの電話や、家への落書き、ネットに晒される個人情報___やはりそんな迫害に会っているのだろうか、
_______ 昔の俺みたいに
jimin
いきなり顔前で手を振られて肩が痙攣した。
jimin
ほら、と飲みかけの牛乳を差し出される。どうして分かったんだろう、
今、喉が渇いていたこと。口じゅうが砂漠みたいに干上がっていること。 俺は牛乳を受け取って1口のみ、中途半端に握ったまま止まっていた箸を置いた
jungkook
スジン
teahyong
不思議そうに首を傾げるジョングガに小さく笑って、テーブルを離れる。
背中の後ろで「ほんとアイツマイペースだよな、笑」とジミナのあきれと笑いが半々の声が聞こえた
特別表情は変えてなかったと思う
俺は食堂を出たあと左手に曲がり、しばらく歩いたところにあるトイレのドアを開けた。
奥の個室に入ってすぐに、崩れ落ちるようにしゃがみこみ、まだろくに食べていなかった朝食を
吐いた。______
コメント
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え、あ…神でらっしゃいます…💖(?)
え?神作すぎません??ぜひ友達になって頂きたいです!