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狐の隠れ家

40 - 第39話 臆病な次男の昔話 ⑤

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2025年05月08日

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僕があの夢から覚めて、 約数十分の時が流れた

何故かは分からないけど、 あの夢が上手く思い出せない

あの夢で感じた風や、 『ーーくん』と名乗っていた彼の 声は、今も思い出せるのに

あの景色はどんな感じで、 どんな体験をしたかが、 はっきりしない

@ 白

…(…なんか怖いな、)

ちなみに僕の膝の上には ぐっすり眠ってるゆーくん

赤ちゃん曰く、泣き疲れたって 言ってた

ゆーくんは若干猫毛だから ちょっとくすぐったい

@ 青

しょー兄ちゃん、…

@ 白

ん?どしたん、?

@ 青

棚の、図鑑…取れなくて

@ 白

…図鑑?

@ 白

あそこの踏み台使って
取ったらいいで

@ 白

それでも無理だったら
兄ちゃん呼んでや

@ 青

うんっ!わかったっ!

パタパタと棚へ駆けてく まろちゃんを見守る

後ろをチラチラ見て誇らしげな 顔をしているのが本当に愛らしい 僕に弟最高すぎる

" 青を止めて "

" 君が取りに行って "

@ 白

…ぇ、?

@ 白

え…ぁ、っ…?

@ 白

…ま、まろちゃんっ!

@ 白

ストップ!

@ 青

え…、?

その瞬間、まろちゃんが足を 踏み込もうとした踏み台に、亀裂が 走った

踏み台は綺麗に2つに割れ、 破片が飛び散る

あれを踏んでいたら、と 考えると思わずゾッとする

@ 青

ひっ、…っ

まろちゃんは困惑と不安と恐怖で 思わず顔を顰め肩を震わす

@ 白

まろちゃんっ!

僕は急いでゆーくんを寝かして まろちゃんの所に寄る

まろちゃんの足元には小さな 破片が散らばっている

あの破片塗れの床を裸足で踏むのは 想像するだけで痛い

@ 白

…まろちゃん、こっち

@ 白

手貸して、?

@ 青

…っ、

まろちゃんは震える手で 僕の手を握る

@ 白

出来てんで、そこから
足持って来て

@ 青

…うんっ、

@ 青

……できたっ、

@ 白

偉いな、いい子やで

@ 白

(あの声…どこかで、…)

@ 白

(無邪気…な、そんな声)

もうよく分からんわ まろちゃんは無事なんだし、 それで良いや。誰も怪我してない その事実だけでいい ただこれだけや

僕を愛す人がいて、 僕が愛している人がいる

その事実だけが、僕の嫌な現実を 忘れさせてくれるんや

世界中の全員に嫌われても 皆がいるなら、このずぶ濡れな 世界にも、傘をさせる

だから、明日も生きていこうかな

どれだけ神様に嫌われていても

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