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#シンママ
沙華やや子
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玉葱三太郎
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――――それから1カ月経過した。
羽矢斗は結莉の通院時の電車に必ず付きそう。
そして二人は、時に平日のお昼間にはお茶や食事をし、互いを深く知り合っていった。
ハグをし、手を繋ぐ。でも、キスやそれ以上は……まだ。
羽矢斗は、結莉の娘である皐月を気遣ってのことだろう。今は結莉に掛ける電話を、平日のお昼間だけにしている。 つまり、皐月の居ない時間帯だ。
結莉はジャンくんのことをすっかり忘れたわけではない。それは男性として恋しいのではなく、仲間としての思いだ。
結莉
と祈るような心地がする。
洗濯物とお掃除を済ませ、ミルクティーを淹れホッとしていた結莉。時計を見ると午前11時半。
電話が鳴った。
結莉
直感だ。 そして、結莉の直感は大当たり。
結莉
羽矢斗
結莉
羽矢斗
結莉は……実はもどかしい。だって、羽矢斗と結莉は良い大人の男女だもの。
でも結莉は長い時間を羽矢斗と過ごすことはできない。
皐月が大切なのだ。
まだ難しい年頃だ。もしかしたら母親を独り占めしたいような気持ちを持っているかもしれない。
それに、例えば短い時間愛し合うにしても……自分から誘うなんて、結莉には勇気が出なく出来ないのだ。
結莉
恥ずかしくて問うことも出来ない。
羽矢斗
2日前に逢ったばかりだ。
おととい、結莉は羽矢斗にレストラン『ローザ・フェルグ』に連れて行ってもらったばかり。
結莉
とやはり感じる結莉。
結莉
羽矢斗
結莉
羽矢斗
結莉
結莉に父親は居ない。鳥取に母が居るだけだ。
結莉
羽矢斗
――――翌日。
駅のホームで羽矢斗を乗せた電車を待っている結莉。
結莉
駅に来る途中の住宅街の庭先に愛らしい紅梅がいくつも花開いていた。
最近羽矢斗は、結莉が待っている駅に7時50分到着の電車でやって来る。
そしてこの頃は、一度、羽矢斗がホームに降りすぐに、結莉は羽矢斗についてそのまま羽矢斗を乗せて来た電車に乗る。
なにせ羽矢斗は出勤である。その提案をしたのは結莉だった。会社に遅刻して欲しくない。
電車は満員だ。
羽矢斗
結莉
羽矢斗にピタッとくっつき小声で結莉が言う。
羽矢斗はニッコリ微笑んで
羽矢斗
と結莉の腰を引き寄せた。
そして3つ目の駅、結莉のクリニックと羽矢斗の会社『うちわ金魚』のある駅に着いた。
通勤であっても結莉としっかり手を繋ぎ、結莉の足の速さに合わせゆっくり歩く羽矢斗。
オフィスのビルに到着だ。
羽矢斗
結莉
結莉は痴漢事件からすっかり立ち直れてはいないが、随分精神的にたくましくなって来た。
ハッピーな毎日がそうさせるのだろうか。
そりゃあもちろん、結莉の診察と羽矢斗の退社が同じ時間帯であるなら一緒に帰るに決まっている。しかし、当然朝の診察が夕方に終わったりしないので、先に帰るのは結莉。
結莉
羽矢斗
まるで新婚さんみたいな二人。
体はまだ結ばれていないけれど……。初々しい新婚カップルのようだ。
***
その日のクリニックはまあまあ早く終わった。
そして(あ! そうだ、時間があるから)と結莉は駅ナカの雑貨店を目指した。
もうすぐ娘・皐月の16才の誕生日がやって来る。皐月は早生まれで3月30日が誕生日。4月になったら高校2年生だ。
結莉
皐月は幼い女の子のようにテディーベアーやキャラクターグッズが大好き。
おめかしする時は、いわゆるロリータファッションで決める。
『ハートポップ』という、とってもメルヘンチックなお店がある。
そこにはレースの靴下やおしゃれなウィッグも売っているし、ネイルにぬいぐるみと多岐にわたる魅惑の品々が取り揃えられている。
実は結莉もガーリーな装いが好きなので、このお店でシュシュやリボンをよく買う。
結莉は大振りでキラキラなムードや、フワモコのシュシュがお好みだ。
結莉
煌びやかな雑貨に囲まれお姫様気分の結莉。
結莉
結莉は心地良い空間の中でゆっくりと見て回った。
結莉
ピンク色のテディーベアーがある。
前面にチャーミングに向けられた足の裏は小花模様だ。
結莉
結莉は迷わずテディをプレゼント用に包装してもらった。
大きな袋を抱えての帰り道だ。でもそんなに苦にならないのは、皐月の喜ぶ顔が浮かぶから。
帰るとすぐに結莉は、自室のクローゼットにテディちゃんを隠した。
通院と『ハートポップ』ではしゃいだせいか、夕方になるとどっと疲れが出た結莉。
結莉
とクリームシチューを作った。
皐月
皐月が学校から帰宅した。
結莉
皐月
結莉
皐月
結莉
鍋に火をかける。ちなみにこの親子はクリームシチューの時は白米を食さない。好みは人それぞれだろう。
皐月
結莉
そして母子で揃って
結莉
皐月
皐月
皐月のふっくらとしたほっぺが喜んでいる。
結莉
先日羽矢斗と訪れた『ローザ・フェルグ』のことだ。
結莉は、皐月にもあの味を味わわせてやりたい! と強く感じたのだった。
ちょっとお高いが、バースデイぐらいは良いじゃない。
皐月
結莉
***
結莉と羽矢斗はなにも結莉のクリニック通院の時だけ行動を共にする訳ではない。
羽矢斗が有休をとり、結莉の街までやって来て、お茶を楽しむ時間も持った。
そんなデートの最中のこと。
羽矢斗
喫茶店の4人掛けテーブル、わざと隣同士に座っていた二人。
結莉は胸がキュンッとして、右隣にいる羽矢斗の指をキュッと握った。
ちなみにもちろん、羽矢斗に逢う時、結莉は羽矢斗と同じくお揃いの指輪をはめている。
結莉
羽矢斗
結莉
その時二人には艶やかなムードが流れた。
車で……どこに行く?
どこまで行ける?
コメント
1件
そうか……ついに二人の距離がぐっと縮まった感じがするね。羽矢斗さんの「早く逢いたいよ」って言葉に、結莉さんがどれだけときめいたか、こっちまで温かい気持ちになったよ。それに皐月ちゃんへのプレゼント選びのシーン、母としての優しさがじんわり伝わってきて、思わず微笑んじゃった。湘南ドライブ…どこまで行くんだろう、続きがすごく気になる。