白尾王国。
来る者拒まず去る者追わずなこの国で僕は育った。
Nakamu
きりやん
きりやん
現国王のNakamuは
悪い噂が目立つ国を制圧し
寄り良い世界を作ろうとしている。
Nakamu
スマイル
Broooock
僕は"良い世界"というものに余り興味は無いけれど
1人だった僕に手を差し伸べてくれたNakamuの力になろうと決めた。
きりやん
きりやん
きんとき
スマイル
Nakamu
Broooock
Nakamu
Nakamu
Broooock
友人であり
家族であり
守るべき国王と仲間の為に
僕は生きている。
運転手兼サポート役のきんときと近くの森で別れスマイルと鉄の国へ潜入する。
鉄の国と言うだけあって見回りの兵士は立派な甲冑を身にまとい
銀色に輝く剣を腰にぶら下げていた。
そのせいで歩く度に音が鳴り
此方は居場所を簡単に把握することが出来たけれど。
きんとき
きんとき
スマイル
きんときからの通信に従い階段を降りる。
兵士に混ざって白衣を着た科学者らしき人物も見られるから情報は正しいのだろう。
スマイル
スマイル
Broooock
スマイル
息を合わせて見張りの男に襲いかかる。
甲冑が邪魔だけど隙間を狙えば良いだけの話。
音を立てないように気をつけて彼らを物陰に隠し
子供達が監禁されているであろう部屋へ突入した。
スマイル
Broooock
スマイル
きんとき
きんとき
スマイルが先頭を走り、間に子供達を挟んで僕が最後尾を追う。
兵士や科学者に鉢合わせないよう念入りに調べ上げられた脱出ルートは完璧で
予定よりも早く帰れる
はずだった。
スマイル
Broooock
スマイル
Broooock
スマイル
制止するスマイルの言葉も聞かずに僕は踵を返した。
自分でも何故そうしたのか分からない。
でも何故かそうしなければいけない様な
誰かに呼ばれている様な
そんな気がしたんだ。
Broooock
そうして辿り着いた先は南京錠がかけられた鉄の扉。
耳を当ててみても中から音はしない。
近くに誰も居ないことを確認し
銃で鍵を撃ち抜いて
重たい扉を開いた。
Broooock
Broooock
大きな円柱型の水槽の様な装置の中に
一人の男が浮いていた。
純黒の髪に、それを引き立たせる白い肌。
目の色は伏せられていて見えないけれど
僕をその場に留めさせるには十分だった。
Broooock
子供と呼ぶ程幼くは無いけれど
きっと彼も被害者の一人だ。
装置の中から液体を抜き
彼を抱きかかえて仲間の待つ森へ急ぐ。
スマイル
Broooock
Broooock
スマイル
スマイル
スマイルが僕の腕の中で眠る彼を不思議そうに見つめる。
Broooock
Broooock
僕が説明をするとスマイルの顔に影が差した。
スマイル
スマイル
スマイル
Broooock
スマイル
スマイル
Broooock
連れ帰った彼を医務室のベッドへ寝かせ
医療の腕に覚えがあるきんときに診てもらっている間
Nakamuときりやんも加え会議をすることとなった。
Nakamu
きりやん
Broooock
スマイル
Broooock
Nakamu
Nakamu
きりやん
きりやん
Broooock
スマイル
Nakamu
Broooock
スマイル
スマイル
スマイル
きりやん
スマイル
スマイル
Nakamu
スマイル
きりやん
スマイル
Broooock
Nakamu
重たい空気が流れ全員の口が閉ざされた時
医務室の中から大きな音ときんときの悲鳴が聞こえてきた。
きんとき
Nakamu
慌てて扉を開くと
床に倒れたきんときに跨り、医療用のハサミを振り下ろそうとしている男が居た。
僕が連れて来た男だ。
ハサミを持つ手をきんときに掴まれているが力を緩める気は無いらしい。
スマイル
スマイルが懐から取り出した拳銃を彼に向ける。
黒目に浮かぶ緑が僕達を捉えた。
スマイル
Broooock
甲高い金属音が部屋に響く。
きんときに跨っていた筈の彼が
一瞬にして目の前に現れ
ハサミを拳銃で受け止めたスマイルに掴みかかろうとしていた。
きりやん
Nakamu
しかし、きりやんの鉄扇とNakamuの剣を首に当てられ男の動きが止まる。
Broooock
Broooock
両手を上に挙げ自分に戦意が無いと示す。
出来ることなら傷付けたくない。
Broooock
Broooock
思考の読めない緑色が僕をじっと見つめ返す。
スマイルを見て、Nakamuときりやんを見て
ゆっくりとハサミを持つ手が下ろされた。
???
