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鮭盛り合わせ

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鮭盛り合わせ

6 - S型9号(brsh)

♥

300

2023年06月09日

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白尾王国。

来る者拒まず去る者追わずなこの国で僕は育った。

Nakamu

きりやん、収穫は?

きりやん

真っ黒だよ

きりやん

鉄の国は落とすべきだね

現国王のNakamuは

悪い噂が目立つ国を制圧し

寄り良い世界を作ろうとしている。

Nakamu

潜入はBroooockとスマイルに任せようと思うんだけどいける?

スマイル

OK

Broooock

情報ちょーだい

僕は"良い世界"というものに余り興味は無いけれど

1人だった僕に手を差し伸べてくれたNakamuの力になろうと決めた。

きりやん

今回潜入してもらう国は鉄の国

きりやん

軍事力を高める為に子供を兵士に育て上げて人間兵器にしようとしているみたい

きんとき

兵士を作る為に攫った女性に子供を産ませてるって噂もあるよ

スマイル

酷い話だな

Nakamu

という訳で鉄の国には痛い目に遭ってもらいます!

Broooock

暴れちゃっていいの?

Nakamu

いや、暴れるのはまた後で

Nakamu

子供の救出が最優先

Broooock

はーい

友人であり

家族であり

守るべき国王と仲間の為に

僕は生きている。

運転手兼サポート役のきんときと近くの森で別れスマイルと鉄の国へ潜入する。

鉄の国と言うだけあって見回りの兵士は立派な甲冑を身にまとい

銀色に輝く剣を腰にぶら下げていた。

そのせいで歩く度に音が鳴り

此方は居場所を簡単に把握することが出来たけれど。

きんとき

『その先に地下に続く階段があるはず 』

きんとき

『子供達はそこだよ』

スマイル

了解

きんときからの通信に従い階段を降りる。

兵士に混ざって白衣を着た科学者らしき人物も見られるから情報は正しいのだろう。

スマイル

きっとあの先だ

スマイル

扉の前に見張りが2人

Broooock

右は僕がやるからスマイル左ね

スマイル

OK

息を合わせて見張りの男に襲いかかる。

甲冑が邪魔だけど隙間を狙えば良いだけの話。

音を立てないように気をつけて彼らを物陰に隠し

子供達が監禁されているであろう部屋へ突入した。

スマイル

これで全員?

Broooock

みたいだね

スマイル

きんとき、子供達を保護した

きんとき

『おつかれー』

きんとき

『脱出ルートに変更は無いからさっさと戻ってきな』

スマイルが先頭を走り、間に子供達を挟んで僕が最後尾を追う。

兵士や科学者に鉢合わせないよう念入りに調べ上げられた脱出ルートは完璧で

予定よりも早く帰れる

はずだった。

スマイル

Broooock?どうした?

Broooock

ごめん、先行ってて!

スマイル

は!?

Broooock

すぐ戻るから!

スマイル

ちょ…おい!

制止するスマイルの言葉も聞かずに僕は踵を返した。

自分でも何故そうしたのか分からない。

でも何故かそうしなければいけない様な

誰かに呼ばれている様な

そんな気がしたんだ。

Broooock

…ここだ

そうして辿り着いた先は南京錠がかけられた鉄の扉。

耳を当ててみても中から音はしない。

近くに誰も居ないことを確認し

銃で鍵を撃ち抜いて

重たい扉を開いた。

Broooock

……

Broooock

僕を呼んだのは、君?

大きな円柱型の水槽の様な装置の中に

一人の男が浮いていた。

純黒の髪に、それを引き立たせる白い肌。

目の色は伏せられていて見えないけれど

僕をその場に留めさせるには十分だった。

Broooock

今、出してあげるからね

子供と呼ぶ程幼くは無いけれど

きっと彼も被害者の一人だ。

装置の中から液体を抜き

彼を抱きかかえて仲間の待つ森へ急ぐ。

スマイル

Broooock!勝手な行動するなよ!

Broooock

ごめんごめん

Broooock

きんときは?

スマイル

子供達を連れて先に帰った

スマイル

それより誰?

