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SOMAMON7A
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広幡才彩
うわ、眩しい…… 暗順応していた目にはやや辛い朝日を浴びながら、ゆっくりと体を起こす。長時間全集中の呼吸をした反動で、気を失っていたようだ。
鱗滝左近次
広幡才彩
鱗滝左近次
広幡才彩
いや、急に言われ
鱗滝左近次
広幡才彩
あ、頭が…… 寝ぼけていた頭に響く大声を聞いて、再度気を失いそうになる。 頭を振って眠気を飛ばすと、布団を畳んだ。
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しばらくすると、台所から味噌のいい匂いがしてきた。味噌汁を作っているのだろう。
広幡才彩
鱗滝左近次
目も合わせずにそう言われ、渋々居間の机に戻った。
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鱗滝左近次
あの娘……才彩からは、深い寂しさの匂いがする。 義勇によると、親に捨てられたところを鬼に襲われていたらしい。 十ほどの歳しかないだろう。そんな娘をなぜ捨てるのか。理解し難い。 鬼に身内を襲われた訳でもない。恨みなどないだろう。だが、「親に愛されなかった」ということだけで、鬼という穢れた生物と接点を持ってしまった。誰彼構わず襲いかかる鬼と共に、才彩の両親にも怒りが湧いてくる。
鱗滝左近次
怒っても致し方ない。儂の役目は、才彩を死と隣り合わせの日常の中で生き抜いていく術を教えること。師が冷静でいられなくては、正しいことも教えられない。
鱗滝左近次
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広幡才彩
鱗滝左近次
広幡才彩
……なんだか、“お父さん”みたい。普通の女の子は、こういう暮らしなのかな…… 涙腺が緩まりそうになるのを堪えながら、味噌汁に手を付ける。 少しだけ、塩辛い気がした。
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鱗滝左近次
広幡才彩
おかしいなぁ……さっきまで優しかったはずなのに…… 師匠としての顔を見せた鱗滝さんは厳しかった。まあ、体を張る仕事だし、元柱とのことだから、当然と言えば当然だが。 義勇さんが稽古をつけてくれていたおかげで、順調に修行は進んでいった。受け身の取り方、長く全集中の呼吸を使う秘訣、「水と一つになれ」と言われ、急に川へ突き落とされることもあった。でも――
広幡才彩
刀の威力だけが、どうしても上がらなかった。 動きはできる。動きだけは。不得意だった玖の型と拾の型も、ある程度形になった。 修行を始めて、早半年。狭霧山にも、山茶花の匂いが漂ってきていた。手の肉刺だって、いくつ潰れたか分からない。それだけ鍛えても、腕は細く、巻藁を四つ斬る前に力尽きてしまう。
鱗滝左近次
広幡才彩
鱗滝左近次
広幡才彩
鱗滝左近次
動きを、参考に…… 鱗滝さんの言うことを心の中で繰り返しながら、冷静に分析を始める。 一番使いやすいのは「参の型 流流舞い」だ。動きながら斬撃を喰らわせる型。 威力が足りない分、回数を増やせば……
鱗滝左近次
広幡才彩
鱗滝左近次
鱗滝さんの雰囲気が、いつもより少しだけ柔らかくなった気がした。
鱗滝左近次
広幡才彩
大正コソコソ噂話 才彩ちゃんは鱗滝さんに義勇さんの修行時代の話を訊いたところ、「人の過去を探るんじゃない」とビンタされたそうです。
コメント
1件
よかったです、第15話。鱗滝さんが才彩の「深い寂しさの匂い」に気づく場面、じんと来ました。ああ、この子はちゃんと見てもらえてるんだなって。それと「自分の呼吸」という切り口——水の呼吸に無理に合わせるんじゃなく、自分の型を作る方向に舵を切るのはとてもしっくりきます。才彩の「参の型・流流舞いを回数で補う」発想も納得。ラフでほっこりする大正噂話も含めて、二人の距離感がじわじわ縮まってるのが伝わってくる回でした。