大紀が何を思っているか分かっている
だけど
確かに彼女はいないけど、長く 友情関係を築いてきた
樹に限ってないよ
樹
…よーやく来たな
正面玄関に着くと、柱に寄りかかった樹の姿
江名子
お待たせ~
江名子
てか…なにその格好!
樹は
ジーンズ、タンクトップ、 薄いジャケット
終いには昆虫のようなサングラスをしている
樹
これ?
樹
今日のアポ14時からだし、時間あんだろ?
樹
それに今日の鎌倉は暑いらしいぜ
江名子
…
江名子
遊ぶ気で来たな?
樹
はは、正解
樹
こーゆう仕事はな、堅苦しい格好じゃアイデアが浮かばない
江名子
…はーーー
樹
てことで、江名子にも着替えてもらおっか
樹
とりあえず車乗れよ
江名子
!?
そう言うなり、目の前の 赤いオープンカーのドアを開ける
江名子
何を企んでるの…?
樹
ぷ
樹
疑い深いところ江名子らしい(笑)
レディーファーストで私を乗せると
運転席に座る
樹
じゃあ行くぞ
慣れた手つき、チャラい格好
彼女こそは作らなかったが
学生時代、そこそこ遊んでたのを私は知っている
樹
…お前、コイツ遊んでんなーって俺を見てんだろ
江名子
まさしく
樹
確かに遊んでた。けどそれは過去
樹
言ったろ?アタックするって
サングラスを取ると、横目で私を見る
(ドキッ)
なんだろ…胸が鳴った//
江名子
それは順調に進んでる?
樹
うーん、邪魔者がいるけど…
樹
その人、俺に赤くなったりするからさ…
樹
まだ希望はあるかなって
江名子
良かったじゃん
樹
うん
その時
右手に手が重なると、指が絡む
江名子
え
なんかこれ…
樹
ほら、顔赤くなった
またチラッと顔を見ると、 フワッと笑う
江名子
///冗談よしてよ
樹
…冗談じゃなかったら?
え…?
江名子
…
樹
なんつって
樹
そのマヌケ顔が見たかっただけだし
そう言い、運転はしながら私の頬を つねる
江名子
!?
江名子
もうっ!本当にそうだったらどうしようかと思った!
樹
なんで?
江名子
このチャラ男!
樹
ぷ、悪くはないね
何故か満足そうにみえる
にしても、冗談にしては 本気っぽかった…
心臓に悪い…
江名子
これは樹の手口なの?
樹
人を詐欺師みたいに言うなよ
樹
だいたいな、俺が眼中にないお前がおかしい
樹
これでもミスターコン入賞してる。少しはときめけ
江名子
すごい自信(笑)
江名子
樹はイケメンだよ、世の中的にね
樹
…っ
いきなりハンドルを切ったかと 思えば道の側に停車する
江名子
…何!?
樹
もう無理
樹
こんだけ言っても分からないなんて
樹
…俺の気持ち分かんないの?
江名子
…え
余裕のない表情が見えると
とたんに口づけをされる
江名子
!
今…触れた…?
樹
…
樹
昔から気にくわなかった
樹
少しは俺を意識しろよ…
初めて見る顔だった
そこには友達としての樹は もういなくて
どうしたらいいか分からなくなった
江名子
私、樹のことは…
樹
それ以上言うな
樹
ムカついたから、今日はたくさん意識させてやる
樹
心の準備しとけよ