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「終焉」の秘宝

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「終焉」の秘宝

18 - ハッピーエンドの方法を

♥

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2023年08月28日

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彰人

丁度いい、あんたには聞きたいことが山ほどある。

彰人

あんた、俺の事知ってんのか?

彰人

どうも気持ち悪いんだよ。あんたの事なんか知らないはずなのに、なんていうか…

彰人

……駄目だ、分かんねぇ

…すまない、本当にすまない

彰人

何に謝ってんだよ

僕は…逃げたんだよ

彰人

はぁ?

…僕、17歳なんかじゃないんだ

カイトさんよりは年下だけど、もう100年は生きてる。

彰人

は?!けど、あんたどう見たってまだ10代…

僕は少々、自分の体を弄っていてね。普通じゃないんだ。

彰人

聞きたいかい?もう人間でも何者でもなくなった実験体の話を

彰人

…あんたがいいなら。

…僕の父さんは魔術師だった。

父は医者の様な事をしていてね、魔術で病を治したりしていたんだ。街の人からとても信頼されていた。

だけど、ある日貴族がやって来たんだ。子供の死体を持ってね。

それで言うんだよ、その死体を生き返らせろって。笑っちゃうよね。そんなこと、出来るわけないのにさ。

もちろん、父さんはできなかった。貴族は激怒し、父さんに子供の殺人罪をかけ、処刑したんだ。

彰人

は?!

フフ、本当に理不尽だよね。父さんの才能は失われるべきではなかったのに、何も知らない馬鹿に殺されたんだ。

彰人

(この人が貴族を嫌う理由はそれか…)

それから…そうだ、僕は拉致されたんだ。とある博士にね。

僕は牢に閉じ込められ、毎日注射を打たれ、手術を繰り返し、人間じゃなくなっていった。

眼球をくり抜かれ、三千里先まで見えるようにされた。足の神経を弄られ、とてつもない跳躍力を持った。筋肉にも何かしら投与され、スプーンは握っただけで砕けた。魚の臓器をいれられ、多少は水でも呼吸が出来るようにされた。

これが人間と呼べるかい?

彰人

自分でも気持ち悪いんだ、この体が。大嫌いだった。今は消したけど、ツギハギも酷かったんだ。僕はもう、そうだな…人形のようだったよ。

いや、人形のが美しかったな。僕は醜かったから。

彰人

…俺の話はいつになったら出てくる?

ごめんね、もう少し先だよ。色々ありすぎて、説明が長くなってしまうんだ。

その博士は最後に、僕の心を弄ろうとしていた。きっと、殺人兵器でもつくるつもりだったんだろうね。けど、僕はそれに抗った。

結果、その博士はもちろん建物内にいた全ての人間を殺し、僕は自由になった。やっぱり、僕は殺人兵器だったんだよ。

そして…森でカイトさんに出会った。僕はあの人の使う魔術に感動した。父さんの魔術に似ていたから。だから弟子入りして、父さんになろうと思った。

カイトさんは色々な事を教えてくれた。父親みたいに。きっと、父さんが生きてたら……ううん、これは関係ないね。省略するよ。

弟子入りして10年くらいかな、経った時に、僕の時が止まった。博士に不老の呪いをかけられていたのに気が付かなかったんだ。だから僕はずっと、17歳のまま。

それを機に、僕は旅に出た。カイトさんも、世界を見ておいでって言ってくれたから。僕はやりたい事があったんだ。

最初にたどり着いた国は、流行病で死ぬ人が多かった。僕は魔術で治し続け、次の国でも同じ事を繰り返した。

何カ国目だろう。分からないけど、ある国での事だ。僕は女王の治療を頼まれた。重い病だったが、治せないことはなかった。

女王は言ったんだ。「殺してくれ」ってね。驚いたよ、そんなこと言う患者はいなかったから。理由を聞いた。疲れた、もう、楽にしてくれと。確かにその女王はもう90歳。病でなくとも寿命で終わりが見える歳だ。

女王は優しかった。だからこそ、僕は選びたくなかった。けど、彼女の願いも聞き入れたかった。結局、僕は彼女を治さなかった。

彰人

けれど、国が納得するはずが無かった。僕は追放され、次の国へ行った。だが、その1件が僕にとっては枷になっていたようで、なんと失敗してしまったんだ。

1つ、命を救えなかった。そのまま死んでしまった。僕は耐えられなくなり、イタリアへ行き、ひっそりと暮らした。

彰人

イタリア…!