スマイルが僕の腕の中で眠る彼を不思議そうに見つめる。

Broooock

この人も囚われていたんだよ

Broooock

恐らくあの子達と同じ

僕が説明をするとスマイルの顔に影が差した。

スマイル

年齢は俺達と同じくらいだな

スマイル

でも救出した子供達は皆10歳前後だった

スマイル

もしかしたら、こいつは…

Broooock

何が言いたいの?

スマイル

兎に角帰ろう

スマイル

話はその後で

Broooock

うん

連れ帰った彼を医務室のベッドへ寝かせ

医療の腕に覚えがあるきんときに診てもらっている間

Nakamuときりやんも加え会議をすることとなった。

Nakamu

Broooock、スマイルお疲れ様!

きりやん

2人が救い出してくれた子供達は教会で保護することになったよ

Broooock

そっか、よかったー

スマイル

で、鉄の国はどうすんの?

Broooock

もちろん派手にやるんだよね?

Nakamu

いやそれが、何処から聞きつけたのか同盟国の我々さんから通信が入ってね

Nakamu

戦争するなら誘えって言うから、もう任せちゃうことにした

きりやん

恐らく鉄が目的だろうね

きりやん

あそこは幾らあっても足りないだろうから

Broooock

なーんだ、じゃあもっと暴れてくればよかった

スマイル

じゃあ残る問題はあの男か

Nakamu

Broooockが態々戻ってまで連れてきた人ね

Broooock

森でスマイルが何か言おうとしてたけど…

スマイル

うん

スマイル

これはただの憶測なんだけど…

スマイル

あの男はもう兵器にされた後、なんじゃないかな

きりやん

どういうこと?

スマイル

助け出した子供達は彼を除いて皆10歳前後

スマイル

つまり、あそこまで成長出来たのは彼だけなんだよ

Nakamu

そうか、どんな訓練をしていたのかは分からないけれど、普通は耐えられないんだ

スマイル

しかも地下には科学者らしき人も居た

きりやん

何か実験もしてたってこと?

スマイル

水槽みたいな装置に入れられてたんでしょ?

Broooock

うん

Nakamu

なら人体実験も十分有り得るね

重たい空気が流れ全員の口が閉ざされた時

医務室の中から大きな音ときんときの悲鳴が聞こえてきた。

きんとき

うわっ!!

Nakamu

きんとき!?

慌てて扉を開くと

床に倒れたきんときに跨り、医療用のハサミを振り下ろそうとしている男が居た。

僕が連れて来た男だ。

ハサミを持つ手をきんときに掴まれているが力を緩める気は無いらしい。

スマイル

おい、そいつから離れろ

スマイルが懐から取り出した拳銃を彼に向ける。

黒目に浮かぶ緑が僕達を捉えた。

スマイル

ッ!!

Broooock

スマイル!

甲高い金属音が部屋に響く。

きんときに跨っていた筈の彼が

一瞬にして目の前に現れ

ハサミを拳銃で受け止めたスマイルに掴みかかろうとしていた。

きりやん

そこまで!

Nakamu

ハサミから手を離せ

しかし、きりやんの鉄扇とNakamuの剣を首に当てられ男の動きが止まる。

Broooock

落ち着いて!

Broooock

僕達は君に危害を加えるつもりはないよ!

両手を上に挙げ自分に戦意が無いと示す。

出来ることなら傷付けたくない。

Broooock

突然知らない場所で目覚めて驚いたよね

Broooock

説明するからハサミを下ろしてくれる?

思考の読めない緑色が僕をじっと見つめ返す。

スマイルを見て、Nakamuときりやんを見て

ゆっくりとハサミを持つ手が下ろされた。

???

分かった

男の黒目が白へ変わっていく。

まだ緊張感は消えないが他の皆も武器を仕舞ってくれた。

きんときがハサミを回収し彼をベッドへ座らせる。

Broooock

僕はBroooock

Broooock

君の名前は?

???

名前…

S型9号

S型9号

Broooock

エス…?

S型9号

S型9号…通称シャーク

Nakamu達と顔を合わせる。

とても名前とは思えない。

きんとき

それは誰が付けてくれたの?

S型9号

科学者

きりやん

科学者か…

スマイル

その名前の意味はわかる?

S型9号

意味…

S型9号

S型は戦闘特化モデル

S型9号

その他に意味は無い

Nakamu

名前、というか型番みたいだね…

スマイル

さっきの動き、戦闘特化ってのも頷けるな

やはり、戦闘訓練以外にも何か実験をしていたのだろうか。

S型9号

ここはどこ?

