主
主
主
ほとけ
いつもと同じベッドで目を覚ます。
ほとけ
ほとけ
ほとけ
日付はもう次の日で、僕はきっと、 一日中寝てたんだろうなぁと寝起きの頭で考える。
ほとけ
ほとけ
ほとけ
唯一の救いの時間。何も考えなくていい時間 気にしなくても、誰も僕を攻撃してこないから。
2人が帰ってくるまで今日は何も考えないで過ごそう。
ほとけ
そんな事を言いながらのそのそと下に降りた。
ほとけ
自分で作った麻婆豆腐は我ながら良い出来である。 お腹は壊さないように、甘口のやつ。
こんな日は、結構気が楽だ。
お昼時の静かな自分だけの時間。 肩の荷が軽くなってゆっくりできる。
…と、思っていたのに。
ピーンポーン
玄関先から聴こえるインターホンの音。
ほとけ
ほとけ
そう言い戸を開けると、そこには。
ないこ
見知った顔の幼馴染がいた。
ほとけ
ほとけ
ないこ
この人は僕の2つ上の幼馴染で、 僕の憧れの人でもある。
この人を目指して同じ学校に行った…んだけど、 まぁ、結果はこんなで申し訳ないな…
生徒会長を務めてて、リーダーシップがあって、 かっこよくて、皆を引っ張る存在で。
……ずっと、眩しい。
ほとけ
ないこ
ないこ
ほとけ
ほとけ
ないこ
ないこ
ほとけ
ほとけ
ないこ
ほとけ
コト、と麦茶の入ったコップを机に置く。
ほとけ
改めて顔を見ると本当に凄い輝きを放ってると思う。 絶世のイケメンって感じ。
あーぁ、僕もこの顔に産まれてたらー…とか、 憧れの人にまで嫉妬して、馬鹿みたい。
ほとけ
ほとけ
ないこ
ないこ
ほとけ
ないこ
ないこ
ほとけ
ほとけ
ないこ
感が鋭い。昔からないちゃんはそんなとこがある。
察するのが上手くて、人をまとめられる。 …そういう凄い人。
ほとけ
ほとけ
…でも、同仕様もない程僕は最低で。
ないこ
ないこ
その優しさすら僕には気持ち悪くて。
ほとけ
分かってる。
彼は、努力して今の場所にいるって。 …でも、それでも、羨ましいって感情が消えなくて。
…ずっと、こんな地獄にいたくなくて
…成功した人には、分っかんないよ、。 …そんな事ばっかり思ってしまう自分が嫌で。
どんどん自己嫌悪。気持ち悪い。
結局僕の口は、
ほとけ
しか言えなくて。
差し伸べられた手も取れない。 僕はなんでまだ生きてるんだろう。
ないこ
ないこ
あぁ、駄目だ。
この人は優しすぎる。
なのに僕は、こんなにもどす黒い感情を抱いて。 本当に最低な人間で。
ほとけ
ほら、さっき飲み込んだ言葉がでてしまった。
ほとけ
違う。それは彼の努力のお陰で
ほとけ
それは全部自業自得で
ほとけ
ほとけ
ほとけ
ほとけ
これは助けを求める事すら諦めた僕の、 くだらない我儘で。
ないこ
ほとけ
ないこ
ほとけ
ほとけ
ないこ
ないこ
謝罪なんて必要無い、全部僕が悪いのに。 本当に優しい人、僕とは…、比べ物にならない程。
そして、静かにないちゃんは帰っていった。
玄関からドアが完全に閉まる音がした瞬間、 僕は膝からその場に崩れ落ちる。
ほとけ
泣いてるのか力が抜けただけなのか、 全てが混ざったような乾いた笑いが漏れる。
ほとけ
ほとけ
魂が抜けたように、そうつぶやいた。
尺の都合上(以下略) なので後半はなし!次もお楽しみに〜…!
コメント
5件
本当に、作品書くの上手すぎますっ!罪レベルですよっ! 水くんの気持ちが痛いほど分かって半泣き状態でした…、((
毎度のことですが書くのめっちゃ上手いですね。特に心情の描写とか。 人間誰しも持ちますよね劣等感。少なくとも私は共感出来ますぞ水くん。 次回も読ませていただきます。