そう、君の故郷さ。ここからやっと、君の知りたい話だと思うよ。

イタリアはいい街だった。けれど、政府が無意味な政策をし、税だけが上がるものだから、街人は苦しんでる様だった。

ある日、僕が買い物をしていると、うっかり袋から林檎を落としてしまった。拾おうとすると、ある少年に出会ったんだ。

その子は林檎を拾ってくれてね。お腹が空いていた様だから、僕は落ちてない方の林檎をその子にあげた。それからその子はよく、家へ来るようになった。

彰人

それが俺だって言うのか?

…ああ、そうだ。君は僕の家によく来ていた。

彰人

ならなんで、俺は何も覚えてねぇんだよ。

ちょっとまって…ちゃんと全部説明する。そういうせっかちなとこは、変わってないね。

僕は君にせがまれ、魔術を披露した。するととても喜ぶんだ。とても楽しそうに笑ってくれるんだ。それがとても嬉しかった。

ある日、君は僕にこう聞いてきた。「姉の病気を治して欲しい」とね。

彰人

僕は……怖かった。また失敗してしまうこと、出来ないと言って君に失望され、嫌われることが。本当に怖かったんだよ。

だから……僕は「忘却」の能力で君の記憶を弄った。僕との記憶を別の記憶にすり替えてね。そしてすぐその街から出たんだ。

彰人

…なんでだよ、

彰人

なんで記憶なんて消したんだよ

…僕が逃げるためにだよ。

彰人

だから_

僕は街を出たあと、とある怪盗に出会った。その怪盗はとても強欲で、国中の宝石を盗んで回っているようだった。

僕は暇つぶしにその怪盗より先に宝石を盗んでみた。すると、その怪盗は僕を見るなり「お前、俺のものになれ」と言ったんだ。

彰人

その怪盗ってのが、あんたらのリーダーか?

ご名答。彼の名は天馬司と言った。僕は最初、「は?」って思ったよ。いきなり俺のものになれなんて言われたらびっくりするもんね。

けれど、面白そうだったから少しだけついて行ってみたんだ。

すると…彼は本当に僕のことが好きみたいでね。僕のこと、「綺麗」って言ってくれるんだ。魔術を褒めてくれるんだ。

次第に、僕も彼に惹かれていったよ。だって、とても素敵な人なんだから。僕は自分のこと気持ち悪いと思っていた。けど、それを彼は叱ってくれたんだ。

彰人

…その惚気はいつまで続く?

フフ、ごめんね。昨日の事のように覚えているものだから。それから彼が秘宝に興味を持ち始め…僕は「悪夢」の能力に目覚めてしまった。

そこで依代の人形、寧々を作り僕の幼馴染って事にして、司くんと3人で情報を集めた。それでまぁ…今に至るかな。

さぁ、これで君の欲しい情報は手に入ったかな?

彰人

…分かんねぇことはまだある。

彰人

あんたが俺らを助けたのは、俺への償いのつもりか?

それもある。けど、それだけじゃない。

彰人

あんたの計画ってのは、なんなんだ?

…僕が、みんなと一緒にいられるようにするための計画さ。

彰人

…それは、お前らの目的だろ?

違うんだよ。これは、僕が幸せになりたいだけの身勝手な計画さ

まず、君たち全員を利用して秘宝を手に入れる。そして…秘宝を使って、僕は人間になるんだ。

そしてこの僕の勝手な物語に終止符を打つのさ。そのために…これは渡す訳にはいかないんだ。

彰人

…それは、世界に関係あるか?

それは…どういう事かな?

彰人

あんたの願いで、世界が滅びるようなことはあるか?

……ない。関係あるとしたら、僕と司くんたち3人だ。

彰人

……あー、俺今ちょっと具合悪いかもー

??

彰人

これならあんたが願い事しても止めらんねーなー

彰人くん……君、

彰人

聞こえねー

……フフ、ありがとう

悪魔の秘宝よ、これが最後の願いだ。

どうか……僕を普通の17歳にしてくれ。司くんたちと同じような人間に。

チカッ

!!

ここは……さっきまで魔界にいたはず

類!

えむ

類くーーーん!!

寧々

類!大丈夫!?

3人とも…

俺たちはさっきまで魔界にいたはずだが、何か心当たりはあるか?

…僕が最後の願いをしたんだ。

あっ、そうだ。司くん、スプーン持ってるかい?

スプーンだと?

えむ

あっ、私持ってるよー!!

ありがとう。ちょっと握ってみてもいいかな?

寧々

え、何する気?