Nakamu

ここは白尾王国、俺の国だよ

S型9号

白尾

S型9号

鉄の国は?

きりやん

残念ながら鉄の国は戦争に負けたよ

まだ負けた訳では無いがそう伝えた方が都合が良い。

自分達にとっても、彼にとっても。

S型9号

そうか

Nakamu

随分と無関心じゃない

S型9号

俺の任務は指定された敵を倒すこと

S型9号

主人がお前に変わったというだけの話だ

Nakamu

俺に?

S型9号

この国のトップはお前だろ

Nakamu

そうだけど…

きんとき

シャークくん?はさ、鉄の国が負けて悲しいとは思わないの?

S型9号

カナシイ?

きりやん

家族や友達も死んだかもしれないんだよ?

S型9号

カゾク?トモダチって何?

室内が凍り付くのを感じた。

彼は何も知らないのだ。

ずっと、地下に閉じ込められていたから。

ただひたすら戦闘技術だけを詰め込まれ

その他の知識は

もしかしたら感情さえも

教えられなかったのだ。

良く言えば純粋無垢。

悪く言えば無知で無機質。

Nakamu

兎に角、白尾王国へようこそ!

きりやん

歓迎するよ

Nakamu

お世話係はBroooockね

Broooock

僕?

スマイル

そりゃお前が連れて来たんだから当たり前だろ

Broooock

まぁ別にいいけど

Broooock

よろしくね

Broooock

えっと……シャークん!

S型9号

シャークん?

Broooock

そう!

Broooock

シャークくんって、くが並んでて呼びづらいでしょ?

Broooock

だからくっ付けてシャークん!

きんとき

あははっ!いいじゃんそれ!

きりやん

確かにその方が呼びやすいかも

Broooock

どう?いいかな?

シャークん

別に、構わないけど

Broooock

よかったー!

一通り部屋を案内し最後に食堂へ向かう。

シャークんは大人しく、ただ僕の後を着いてくるだけだった。

Broooock

ここが食堂

きりやん

あぁ丁度良かった

きりやん

今から夕食にするから料理運ぶの手伝って

中に入ると料理担当のきりやんが美味しそうな匂いと共に出迎えてくれた。

Broooock

はーい

Broooock

シャークんは座ってていいよ

と言ったのだが、料理を運ぶ僕の後をずっと追いかけてくる。

スマイル

まるで雛鳥だな

きんとき

本当だ!なんか可愛いね

そこにスマイルときんときが入ってきてクスリと笑う。

きりやん

どうせ着いて行くならシャークんも運んでよ

シャークん

わかった

Broooock

じゃあこれ持ってくれる?

シャークん

持った

きりやん

きんときはNakamu呼んで

きりやん

おいスマイル座ってないで手伝え!

スマイル

えぇ…

きりやん

えぇじゃない!

全ての料理を運び終わる頃にはNakamuも合流し皆で食卓を囲む。

警戒しているのかシャークんは料理の匂いを嗅ぎ、僕が食べる様子を見てから手をつけた。

何だかフォークの使い方がぎこちない。

Nakamu

どうシャケ、きりやんの料理は

きりやん

いやシャケって何だよ

Nakamu

だってシャークんを英語にするとsharkenになるでしょ?

Nakamu

だからシャケ

Broooock

何それぇー

きんとき

でも呼びやすいね

きりやん

いいの?シャークん

スマイル

嫌なら嫌ってはっきり言った方がいいよ

シャークん

別に、嫌だとは思わない

Nakamu

ほら!

Nakamu

シャケでいいって!

スマイル

本当にぃ?

きりやん

まぁシャークんが良いなら良いけど

きんとき

俺もシャケって呼ぼうかな

Broooock

あははっ増えちゃったね!

元々無口なのか、まだこの空間に慣れていないだけなのか

シャークんは表情を変えずに大人しくしていた。

Nakamu

で、もう一回聞くけどきりやんの料理はどう?

Nakamu

美味しいでしょ?

シャークん

きりやん

もしかして口に合わなかった?

シャークん

…いや…分からない

きんとき

分からないって?

シャークん

美味しいってどういうものなのか分からない

シャークん

こんな料理食べたことないし

Broooock

ハンバーグ初めて?