男の黒目が白へ変わっていく。
まだ緊張感は消えないが他の皆も武器を仕舞ってくれた。
きんときがハサミを回収し彼をベッドへ座らせる。
Broooock
Broooock
???
S型9号
Broooock
S型9号
Nakamu達と顔を合わせる。
とても名前とは思えない。
きんとき
S型9号
きりやん
スマイル
S型9号
S型9号
S型9号
Nakamu
スマイル
やはり、戦闘訓練以外にも何か実験をしていたのだろうか。
S型9号
Nakamu
S型9号
S型9号
きりやん
まだ負けた訳では無いがそう伝えた方が都合が良い。
自分達にとっても、彼にとっても。
S型9号
Nakamu
S型9号
S型9号
Nakamu
S型9号
Nakamu
きんとき
S型9号
きりやん
S型9号
室内が凍り付くのを感じた。
彼は何も知らないのだ。
ずっと、地下に閉じ込められていたから。
ただひたすら戦闘技術だけを詰め込まれ
その他の知識は
もしかしたら感情さえも
教えられなかったのだ。
良く言えば純粋無垢。
悪く言えば無知で無機質。
Nakamu
きりやん
Nakamu
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
Broooock
S型9号
Broooock
Broooock
Broooock
きんとき
きりやん
Broooock
シャークん
Broooock
一通り部屋を案内し最後に食堂へ向かう。
シャークんは大人しく、ただ僕の後を着いてくるだけだった。
Broooock
きりやん
きりやん
中に入ると料理担当のきりやんが美味しそうな匂いと共に出迎えてくれた。
Broooock
Broooock
と言ったのだが、料理を運ぶ僕の後をずっと追いかけてくる。
スマイル
きんとき
そこにスマイルときんときが入ってきてクスリと笑う。
きりやん
シャークん
Broooock
シャークん
きりやん
きりやん
スマイル
きりやん
全ての料理を運び終わる頃にはNakamuも合流し皆で食卓を囲む。
警戒しているのかシャークんは料理の匂いを嗅ぎ、僕が食べる様子を見てから手をつけた。
何だかフォークの使い方がぎこちない。
Nakamu
きりやん
Nakamu
Nakamu
Broooock
きんとき
きりやん
スマイル
シャークん
Nakamu
Nakamu
スマイル
きりやん
きんとき
Broooock
元々無口なのか、まだこの空間に慣れていないだけなのか
シャークんは表情を変えずに大人しくしていた。
Nakamu
Nakamu
シャークん
きりやん
シャークん
きんとき
シャークん
シャークん
Broooock
シャークん
スマイル
シャークん
Broooock
きんとき
シャークん
シャークん
彼が喋れば喋る程
鉄の国に怒りが湧いてくる。
食事をして苦しくなるということは
毒か何かが盛られていたに違い無い。
きっと薬物に耐性を付けさせようとしたのだろう。
きりやん
シャークん
シャークん
シャークん
きりやん
シャークん
Broooock
シャークん
シャークん
Broooock
シャークん
シャークん
きりやん
きりやんが嬉しそうに笑うがやはりシャークんの表情は変わらない。
どうしたら笑顔にする事ができるのだろう。
Nakamu
Nakamu
Broooock
きんとき
きりやん
Broooock
スマイル
Nakamu
スマイル
スマイル
Nakamu
スマイル
嘆くスマイルを見ていたシャークんは、当然といえば当然なのだが、話についていけていない様子で
ふと隣に座る僕に助けを求めるように目を向けた。
初めて人間らしい顔をしたような気がする。
Broooock
シャークん
Broooock
シャークん
Broooock
Broooock
シャークん
シャークん
Broooock
Broooock
シャークん
Broooock
シャークん
シャークん
Broooock
Broooock
シャークん
Broooock
シャークん
きんとき
きんとき
きんとき
シャークん
きんとき
シャークん
シャークん
Broooock
感情というものを教えるのは大変だと思っていたけれど
案外楽しいかもしれない。
翌日。
健康診断も問題無く終わり
約束通りシャークんと街へやって来た。
Broooock
シャークん
Broooock
行き交う人々を目で追う彼の手を取り
僕がよく利用する服屋へ向かう。
Broooock
シャークん
Broooock
シャークん
シャークん
Broooock
店内を歩き回り選別していく。
きっと動きやすいものの方が良いだろう。
派手すぎず、でも個性が出る様な。
Broooock
黒に近い緑のパーカーに、両肩が黄緑のジャケットを合わせ
ズボンも似た様なデザインのものを選ぶ。
Broooock
シャークん
Broooock
Broooock
