桜の木の下には死体が埋まっている
昔誰かが言っていた言葉を思い出す
目の前には大きなきれいな桜の木
その下には
陶器のように綺麗な肌
艶のある黒い髪
そして長いまつげをした少年が居た
年は私と同じくらいだろうか
そんなことを考えていたら彼は大きなあくびをしながら起きた
翔
可愛げのないやつ
それが彼の第一印象になった
桜
翔
翔
無邪気な笑顔で彼は言った
桜
桜
彼の顔に少し影が差した気がした
翔
翔
また来年も見られるのに
そんな考えが頭をよぎった
桜
翔
まただ
彼の笑顔を見てると何だか幸せな気分になる
翔
桜
翔
桜
あの日の後
また彼に会いたかったが雨が続き行くことができなかった
約束もしていなかったが私はあの桜のもとへと行った
彼がいると信じて
桜のもとに彼は居なかった
しかしその代わりに知らない女性がいた
その女性は私を見つけるとこっちに歩いてきた
桜
桜
桜
桜
私は手紙を読みながら泣いていた
彼は今日
手術をするためにアメリカへといったらしい
失敗すれば命はない
だから彼は名残惜しそうに桜を見ていたのだろう
私は邪魔をしてしまったのだろうか
そんな思いに駆られた
しかし封筒の中には桜の押し花が入っていた
「一年後またこの桜の下で」とたった一言の言葉とともに
一年後
私は軽い足取りであの場所へと向かった
綺麗な桜の下
君は眠っていた
コメント
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あぁ、翔の反応からしてそんな感じなんかな?って思ったけど………… 最後って、死 んじゃってたの? それとも、ただ、寝てただけ?
最後グッときたーー めっちゃ悲しいわ
悲しいEND……そっちかぁ(´;ω;`)