シャークん

はんばーぐ?

スマイル

鉄の国ではどんな料理が出されていたの?

シャークん

パンとスープ、あと栄養剤

Broooock

それだけ?

きんとき

てか栄養剤って…

シャークん

美味しいかどうかは分からないけど

シャークん

でも苦しくはならないよ

彼が喋れば喋る程

鉄の国に怒りが湧いてくる。

食事をして苦しくなるということは

毒か何かが盛られていたに違い無い。

きっと薬物に耐性を付けさせようとしたのだろう。

きりやん

じゃあさ、この料理また食べたいって思う?

シャークん

食べたい…

シャークん

うん

シャークん

食べたい

きりやん

そう思えるってことは美味しいって事なんじゃないかな?

シャークん

そうなの?

Broooock

今まで食べてきたパンやスープをまた食べたいって思う?

シャークん

思わない

シャークん

苦しくなるし、きりやんが作ったスープの方がいい

Broooock

ほら、美味しかったからまた食べたいって思ったんじゃない?

シャークん

そうか

シャークん

きりやんの料理は美味しい

きりやん

ありがとう

きりやんが嬉しそうに笑うがやはりシャークんの表情は変わらない。

どうしたら笑顔にする事ができるのだろう。

Nakamu

あ、そうだ

Nakamu

Broooock明日休みあげるからさ、シャークんと街に行ってきなよ

Broooock

え?

きんとき

いいじゃん!服とか必要な物買ってくれば?

きりやん

じゃあついでに食材も

Broooock

そんなに持てないよー

スマイル

てかNakamu、俺は?

Nakamu

何が?

スマイル

休みくれないの?

スマイル

俺も今日任務行ってきて疲れたんだけど

Nakamu

体動かさなくてもいい様に沢山書類回してあげるから安心して

スマイル

不公平だろォ!

嘆くスマイルを見ていたシャークんは、当然といえば当然なのだが、話についていけていない様子で

ふと隣に座る僕に助けを求めるように目を向けた。

初めて人間らしい顔をしたような気がする。

Broooock

明日は僕とデートしようか

シャークん

でーとって何?

Broooock

2人でお出掛けすることだよ

シャークん

外に行くの?

Broooock

そうだよ

Broooock

買い物したり、美味しいもの食べたり

シャークん

美味しいもの

シャークん

きりやんの料理?

Broooock

あはは!相当気に入ったみたいだね

Broooock

でも明日は違う人が作った料理だよ

シャークん

苦しくなる?

Broooock

ならないから安心していいよ

シャークん

アンシン?

シャークん

アンシンってどうやったら出来る?

Broooock

そうだなぁ

Broooock

苦しくならないって分かっていたら気を張らなくて済むでしょ?

シャークん

うん

Broooock

それが安心してるって事なんじゃないかな

シャークん

これがアンシン…

きんとき

あ、そうだ

きんとき

明日出かける前に少しだけ医務室寄ってくれる?

きんとき

念の為健康診断しておこう

シャークん

それ、痛い?

きんとき

痛くないよ

シャークん

アンシン…

シャークん

Broooock、アンシンした

Broooock

ふふ、良かったねシャークん

感情というものを教えるのは大変だと思っていたけれど

案外楽しいかもしれない。

翌日。

健康診断も問題無く終わり

約束通りシャークんと街へやって来た。

Broooock

どこから回ろうか

シャークん

Broooockに着いてく

Broooock

うーん、じゃあこっち!

行き交う人々を目で追う彼の手を取り

僕がよく利用する服屋へ向かう。

Broooock

好きな服選んでいいよ

シャークん

好きな服?

Broooock

自分が着たいって思う服

シャークん

……

シャークん

どれでもいい

Broooock

それじゃあシャークんに似合いそうな服選んであげる!

店内を歩き回り選別していく。

きっと動きやすいものの方が良いだろう。

派手すぎず、でも個性が出る様な。

Broooock

これいいかも!

黒に近い緑のパーカーに、両肩が黄緑のジャケットを合わせ

ズボンも似た様なデザインのものを選ぶ。

Broooock

シャークんは緑色が似合うね

シャークん

そう?

