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流星side
お風呂上がり... 僕と大ちゃんだけの秘密を心に留めて 帰りの準備を進めていく。
花火大会だから、ちょっとお洒落に... そう思って、服を選んでいると
フラッ...
また体のふらつき。本当に疲れが取れないんだなぁ...と 初めは思っていたが少しずつ体がだるくなっていく感覚。
念の為熱を測ると...
37.8度。
熱...。
あっ、思い出した...。 僕が花火大会に行かなかった、あの集合写真が 映っていなかった理由を。
僕は熱を出して... でも、心配をかけたくなくて メンバーに言えなくて。
当時はそれを隠すように、花火大会に行く気分じゃないと 言って、一人ホテルに帰ったんだ。
ということは...
これはお風呂上がりのぼせでも 秘密を留めたドキドキでもなく
ただの熱...。
でも、ここでホテルに帰ったら 過去の僕のまま。 そして、絶対に後悔する。
僕はカバンから薬を取り出し、水で流し込む。
どうか、どうか...効いてください。
体に大丈夫!と呪文をかけて僕はみんなと 花火大会へと向かった。
会場から歩いて20分くらいのところ。 とても広い公園で、出店なども沢山出ている。
ここで迷子になったら...多分終わり。
丈
謙杜
みんなと盛り上がる時間。 熱でポアポアした僕だけど... 薬のおかげかまだそんなに辛くはない。
しばらく公園の中を歩いて 人気の少なそうな場所を目指す。
みんなの後を必死に着いて行くが... 思ったより、体がしんどくなってきた。
歩くことはできるけど... いつもよりゆっくり。
そのせいで みんなとの距離が少し離れてしまう。
それに気付いた大ちゃんが 僕の元へと駆け寄ってきてくれた。
大吾
流星
大ちゃんの、僕よりも少しだけ大きくて、 スラッとした、綺麗な手。
そんな暖かさに包まれて 二人で歩く草むらの中。
本当は綺麗な夜空を見上げたいのに。 僕は見上げる元気もなく...ただただあなたの手の 温もりを感じながら後を着いて行く。
疲れて 僕の目が潤んだのかな...
それとも、夜空が反射しているのか。
キラキラと光る中を...二人で一緒に歩く夜。
この時ばかりは、体のだるさよりも
止まらない胸の鼓動の方が 強く感じられていた。