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ここは麗流楼水(れいりゅうるんすい)
居場所を失った人が集う町である
そしてこの神社は町の管理人である、月影(つきかげ)未彩(みあ)の神社
つまり、この町の核と言っても過言ではないのだ
月影 未彩
自分で言うな
月影 未彩
月影 未彩
月影 未彩
月影 未彩
そんなことは無い
月影 未彩
掃除道具にそんなこと言うなよ
月影 未彩
この人裏声で喋り出した
月影 未彩
月影 未彩
月影 未彩
月影 未彩
何この人怖い
未彩はホウキをゴミ置き場に捨てる
月影 未彩
未彩が手をパンパンと払うと、神社の入口から声が聞こえてくる
或那 梨菜
月影 未彩
或那 梨菜
梨菜は口を膨らませて反抗する
彼女は或那(あるな)梨菜(りな)
数年ほど前に麗流楼水に来た住民である
或那 梨菜
梨菜は、後ろを着いて来ていた少年を未彩に見せる
或那 舞婪
涙をポロポロと流しながら叫ぶ少年
彼は梨菜と同い年の或那(あるな)舞婪(まいら)だ
舞婪の左腕には10センチほどの切り傷ができていた
月影 未彩
月影 未彩
お前まだそれ言ってたのかよ
或那 舞婪
舞婪が口をプクっと膨らませて地面を見る
舞婪の言う“あの医者”というのは、この町で唯一医者をやっている星川(ほしかわ)悠希(はるき)のことだ
彼と助手の冬本(ふゆもと)澪(れい)は性格上かなり恐れられている
或那 梨菜
或那 舞婪
或那 梨菜
或那 梨菜
或那 舞婪
やべぇ医者じゃねぇか
或那 梨菜
或那 舞婪
何のための病院だよ
月影 未彩
月影 未彩
或那 舞婪
或那 梨菜
舞婪と梨菜は未彩に連れられながら病院へと向かう
月影 未彩
月影 未彩
お前も大概だけど
──“死のうとしていた”とはどういうことか
それは、この町が『死にたいと願うほど居場所を追いやられていた人』…
つまり、『居場所を失った』『死にたかった子たち』が最後に集まる町なのだ
だから、この町にいる舞婪も梨菜も未彩も医者の2人も、過去に死にたい程の“何か”があったということなのだ
或那 舞婪
忘れたのかよ
或那 梨菜
理由ショッボ
月影 未彩
覚えてるじゃねぇかよ
或那 梨菜
どうでもはよくない
そんなことを話していると、梨菜の隣で歩いていた舞婪の姿が消える
或那 梨菜
同時に、地面が少し揺れる
ドシーン!!
震源を見ると、舞婪が倒れていた
或那 舞婪
或那 梨菜
或那 舞婪
月影 未彩
或那 舞婪
或那 梨菜
或那 梨菜
或那 舞婪
或那 舞婪
月影 未彩
或那 舞婪
舞婪が血だらけの足を動かして歩き出した途端
ドシーン!!
舞婪は再び地面に倒れた
或那 梨菜
或那 舞婪
舞婪は血まみれになった顔を上げる
或那 梨菜
或那 舞婪
或那 梨菜
どっちがお化けだよ
月影 未彩
月影 未彩
犯人お前じゃねぇか
或那 舞婪
お前が言うのかよ
病院に着いた未彩達
血と傷だらけの舞婪を見て、受付にいた嵐諷(らんふう)諏禾(すいね)はギョッとした顔をする
嵐諷 諏禾
或那 舞婪
嵐諷 諏禾
引いてるじゃねぇか
嵐諷 諏禾
諏禾はカルテを書き始める
或那 舞婪
嵐諷 諏禾
突っ込むところそこじゃないだろ
嵐諷 諏禾
嵐諷 諏禾
嵐諷 諏禾
或那 舞婪
お前腕の怪我忘れたんか
或那 梨菜
或那 梨菜
顔と足も怪我してるんだよ
月影 未彩
月影 未彩
してるわ
月影 未彩
これ遠回りな自白だろ
嵐諷 諏禾
面倒臭いって言うな
星川 悠希
舞婪は医者の悠希に名前を呼ばれ、診察室に入る
冬本 澪
冬本 澪
冬本 澪
冬本 澪
或那 舞婪
助手であり看護士の澪と、舞婪が軽く会話をすると、悠希が針と糸を取り出す
星川 悠希
或那 舞婪
キラリと輝く針を見て、舞婪は泣き叫ぶ
そんな光景を、未彩は手を合わせながら心の中で唱えるのだった
月影 未彩
いや、念唱えんな
或那 舞婪
或那 舞婪
けたたましい悲鳴が響き、傷の縫合が終わる
或那 舞婪
舞婪は涙目で縫われた傷を撫でる
冬本 澪
澪は苦笑いで答えた
星川 悠希
星川 悠希
悠希が舞婪の体に触れながら唱えると、舞婪の傷は光り出すと同時にみるみる消えていく
月影 未彩
罪認めてんじゃねぇか
『死にたかった子たち』が最後にたどり着くこの町
彼らは今度こそ与えられた居場所を守るため、力を得た
それこそが
──能力なのだ
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