Broooock

うん

Broooock

目も綺麗な緑色だし

はい、と手渡すと素直に受け取った。

表情が変わらないから喜んで貰えたか分からない。

でも受け取った服を大事そうに胸に抱いているから

嫌では無いのだと思う。

その後も何件か店を周り

途中で食事もして

それなりに充実した一日を過ごしたが

やはり笑顔は見られなかった。

Nakamu

おかえりー

Broooock

ただいまー

帰宅し談話室へ入ると皆が出迎えてくれた。

きんとき

どうだったシャケ、楽しかった?

シャークん

楽しい?

シャークん

楽しかったのかな…

シャークん

わからない

スマイル

何買ったの?

シャークん

シャークん

Broooockが買ってくれた

きりやん

よかったじゃん

Broooock

シャークん、部屋に荷物置いておいで

シャークん

わかった

シャークんの足音が聞こえなくなった事を確認しソファにへたり込む。

Broooock

もぉーどうしたらいいのー?

きりやん

どうした?

Broooock

シャークん全然表情変わらないの

Broooock

服も気に入ってはくれたと思うし、ご飯も美味しいって言ってたのに笑ってくれないんだよ…

Nakamu

でも昨日より口数は多いんじゃない?

スマイル

まだちょっと、ぎこちないけどな

きんとき

てかさ、珍しいよね

きんとき

Broooockが他人に興味持つなんて

Broooock

え?

Nakamu

確かに!

きりやん

今まで他人と深く関わろうとして来なかったのにね

Broooock

そう…かな?

スマイル

そうだよ

Broooock

なんだろう

Broooock

なんか放っておけないんだよね

きんとき

まぁその気持ちも分かるけどね

きんとき

危なっかしいというか何と言うか

スマイル

Broooockから見てシャークんはどうなの?

Broooock

どうと言われても…

Broooock

でも本人が気づいてないだけで意外と感情は豊かだと思うんだよね

Nakamu

それなら焦る必要もないんじゃない?

きりやん

そうだね、ゆっくり教えていけばいいよ

Broooock

うん…

Nakamuやきりやんの言う通り

僕が焦った所で意味が無い。

分かっているはずなのに

気持ちが先走って抑えられないんだ。

それから約3ヶ月。

ここでの生活にも慣れてきたシャークんは少しずつ仕事も覚え

最近では簡単な任務を任されるようになった。

まだ無表情ではあるものの

人間らしい言動も増えたように思う。

好き嫌いもはっきりと伝えてくれるようになったし

自分から行動するようにもなった。

とは言えまだ僕の後を着いてくるのだけれど。

Broooock

シャークん今日健康診断の日じゃなかった?

シャークん

うん

Broooock

もう場所分かるでしょ?

Broooock

きんとき待ってるから行ってきなよ

シャークん

Broooockは?

Broooock

僕は任務で出かけるから、その準備しないと

シャークん

そう…

シャークん

じゃあ行ってくる

Broooock

行ってらっしゃい

心做しかがっかりしているように見えたけど仕方がない。

今日は一人で潜入調査に行かなければならないから。

Broooock

そういえば一日シャークんと離れるの初めてだな

心配の中に寂しさを感じ苦笑する。

早く任務を終わらせて沢山構ってあげよう。

シャークん

きんとき

きんとき

シャケいらっしゃい!

きんとき

待ってたよ

医務室の扉を開けるときんときが目を細めて出迎えてくれた。

人は楽しいことや嬉しいことがあると"笑顔"になるらしい。

Broooockは俺を笑顔にしたいみたいだけど

どうしたらいいのか分からないんだ。

きんとき

また隈濃くなってない?

きんとき

ちゃんと寝てる?

シャークん

寝てるよ

きんとき

何時間くらい?

シャークん

うーん…3時間くらい

きんとき

短い!

きんとき

ダメだよもっと寝なきゃ!

シャークん

でも眠くならないよ

きんとき

眠くなくても布団に入って目を閉じてるだけでも変わるから

きんとき

今日Broooock任務で居ないでしょ?

きんとき

ここのベッド貸してあげるからゆっくり寝てな

きんときの口からBroooockの名前が出ると心臓が大きく跳ねた。

最近多い。

何かの病気なのかも。

シャークん

ねぇ

きんとき

何?

シャークん

最近なんか…心臓が痛くなる時がある

きんとき

え!?

きんとき

いつから?

シャークん

多分1ヶ月くらい前から

きんとき

何でもっと早く言わないの!

