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ここは麗流楼水(れいりゅうるんすい)

居場所を失った人が集う町である

そしてこの神社は町の管理人である、月影(つきかげ)未彩(みあ)の神社

つまり、この町の核と言っても過言ではないのだ

月影 未彩

そして!この私が天才美少女巫女、月影未彩だよ!

自分で言うな

月影 未彩

にしても、境内の掃除だるいなー…

月影 未彩

この天才美少女巫女、月影未彩の名を持ってしても、掃除なんて簡単にできるものではない…

月影 未彩

というか私が掃除嫌い

月影 未彩

だってさぁ、掃除なんて美少女に似合う訳なくない?

そんなことは無い

月影 未彩

ねぇ、そう思わない?ホウキくん

掃除道具にそんなこと言うなよ

月影 未彩

『いやいや、未彩ちゃんには掃除道具であるこの僕がちゃーんとお似合いだよ』

この人裏声で喋り出した

月影 未彩

『だからお掃除一緒に頑張ろうね!』

月影 未彩

はあ?

月影 未彩

ホウキの癖に生意気だ

月影 未彩

捨てちゃえ

何この人怖い

未彩はホウキをゴミ置き場に捨てる

月影 未彩

ふん、私の意見に賛同しない物なんてこうだ

未彩が手をパンパンと払うと、神社の入口から声が聞こえてくる

或那 梨菜

未彩ー!

月影 未彩

ん…なんかうるさい奴が来たな

或那 梨菜

うるさい奴とは失礼な!

梨菜は口を膨らませて反抗する

彼女は或那(あるな)梨菜(りな)

数年ほど前に麗流楼水に来た住民である

或那 梨菜

舞婪が手を切ったの

梨菜は、後ろを着いて来ていた少年を未彩に見せる

或那 舞婪

うわーん痛いよ〜

涙をポロポロと流しながら叫ぶ少年

彼は梨菜と同い年の或那(あるな)舞婪(まいら)だ

舞婪の左腕には10センチほどの切り傷ができていた

月影 未彩

あのねぇ、そういうのは私じゃなくて医者に言え

月影 未彩

流石に天才美少女巫女の月影未彩様でも、治癒能力はないんだよ

お前まだそれ言ってたのかよ

或那 舞婪

だってあの医者色々と怖いんだもん…

舞婪が口をプクっと膨らませて地面を見る

舞婪の言う“あの医者”というのは、この町で唯一医者をやっている星川(ほしかわ)悠希(はるき)のことだ

彼と助手の冬本(ふゆもと)澪(れい)は性格上かなり恐れられている

或那 梨菜

あの医者って何考えてるかわかんないし、強引な治療する時あるもんねー

或那 舞婪

僕なんて何回麻酔無しで縫われたことか…

或那 梨菜

私も…

或那 梨菜

あとは風邪の時喉まで木の棒突っ込まれたよ…

或那 舞婪

僕も…

やべぇ医者じゃねぇか

或那 梨菜

とりあえず怪我とか病気の時は行きたくないよね

或那 舞婪

ねー

何のための病院だよ

月影 未彩

とりあえずその腕治らないから行くよ

月影 未彩

ここに治癒能力使える人いないんだからさ

或那 舞婪

うわーんケチー

或那 梨菜

能力はもう仕方ないよ…

舞婪と梨菜は未彩に連れられながら病院へと向かう

月影 未彩

そういえば君たち、どうして麗流楼水来たんだっけ?

月影 未彩

こんなに能天気なのに死のうとしてたなんて信じられないんだけど

お前も大概だけど

──“死のうとしていた”とはどういうことか

それは、この町が『死にたいと願うほど居場所を追いやられていた人』…

つまり、『居場所を失った』『死にたかった子たち』が最後に集まる町なのだ

だから、この町にいる舞婪も梨菜も未彩も医者の2人も、過去に死にたい程の“何か”があったということなのだ

或那 舞婪

そういえば、僕達って何でこの町来たんだっけ?

忘れたのかよ

或那 梨菜

えっとね、お母さんに怒られたからだよ

理由ショッボ

月影 未彩

あれ、君達生き方を否定されて家出したって聞いたんだけど

覚えてるじゃねぇかよ

或那 梨菜

まあまあ、そんなことどうだっていいじゃん

どうでもはよくない

そんなことを話していると、梨菜の隣で歩いていた舞婪の姿が消える

或那 梨菜

あれ?

同時に、地面が少し揺れる

ドシーン!!

