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雨上がりのビル街。

朝の光を受けて、ガラス張りの高層オフィスがまぶしく輝いていた。

星野恵梨が呟く。

白川琉叶は、エレベーターのボタンを押しながら淡々と言った。

エレベーターが開くと、そこには依頼人が立っていた。

金髪に近い淡い髪色、知的な目元。

――藤原輝音。

有名なジュエリーブランドのデザイナーであり、今回の被害者だ。

と琉叶。

輝音は頷き、オフィスの奥へ案内する。

そこには防犯カメラ、セキュリティロック、指紋認証の金庫。

完璧な管理のはずだった。

琉叶は金庫の内部をのぞき、静かに言った。

と恵梨。

輝音は、息をのんだ。

琉叶は部屋を歩き、机の配置をじっと見た。

窓際に飾られた宝石カタログ、コーヒーカップ、そして鏡張りの壁。

ふと立ち止まり、琉叶は鏡を指さした。

琉叶の目が細くなる。

鏡の裏を指でなぞり、微かに油膜がつく。

恵梨が息を呑む。

輝音が驚く。

琉叶は首を振った。

恵梨が目を丸くする。

琉叶は輝音を見つめる。

オフィスの空気が凍る。

輝音はしばらく黙っていたが、やがて笑った。

琉叶の声は冷ややかだった。

輝音の表情から、すべての仮面が落ちる。

オフィスを出たあと、恵梨が言った。

琉叶は淡く笑う。

街を吹き抜ける風が、二人の背を押す。

そして、また次の依頼の知らせがスマホに届く。

琉叶はスマホを閉じ、静かに言った。