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香織

あの・・・随分遠いんですね、農園。

まあ、この大学自体が広いのでね。

香織

あ、確かに!

香織

にしてもここはあんまり人が居ないみたいで・・・

さっきまで激しく吹いていた風が急に止んだ気がする。

こっちです。もうすぐ着きますよ。

香織

え、そっちって....

男性が指さす方向にあるのは、 真っ暗な教室。

もう何年も使われていないように見える。

香織

その中に入るんですか?

ここを通り抜けたら近道なので。

香織

な、なるほど....

香織

(変質者だったらどうしよう...)

そう考えると、急に怖くなってきた。

どっからどう見ても、私より歳上。 逃げても追い付かれそうだ。

さ、行きましょう。

香織

は、はい...

恐る恐る教室の中へ一歩、一歩、 と足を踏み入れた。

すると、

'' ドンッ!!!! ''

物凄い力で体を押し倒されて、私は転げた拍子に近くにあった椅子で腕を打撲。

痛さと驚きで、顔をゆがめる。

へへ・・・へへへ・・・

教室の扉が勝手に閉まった。

真っ暗だ。 真っ暗なのに、 男性の顔だけが何故かぼんやり明るい。

ニタニタ笑っている。

男性の口角はくいーっと上がり続け、 そのまま目の下まで裂けた。

香織

ヒッ、、

両目がくりくりっと震えだし、 徐々に大きくなっていく。 彼の眼球から白目がなくなって、 真っ黒な穴が空いていく。

(人間じゃなかったんだ...!)

香織

こ、来ないで!!

'' ボンッ!!! ''

大きな音が鳴って、思わず目を瞑る。

フゥー、フゥー、と苦しそうに息をする声だけが聞こえてくる。

何かを引きずるようにして こちらに近寄ってくる その音。

ズリズリッ...ズルッ...

・・・

突然、音がやんだ。

ゆっくり、目を開けてみる。

(・・・?)

(居なくなった・・・?)

右を見て、

左を見て、

・・・やっぱり居ない・・・

消えた・・・?

ゾワゾワッと背中が冷えた。

ゆっくり、ゆっくり、後ろを振り返る。

(!!!!!)

香織

わ、私が何したって言うんですか・・・

香織

何で私にそんなに付きまとうんですか・・・

香織

誰か助けて....

もう何も見たくない。 もう何も聞きたくない。

耳を塞いで、 顔を膝に埋めた。

一瞬、地面がぐらっと揺れた気がして 死を覚悟すると、

「大丈夫か?」

誰かの声がすぐそばで聞こえた。

幽霊はきっと先生が嫌い。

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