確かめたいんだ。

…………

ただスプーンを握ってるだけのようにしか見えんのだが

…フフ、あははっ!本当だ!普通に握ってるだけだね、

えむ

…類くん?なんで泣いてるの?

……僕の願いが叶ったからさ。そうだ、僕は普通の人間なんだ…!

フフ、ねぇ司くん!ちょっと僕、海に行ってくるね!

ん?!?!何をする気だ?!

飛び込んで呼吸してみるよ!

出来るわけないだろ!?!?

あっ、おい待て!!死ぬぞ!!‪

寧々

はぁ、本当に騒がしいんだから

えむ

えへへ!なんだか類くん、すごく元気だね!

寧々

うん…えむの願いが叶ったのかな

えむ

うん!きっとそうだよ!

彰人

彰人

ここ……謙さんの店!

いったーい!もう!急に何?!

こはね

あれ、ここ謙さんのお店…?

冬弥

彰人、さっき何があったか覚えているか?

彰人

…あー、悪い。覚えてねぇわ。

冬弥

…そうか。

彰人

(あ、そういや冬弥は心読めるんだっけ。)

父さんいないのかな。とうさーーーん!

こはね

…見当たらないね。

あれ、あんたたち帰ってたの?

あっ、お久しぶりです!

まぁまぁ!なんだか逞しくなっちゃって!

こはね

そ、そうですか?

彰人

あの、謙さんどこにいるか知ってます?

?何言ってるの?

謙なら3年前からずっと帰ってないじゃない。今はインドにいるって言ってたわね。

こはね

え?!

「え?!」って……知ってたでしょ?見送りしたじゃない。

冬弥

……たしかに、そういえばした気が、、

あっれー?なんで今まで忘れてたんだろ

たしかに父さん、今いないや…

彰人

……なら、俺らに秘宝を探しに行かせたのは誰だよ?

……

え、やだ怖いんだけど

冬弥

あれはたしかに謙さんだった気が…

こはね

そ、その時だけ帰ってきてたとか…はないか…

彰人

なーんか記憶が曖昧だな。

ねー、なんだろ

こはね

…まぁ、一旦帰ってこれたんだし、休憩しない?頭休めようよ。

冬弥

そうだな。

彰人

あ、俺冬弥に話あるから同部屋で

えっ、なになに告白〜?!

彰人

なわけねぇだろ

なーんだ。ま、いいや!こはねも私と同部屋ね!

こはね

う、うん!杏ちゃんが良ければ…!

冬弥

俺も彰人がそうしたいなら構わない

彰人

おー、じゃ、一旦解散

彰人

わー、久しぶりだな、この部屋も

冬弥

彰人、話とは?

彰人

ま、一旦座ろうぜ。疲れたし

冬弥

聞きたいことは大体分かってる。だからこそ、早く聞きたいんだ

彰人

……分かった

彰人

まず、お前が悪魔だっつーことは、間違いねぇな?

冬弥

ああ。

彰人

んで……お前、どうすんの?

冬弥

どうする…とは?

彰人

ここに残るのか、向こうに戻るのか

冬弥

……

彰人

俺的にはまだお前と居たいし、残って欲しい。けど、お前のばあちゃんが言った通り、俺とお前の時の流れは違う。

彰人

それが嫌なら、向こうに戻ればいい

冬弥

…俺は、彰人と、まだ4人で一緒に居たい。

冬弥

けど……彰人が死ぬところは見たくない

冬弥

俺は……分からない

彰人

…分かんないじゃなくて、お前が選ぶんだよ。

彰人

大事な事は自分で決めねぇと。な?

冬弥

…俺は

冬弥

ここに、残りたい

彰人

おう。じゃ、またこれからもよろしく。

彰人

それだけ確認しときたかったんだ。

冬弥

_ありがとう。

うーー!疲れたね!

こはね

だね!

……ねぇ、今までのって全部、現実だよね

冬弥が悪魔で…秘宝も存在してて、夢じゃないよね?

こはね

うん…多分、現実だよ。

こはねー!ちょっとほっぺつねってみて〜

こはね

え?!い、いいの?!

うん!思いっきりお願い!

こはね

じゃ、じゃあ遠慮なく…

……いただッ!

こはね

わっ、ご、ごめん!

ううん、大丈夫……これは現実だわ

私頭使うの苦手なんだよなー

こはね

私も…今日は頭働かないや

寝よ寝よ!こはねおいで!

こはね

え?!わ、私は下のベッド使うからいいよ…?

一緒に寝よーよ!

こはね

…じゃ、お言葉に甘えて、、

続く!!

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