はい、と手渡すと素直に受け取った。
表情が変わらないから喜んで貰えたか分からない。
でも受け取った服を大事そうに胸に抱いているから
嫌では無いのだと思う。
その後も何件か店を周り
途中で食事もして
それなりに充実した一日を過ごしたが
やはり笑顔は見られなかった。
Nakamu
Broooock
帰宅し談話室へ入ると皆が出迎えてくれた。
きんとき
シャークん
シャークん
シャークん
スマイル
シャークん
シャークん
きりやん
Broooock
シャークん
シャークんの足音が聞こえなくなった事を確認しソファにへたり込む。
Broooock
きりやん
Broooock
Broooock
Nakamu
スマイル
きんとき
きんとき
Broooock
Nakamu
きりやん
Broooock
スマイル
Broooock
Broooock
きんとき
きんとき
スマイル
Broooock
Broooock
Nakamu
きりやん
Broooock
Nakamuやきりやんの言う通り
僕が焦った所で意味が無い。
分かっているはずなのに
気持ちが先走って抑えられないんだ。
それから約3ヶ月。
ここでの生活にも慣れてきたシャークんは少しずつ仕事も覚え
最近では簡単な任務を任されるようになった。
まだ無表情ではあるものの
人間らしい言動も増えたように思う。
好き嫌いもはっきりと伝えてくれるようになったし
自分から行動するようにもなった。
とは言えまだ僕の後を着いてくるのだけれど。
Broooock
シャークん
Broooock
Broooock
シャークん
Broooock
シャークん
シャークん
Broooock
心做しかがっかりしているように見えたけど仕方がない。
今日は一人で潜入調査に行かなければならないから。
Broooock
心配の中に寂しさを感じ苦笑する。
早く任務を終わらせて沢山構ってあげよう。
シャークん
きんとき
きんとき
医務室の扉を開けるときんときが目を細めて出迎えてくれた。
人は楽しいことや嬉しいことがあると"笑顔"になるらしい。
Broooockは俺を笑顔にしたいみたいだけど
どうしたらいいのか分からないんだ。
きんとき
きんとき
シャークん
きんとき
シャークん
きんとき
きんとき
シャークん
きんとき
きんとき
きんとき
きんときの口からBroooockの名前が出ると心臓が大きく跳ねた。
最近多い。
何かの病気なのかも。
シャークん
きんとき
シャークん
きんとき
きんとき
シャークん
きんとき
シャークん
きんとき
言われるがままベッドに寝転び検査を受ける。
怖い顔をしていたきんときの眉が段々と寄せられ首を傾げた。
きんとき
きんとき
シャークん
きんとき
シャークん
きんとき
シャークん
シャークん
きんとき
シャークん
きんとき
きんとき
きんとき
シャークん
シャークん
きんとき
きんとき
結局原因も治療方法も教えられず布団の中で目を閉じた。
きんときは笑っていたけれど
何か嬉しいことでもあったのだろうか。
産まれた時から俺は国の所有物だった。
オモチャの代わりにナイフを持たされ
遊ぶ代わりに訓練をし
愛情の代わりに人の殺し方を叩き込まれた。
俺はS型9号
心を持たない秘密兵器だ。
きんとき
目を開くと青い顔をしたきんときが俺の体を揺らしていた。
何だか胸がザワザワする。
シャークん
きんとき
目の前が暗くなる。
きんときが何かを言っていたけれど、気にせずベッドを飛び出して
血の匂いがする方へ
集中治療室と書かれた扉を潜った。
シャークん
既に処置は終わっている様で
体に包帯を巻かれたBroooockが眠っていた。
シャークん
シャークん
いくら呼びかけても起きてくれない。
段々視界が歪んできて
目から何かが溢れ出した。
シャークん
シャークん
シャークん
シャークん
シャークん
シャークん
シャークん
シャークん
Broooock
濡れた頬に暖かい手が添えられた。
赤くて優しい目に捉えられて
益々彼の手を濡らしてしまう。
シャークん
Broooock
シャークん
シャークん
Broooock
シャークん
シャークん
シャークん
シャークん
シャークん
シャークん
Broooock
シャークん
シャークん
シャークん
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
Broooock
シャークん
シャークん
シャークん
Broooock
Broooock
その日
S型9号が
シャークんになった。
きんとき
Broooock
きんとき
Broooock
きんとき
Broooock
きんとき
きんとき
Broooock
きんとき
Broooock
きんとき
きんとき
Broooock
きんとき
Broooock
きんとき
きんとき
END
コメント
2件
やたさんありがとうございます! これからも作品作り頑張って下さい