震源を見ると、舞婪が倒れていた

或那 舞婪

いったーい!!

或那 梨菜

もう……何やってるの舞婪?

或那 舞婪

だって…急に足に何かがぶつかって…

月影 未彩

もー、なにもないところでコケるなんて、ダサいな~

或那 舞婪

そんなこと言わないでよ~

或那 梨菜

とりあえず、病院に行こ?

或那 梨菜

舞婪、立ち上がって

或那 舞婪

うん……

或那 舞婪

うわあ、足も血だらけだぁ……

月影 未彩

早く病院行こっか

或那 舞婪

うん……

舞婪が血だらけの足を動かして歩き出した途端

ドシーン!!

舞婪は再び地面に倒れた

或那 梨菜

舞婪!?!?

或那 舞婪

い、今…足が見えた…

舞婪は血まみれになった顔を上げる

或那 梨菜

ひぃっ!

或那 舞婪

多分お化けが僕の足を引っ掛けたんだ…

或那 梨菜

ま、舞婪…その顔怖いよ…

どっちがお化けだよ

月影 未彩

し、しししらないよ?

月影 未彩

こ、この天才美少女巫女の月影未彩ちゃんが足を引っ掛けるなんていう幼稚ないたずらするわけないじゃん?

犯人お前じゃねぇか

或那 舞婪

とりあえず怪我がひどいから病院に行こう?

お前が言うのかよ

病院に着いた未彩達

血と傷だらけの舞婪を見て、受付にいた嵐諷(らんふう)諏禾(すいね)はギョッとした顔をする

嵐諷 諏禾

舞婪くんその傷はどうしたのよ?!

或那 舞婪

あーこれね、ちょっとコケちゃった

嵐諷 諏禾

コケたくらいでその傷になるものなのかしら…

引いてるじゃねぇか

嵐諷 諏禾

とりあえず、今日の診察は外科でその傷の治療ね

諏禾はカルテを書き始める

或那 舞婪

いや、精神科のベッドで寝たら治るかも

嵐諷 諏禾

精神科は保健室じゃないのよ…

突っ込むところそこじゃないだろ

嵐諷 諏禾

それじゃあ、改めて問診を始めるわね

嵐諷 諏禾

今日は怪我で外科にかかるということだけれど…

嵐諷 諏禾

怪我の箇所は顔と足…かしら?

或那 舞婪

そうだよ!

お前腕の怪我忘れたんか

或那 梨菜

違うよ舞婪

或那 梨菜

舞婪が怪我したのは腕だけだよ

顔と足も怪我してるんだよ

月影 未彩

そうだよ舞婪

月影 未彩

足と顔なんて怪我してないよ?

してるわ

月影 未彩

だって私舞婪のことコカしてないもん

これ遠回りな自白だろ

嵐諷 諏禾

ええと、とりあえず面倒臭いから怪我した箇所全部問診表に書いておくわね

面倒臭いって言うな

星川 悠希

或那舞婪さーん

舞婪は医者の悠希に名前を呼ばれ、診察室に入る

冬本 澪

えー、どれどれ…?

冬本 澪

怪我は腕と足と顔…

冬本 澪

わあ、大惨事だね

冬本 澪

どんまい!

或那 舞婪

どんまいじゃないっすよ看護士さーん…

助手であり看護士の澪と、舞婪が軽く会話をすると、悠希が針と糸を取り出す

星川 悠希

とりあえず腕の怪我は縫うなー

或那 舞婪

いやーー!!

キラリと輝く針を見て、舞婪は泣き叫ぶ

そんな光景を、未彩は手を合わせながら心の中で唱えるのだった

月影 未彩

(南無阿弥陀仏)

いや、念唱えんな

或那 舞婪

或那 舞婪

ぎゃあああああああああああ!!

 

けたたましい悲鳴が響き、傷の縫合が終わる

或那 舞婪

せんせぇ…麻酔使ってよぉ…

舞婪は涙目で縫われた傷を撫でる

冬本 澪

麻酔高いからね〜

澪は苦笑いで答えた

星川 悠希

じゃ、縫合もしたし、治療するぞー

星川 悠希

『治癒能力』

悠希が舞婪の体に触れながら唱えると、舞婪の傷は光り出すと同時にみるみる消えていく

月影 未彩

おお、私が付けた傷がみるみる消えていく……

罪認めてんじゃねぇか

 

『死にたかった子たち』が最後にたどり着くこの町

彼らは今度こそ与えられた居場所を守るため、力を得た

それこそが

──能力なのだ

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