シャークん

ごめん

きんとき

兎に角検査するから横になって!

言われるがままベッドに寝転び検査を受ける。

怖い顔をしていたきんときの眉が段々と寄せられ首を傾げた。

きんとき

特に異常は見られないけど…

きんとき

今も痛い?

シャークん

今は痛くない

きんとき

どういう時に痛くなるかわかる?

シャークん

Broooockが側にいる時が多い気がする

きんとき

え?

シャークん

さっきもBroooockの名前が出た時ちょっと痛くなたよ

シャークん

鼓動が早くなって心臓が締め付けられるみたいだった

きんとき

それって…

シャークん

何?俺病院なの?

きんとき

ふふっ

きんとき

ううん、大丈夫

きんとき

悪い病気じゃないから

シャークん

悪い病気じゃない?

シャークん

良い病気があるの?

きんとき

あるよ

きんとき

たった一つだけね

結局原因も治療方法も教えられず布団の中で目を閉じた。

きんときは笑っていたけれど

何か嬉しいことでもあったのだろうか。

産まれた時から俺は国の所有物だった。

オモチャの代わりにナイフを持たされ

遊ぶ代わりに訓練をし

愛情の代わりに人の殺し方を叩き込まれた。

俺はS型9号

心を持たない秘密兵器だ。

きんとき

シャークん起きて!

目を開くと青い顔をしたきんときが俺の体を揺らしていた。

何だか胸がザワザワする。

シャークん

な…に…?

きんとき

Broooockが!銃で撃たれて意識が戻らないんだよ!

目の前が暗くなる。

きんときが何かを言っていたけれど、気にせずベッドを飛び出して

血の匂いがする方へ

集中治療室と書かれた扉を潜った。

シャークん

Broooock?

既に処置は終わっている様で

体に包帯を巻かれたBroooockが眠っていた。

シャークん

Broooock起きて

シャークん

ねぇ

いくら呼びかけても起きてくれない。

段々視界が歪んできて

目から何かが溢れ出した。

シャークん

これなに?

シャークん

ねぇBroooock

シャークん

目から水が出てくる

シャークん

教えてよ

シャークん

止まらないの

シャークん

苦しいよ

シャークん

助けて

シャークん

Broooock

Broooock

なぁに?シャークん

濡れた頬に暖かい手が添えられた。

赤くて優しい目に捉えられて

益々彼の手を濡らしてしまう。

シャークん

ぶる…く…

Broooock

うん

シャークん

よかった…

シャークん

Broooock生きてた

Broooock

安心した?

シャークん

安心した…

シャークん

けど、これ止まらない

シャークん

それに胸も苦しい

シャークん

Broooockと居ると苦しくなるの

シャークん

心臓の音が大きくなってね

シャークん

きんときは良い病気って言ってたけど

Broooock

それはきっと恋だよ

シャークん

恋…?

シャークん

恋ってなに?

シャークん

病気の名前?

Broooock

そうだね、これからゆっくり教えてあげる

Broooock

心配いらないよ

Broooock

泣くことが出来たんだもん

Broooock

だからお願い

Broooock

今は僕に会えたことを喜んで?

シャークん

うん

シャークん

嬉しい

シャークん

嬉しいよ!Broooock!

Broooock

あぁやっぱり

Broooock

シャークんは笑った顔が一番可愛いね

その日

S型9号が

シャークんになった。

きんとき

今日は潜入調査じゃなかったの?

Broooock

バレちゃったー

きんとき

何やってんの

Broooock

ちょっと考え事しててさぁ

きんとき

どうせシャークんのことでしょ?

Broooock

またバレちゃったー

きんとき

まぁ大した怪我じゃなくて良かったよ

きんとき

血も殆ど返り血みたいだし

Broooock

大した事ない割に包帯巻き過ぎじゃない?

きんとき

包帯が必要なレベルの軽傷なの!

Broooock

それほんとに軽傷?

きんとき

それよりさ

きんとき

俺と共犯者になってくれない?

Broooock

意味わからないんだけど

きんとき

意識が無い振りして欲しいの

Broooock

益々意味わからない

きんとき

大丈夫!

きんとき

きっといいもの見られるからさ!

END

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コメント

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やたさんありがとうございます! これからも作品作り頑張って下さい

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